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民主党がとるべき道とは何か (インタビュー)
http://www.miyadai.com/index.php?itemid=283
投稿者:miyadai
投稿日時:2005-08-27 - 20:45:01
カテゴリー:お仕事で書いた文章 - トラックバック(3)
■総選挙の見取り図となるキーワードがあります。「旧保守=農村型保守」「新保守=都市型保守」「都市型リベラル」です。
■小泉政権の性質を見ると、小泉氏には、バラマキ政治に終止符を打つ正義感がありつつ、清和会的な金融族利権と、旧経世会への憎悪があります。正義感と利権と個人的感情の、重ね焼きなのです。
■加えて外的事情として、今日的ポピュリズムと、米国の意思が重なる。まず石原慎太郎人気や9・11以降の米国世論動向と同種のポピュリズムがあります。国民の不安を煽り、鎮められるのは俺だけだと男気を示す、という伝統的戦略です。
■また小泉氏は旧経世会的なカネやコネのバックかない分、米国をバックにしてきました。横須賀育ちなのもある。イラク自衛隊派遣から郵政改革まで、一貫した米国一辺倒。340兆円の「国民の虎の子」を狙う米国金融界は郵政民営化を望み、米国政府の年次改革要望書の筆頭項目です。
■正義感、金融利権、経世会憎悪、ポピュリズム、米国好きの5要素で彼の行動は説明できます。だから郵政法案否決も衆院解散も百%だと私は予想しました(http://www.videonews.com)。法案否決で、衆院解散すれば、自民党が負けようとも旧経世会が一掃されて万々歳だからです。
■小泉氏が「そういう人だから」総裁に選ばれて自民党を延命させたのと裏腹に、「そういう人だから」旧自民党を当然潰そうとする。小泉氏を総裁にした時点でこうなるのが必然的なのです。この逆説の背後に、骨太な地殻変動があります。
■小泉支持は、旧保守でなく、新保守=都市型保守です。背景にあるのが九〇年代を通じた旧保守から新保守への地殻変動。「新しい歴史教科書をつくる会」「2ちゃん右翼」が象徴的です。過剰流動性と生活世界空洞化で不安になって「断固」「決然」の言葉に煽られる「ヘタレ保守」です。
■亀井氏や綿貫氏の支持層は旧保守。旧保守は集権的再配分を目指すので左派的です。再配分を望む地方の弱者が、旧社会党じゃなく自民党を頼るのは自然。だから自民党政治が永続し、小選挙区制でも二大政党が実現しなかったのです。それが小泉氏で変わった。
■旧保守も旧左翼も団体的動員(土建屋的動員・組合的動員)を梃子とする同じ穴のムジナです。新保守は、団体的的動員とは無縁。天皇の尊崇と無関係なことを含めて、都市無党派層に近い性質を持ちます。この地殻変動に、旧保守が鈍感だったのです。
■見田宗介氏が八月一六日の『朝日新聞』で、日本は経済水準が高いのに「とても幸福だ」と答える人が極端に少ないと語ります。アマルティア・センの言葉だとケイパビリティが低い。すなわち多様な仕事、多様な趣味、多様な家族、多様な性を、自由に選べそうで、実は選べない。制度的に選べないのに加え、主体の能力が低いので選べない。鬱屈と嫉妬が拡がるばかりです。
■そうした国民は、「決然」「断固」に象徴される小泉的振舞いからカタルシスを得ます。現に都市部の若者は「気持ちいい」と口々に語る。それが新保守の感情です。この感情は二〇〇一年参院選で明白でした。高祖議員の得票が典型で、自民党の団体的動員の時代は終わります。
■平成不況による会社共同体の空洞化に加え、ハコもの的な集権的再配分による地域共同体の空洞化こそが、皮肉にも旧保守の地盤を崩した。かくして新保守的な感情が高まる二〇〇一年、小泉氏が登場します。
■彼は十年前から、バラマキ政治を続けたら未来はないと主張しています。完全に正しい。財政赤字を積むバラマキは、もの言えぬ子孫からの収奪で、倫理的に許されない。すぐにやめるべきです。
■でも、バラマキをやめるのと、弱者を放置するのとは別問題。現に社会的弱者だからこそ噴き上がる都市型ヘタレ保守は、小泉流「決然」にカタルシスを得ても、そのあと幸せになれません。そこに、都市型保守への「都市型リベラル」の対抗可能性があり、都市浮動票を取り合う二大政党制の可能性があるわけです。
■だから、民主党が示すべきは「都市型リベラル」の政党アイデンティティです。「小さな政府」が「弱者切り捨て」を伴ってはいけないと主張し、「都市型弱者」である非正規雇用者やシングルマザーや障害者の支援を徹底的に訴える。「フリーターがフリーターのままで幸せになれる社会」をアピールすればいいのです。
■「バラマキはダメだから壊す」の小泉流は明瞭です。対する民主党が「壊し方の非合理性」を訴えるのは稚拙です。郵政法案がデタラメでも、デタラメな法案を武器に使って旧経世会を葬り去ったことを、国民が賞賛しているのですからね。小泉氏を倣って「削る」「縮小」を繰返すのも稚拙です。「小泉さん、壊してくれてありがとう。壊れた後は民主党が作ります」で行くべきじゃありませんか。
■「都市型保守」のネガティビティに「都市型リベラル」のポジティビティを対置する。「不安」に「幸せ」を、「不信」に「信頼」を対置する。本当にタフでカッコイイのはどちらか。言うまでもありません。
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