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組織票からネット票 無党派層照準、法律拡大解釈
費用お手軽、活用進む
日増しに熱を帯びる今回の衆院選では、インターネットの役割が大きくクローズアップされている。各党はネットに注目し、日記形式の簡易ホームページ「ブログ」などへのアクセスも急増している。手堅い組織票を頼みとする従来型の選挙に比べ、この選挙では無党派層の取り込みがこれまで以上に重要なカギを握る。そこで威力を発揮するのがネットというわけだが、公職選挙法などの法整備を置き去りにしたまま、「選挙運動」だけが先行してもいる。
「自民党のホームページ(HP)が八月二十九日に止まったのはなぜか、と問い合わせがきている」
同党の世耕弘成幹事長補佐は一日、党本部で緊急の記者会見を開き、こう切り出した。実は公選法上、公示後は政党や候補者のHPを更新することはできない。同党の更新が停止されたのもこのためだが、世耕氏は問い合わせがくるのは「民主党が公示後もHPを更新し続けているからだ」と非難した。
具体的には、(1)民主党は岡田克也代表の公示日の第一声をHPに掲載(三十日夕に削除)(2)自民党のマニフェスト(政権公約)との比較などを盛り込んだメールマガジンを三十一日に配信(一日にHP上から削除)−などの事実を指摘。公選法違反の疑いありと、総務省に調査も求めた。
民主党は逆に、同省に公開質問状を送付。小泉純一郎首相の遊説に関する記事が、選挙期間中も自民党関係者のブログに掲載されている点などを列挙している。
公選法は、ネットによる選挙運動をほとんど禁止している。配布枚数が規制されているビラなどと、ネットは同じ扱いのためだ。平成十二年衆院選では、政党HP上の候補者名簿が「工事中」と表示され閉鎖されたり、規制のない音声によるメッセージを流すという「珍現象」もあった。
今回はしかし、多くの政党がネットを積極的に活用している。マニフェストの全文を掲載したり、有権者が自分の選挙区の候補を探すことができる「検索サーチ」を設置。二十九日にHPでテレビCMを閲覧できるようにした公明党では、その後の三日間でアクセスが六千件に達し、ある担当者は「アイドルの動画並みの反響だ」と話す。
法律で規制されているのにネットの活用が進むのは、法に抵触するかどうかの判断があいまいだからだ。旧自治省は平成八年、政党や候補者のHP活用について「選挙運動とみなされる恐れが強い」との見解を示した。だが、総務省は「一般論でいえば、マニフェストやCM、候補者一覧などが日常の政治活動の一環だとするなら、いいのではないか」としている。取り締まりの権限がある警察当局も、個別に判断せざるを得ないのが実情だ。こうしたことから「法の拡大解釈が進んだ」(与党幹部)との指摘もある。
各党がネットに本腰を入れるのは、十六年度末でネット人口が国民の六割以上に膨らんだ実態を踏まえてのことだ。自民党幹部は「組織票頼みの自民党が、小泉政権で無党派層の開拓に本格的にシフトしてきたということだ」と解説する。「ネットなら資料を郵送する費用もかからず手軽で安上がり」(同党関係者)との長所もある。
このため法改正を求める声も高まっている。民主党は過去三回、公選法改正案を提出している。十六年の改正案は今回の衆院解散で廃案になってしまった。これまで「ネットを利用できない人に不公平」と、慎重だった自民党も変化し、ブログで若手経営者の政治に対する意見を発信する「YES!PROJECT」に、賛同のメッセージを寄せもした。二十五日のブログ運営者との懇談で、世耕氏はこう語った。
「ネットはメディアとして無視できない存在になっていると実感している」
◇
≪時野谷浩・東海大教授≫
■投票行動影響ない
インターネットが出現したとき、新聞もテレビもいずれネットに吸収されるといわれた。しかし、現在では、新聞やテレビなどのマスメディアの方が、ネットよりはるかに影響力が強いというのが定説だ。米国でも日本でも、人々はマスメディアの情報は信用するが、ネットの信用度は極めて低いことが種々の調査で明らかになっている。日本人はとりわけ、マスメディアへの信頼度が高い。人々はインターネットを趣味や旅行情報の検索、特殊でマニアックな情報の収集に利用する。政治家が個人のホームページを開設しても、それを見る人はもともとシンパであるなど限られており、それで投票先を変える人はいない。ネットはマスメディアの取材力にはとても及ばず、選挙の投票行動でもあまり影響力はない。(談)
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≪岩渕美克・日大教授≫
■若者の関心高まる
ネットが広範に普及した今、選挙活動にネットをさらに活用できるようにした方がいい。情報をネットから入手するのが当たり前の世の中で、選挙情報だけがネット上で開示されないのは時代遅れだ。東南アジア諸国や韓国、米国に比べ、日本はネットを利用した選挙活動は遅れている。それが活発に行われれば、有権者は立候補者や政党の主張を詳しく知ることができ、政治への関心を高めることができる。とくにネットを日常的に使用する若者の関心を高めるのに役立つ。大事なのは、政見放送をいつでも見ることができ、政党のマニフェスト(政権公約)や候補者の主張をいつでも入手できるような状態をホームページ上に整備し、どの有権者でも投票の判断に必要な情報を容易に入手できるようにすることだ。(談)
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≪資金集め・中傷合戦に威力 昨年の米大統領選≫
【ワシントン=気仙英郎】二〇〇四年の米大統領選で威力を発揮したのは、インターネットの活用による選挙資金集めと激しい中傷合戦だった。米民間非営利調査団体、ピュー・インターネット・アンド・アメリカン・ライフ・プロジェクトによれば、昨年の大統領選で有権者の37%がインターネットを情報収集や情報交換に活用、共和党のブッシュ大統領、民主党のケリー上院議員の両陣営にとって、インターネットは票の掘り起こしに欠かせない存在だった。
米大統領選でインターネットが注目されるようになったのは、民主党の候補者指名をケリー上院議員と争ったディーン前バーモント州知事の序盤戦での躍進だった。有力な支持母体を持たないディーン氏は、インターネット上のウェブログ(ブログ)を通じて全米でミニ支持集会を開催、勝手連的に広がった草の根の支持拡大で選挙資金を集めることに成功した。
以来、ブッシュ、ケリー両陣営もインターネットを重要な柱にした選挙戦を展開した。日記風に書かれた個人のホームページであるブログには誰でもコメントを寄せることができ、他のブログとのリンクも簡単。情報が一瞬にして受発信される。昨年七月の米大統領選の民主党全国大会では一部のブロガーにも記者証が交付され、メディアの一部として認知された。
一方、両陣営間の中傷合戦をインターネットが一段と激しくしたのも前回の大統領選の特徴だった。ブッシュ大統領の軍歴に関するブログからの情報発信で、三大ネット局のCBSテレビの誤報が判明。幹部四人が辞任し、看板キャスターのダン・ラザー氏がニュース番組から降板するおまけまでついた。
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≪インターネットと選挙≫ 公職選挙法一四二、一四三条は、選挙運動用の文書図画の頒布・掲示を制限。平成8年、自治省(当時)は「パソコンのディスプレーに表示された文字」も「文書図画」に含まれると判断。選挙期間中のホームページの開設、更新は、公選法で禁止されている「不特定多数の人への配布にあたる」とし、インターネットによる選挙運動を事実上、禁じている。
http://www.sankei.co.jp/news/morning/02iti002.htm
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