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2005. 08. 31
[データで読む争点](1)税財政改革 774兆円、膨らむ長期債務(連載)
東京朝刊
◇「改革」を問う・05衆院選
◆先進国で最悪 GDPの1.5倍 健全化へ対策急務
郵政民営化などを争点にした衆院選が30日公示され、各党はマニフェストを掲げた本格的な論戦に入った。税財政改革、少子化対策など、郵政問題以外にも問われている課題は多い。データを基に争点を整理する。
財政再建が急務となっている。国と地方を合わせた長期債務残高は、2005年度末に774兆円と国内総生産(GDP)の1・5倍に達する見通しだ。バブル崩壊後、政府の経済対策に伴って巨額の国債が増発される一方、不況で税収は落ち込み、加速度的に債務が膨らみ、先進国で最悪となっている。
主要国の債務残高をみると、イタリアが1996年にGDPの1・35倍に、カナダは95年に同1倍まで膨らんだことがある。その後、両国が財政健全化に果敢に取り組んだ結果、2005年の債務残高は減少しつつある。「英国病」に苦しんだ1970年代のイギリスでさえ、長期債務はGDPの1倍程度だったのと比べても、日本の深刻さが際立つ。
内閣府の試算によると、国債などの借金を除いた歳入と、過去の借金の元利払いを除く歳出を比較し、財政の健全さを示す国・地方の「プライマリーバランス」(基礎的財政収支、特別会計を含む)は05年度で約20・4兆円の赤字だ。12年度には23・1兆円にまで膨らむ見通しで、歳出削減だけで赤字を解消するのは極めて困難だ。
今年度の一般会計予算の歳出入の内訳を見ても、国の苦しい台所事情ははっきりと見て取れる。約82兆円の一般会計予算のうち、国債の元利払いに充てられる「国債費」は約2割も占め、政府が政策的経費として使える「一般歳出」を圧迫する。
歳入面でも、所得税、消費税、法人税など税収で賄われているのは、5割強に過ぎず、4割強は新規の国債発行を中心に穴埋めしている格好だ。
国の一般会計の税収は、バブル景気だった1990年度の60・1兆円がピークで、所得税が26・0兆円、法人税が18・4兆円と順調だった。だが、景気低迷とともに税収は減り、05年度予算では、所得税は半分の13・2兆円、法人税が11・5兆円など、全体では44兆円まで落ち込む見通しだ。
今回の選挙戦でも、各党は、財政の危機的状況に対して、ただ手をこまぬいているのではないことを強調している。自民、公明、民主各党も政権公約(マニフェスト)で、プライマリーバランスの黒字化を目標に掲げた。黒字化の時期は「10年代初頭」(自民、公明)、「13年度」(民主)などの違いがあるが、実現すれば、国債の元利払い費を除いた政策的な経費を、借金に頼らずにその年度の税収などで賄えるようになる。
財政再建のカギを握るのが、歳出削減と税負担のバランスだ。政府の経済財政諮問会議で民間議員を務める本間正明・阪大教授は「赤字の半分以上は歳出削減で、残りを景気回復による税収増と増税で賄うのが望ましい」と指摘する。
自民・公明は、財政再建に向け、マニフェストや党首討論会で、「07年度をめどに消費税を含む税体系の抜本的改革を実現する」とし、民主党も将来の消費税率引き上げを示唆しているが、具体的な税率にまで踏み込んでいるわけではない。社民党、共産党、国民新党、新党日本も財政再建への総合戦略をマニフェストに盛り込んではいない。
政府税制調査会が今年6月にまとめた給与所得控除など個人所得課税を見直す報告書は、「サラリーマン増税」として多方面から批判を浴びた。今衆院選で、各党は「サラリーマン増税」に反対している。
税財政改革を進めるには、歳出削減だけでなく、社会の変化で生じた税制面のゆがみをただすことが欠かせない。そのためにも、歳出削減、税制改革について具体性のある全体像を示すことが重要だ。(山崎貴史)
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