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小泉「改革」で日本はよくなったか  財政赤字1000兆円突破 対米追随でアジアで孤立  【SENKI】
http://www.asyura2.com/0505/senkyo12/msg/780.html
投稿者 愚民党 日時 2005 年 8 月 29 日 05:52:38: ogcGl0q1DMbpk
 

小泉「改革」で日本はよくなったか

財政赤字1000兆円突破 対米追随でアジアで孤立


http://www.bund.org/editorial/20050905-1.htm

 9月11日、2年ぶりの総選挙が行われる。小泉自民党は「改革を止めるな」とキャンペーンしているが、「小泉の4年間」でいったい何が改革されたのだろうか。国債発行残高は380兆円から626兆円に急増。日本全体の財政赤字(地方を含む)は1008兆円を突破し、国民一人あたり約807万円にまで増大した。自衛隊イラク派兵などの米国追随・アジア軽視外交の結果、中国や韓国との関係はかつてなく悪化している。9・11総選挙は、小泉政権の4年間に国民がノーの審判を下すときである。

骨抜きの郵政改革

 「今回の解散は郵政解散だ。民営化に賛成か反対か国民に問いたい」。小泉首相は自身を「小さな政府」を目指す改革派と位置づけ、郵政民営化法案に反対する自民党議員や野党を十把一絡げに「抵抗勢力」という悪役に仕立て上げた。  

 だが、小泉首相の郵政民営化法案は実際には「改革」の名に値しないものだ。そもそもどうして郵政改革が必要なのか。問題の核心は、郵貯・簡保の資金(約350兆円)が財政投融資を通じて、道路公団や住都公団などの特殊法人に流れ続けることにある。特殊法人は親方日の丸で採算に合わない事業を推進、巨額の無駄遣いが構造化されている。  

 こうした巨大公共事業利権に政治家・官僚・業界が群がり、日本の政治を腐らせてきた。自民党の政治家たちは、公共事業の利権をばらまくことで業界の票を確保し、高級官僚たちは特殊法人や関連業者に天下って談合を差配する。その一方で不当な役員手当・退職金を手にしている。こうした政官業の癒着を断ち切ってこそ本当の郵政改革だ。  

 小泉政権による2001年からの財投改革によって、特殊法人は独立行政法人と看板をかえ、財投制度は表向きはなくなったことになった。ところが実際には郵政公社の資金(郵貯・簡保)は、財投機関債(独立行政法人が発行する債券)や財投債(採算の取れない独立行政法人に代わって政府が発行する国債)の購入に当てられている。こうした構造は民営化後も継続される。実質的には財投制度と同じ構造が続いているのだ。むしろ民営化されることで、「郵政会社」に議会などの外部チェックが働かなくなる恐れさえある。  

 さらに問題なのは、小泉政権は新規国債発行枠30兆円という財政構造改革の柱としてきた公約を投げ捨てて、発行した大量の国債を郵政公社に引き受けさせてきたことだ。その結果、郵政公社がかかえる国債は総額150兆円(昨年末)にまで膨らんでしまった。そもそも1991年に郵便貯金総額制限が700万円から1000万円へと引き上げられたのも、バブル崩壊後の景気対策と称して公共投資・国債発行の資金を調達するためだった。こうした構造を根本的に変えない限り、財政再建などできない。  

 小泉首相は26万人の郵政国家公務員を減らせるから改革だという。だが郵政事業はもともと独立採算制であり、民営化されても歳出削減にはつながらない。今回の法案では郵政会社の職員は「みなし公務員」とされ、公務員共済年金などの特権も維持される。また今回の法案では、民営化後も郵便・郵貯・簡保・窓口ネットワークの4株式会社は、国が3分の1超出資する持ち株会社によって一体的に経営される。これでは民営化どころか、国にバックアップされる巨大な金融・運輸コングロマリットが誕生するだけだ。その結果郵政利権にすくう「郵政一家」(族議員、特定郵便局、労組)は生き残る。民営化など名ばかりにすぎないのだ。  

 これに対して民主党のマニフェストでは、資金の入口改革(預け入れ限度額を来年度700万、8年以内に500万に引き下げる。財政健全化で郵貯を半減する)と、出口改革(@特殊法人の廃止合理化、A官僚の天下り禁止、B財投債の廃止)を並行して行うとしている。政策としてはこちらのほうがましである。本当にやるなら改革になる。

数値目標のない自民マニフェスト

 郵政改革以外にも今の日本には、環境問題・年金問題・外交や安全保障など問題は山積している。世論調査(8月17日朝日新聞)でも、「郵政民営化は最大の争点ではない」とする回答が52%と過半数を上回っている。  

 8月16日、「21世紀臨調」(新しい日本をつくる国民会議―北城恪太郎経済同友会代表幹事ら財界人、北川正恭前三重県知事ら知事市町村長、学識経験者などで構成)は、衆院選を「政権公約実質化選挙」と位置づける緊急提言を発表した。「争点が郵政民営化の賛否だけでは、他の課題についての白紙委任につながる」との批判だ。  

 実際、自民党のマニフェストには、郵政民営化以外、内政の具体的数値目標は何も示されていない。  「小泉首相は郵政選挙に問題を矮小化している」(岡田代表)と批判する民主党は、マニフェストで「3年以内に10兆円の歳出削減」を行い、8年間で財政収支を黒字化する数値目標を言っている。そのために「国会議員定数1割以上削減、衆院比例の定数80の削減」「国家公務員人件費総額の2割削減」を断行するとしている。年金についても社会保険庁を廃止し、年金目的消費税の導入を前提に月7万円の最低保障と所得比例年金に一元化するとしている。少子化対策としては出生時助成金一律20万円、義務教育終了年齢まで月額1万6000円の「子供手当」を新設すると言っている。  

 さらに道路公団を廃止し、官製談合防止に取り組み、「ムダと不正の温床」となっている特別会計をゼロから見直す。地方分権についても、ヒモ付き補助金18兆円を地方の税源に切り替えると民主党は公約している。  

 「今の民主党にマニフェストを実行する力があるのか」などといってもはじまらない。少なくとも小泉自民党が改革といいながら、有権者が公約実行の成否を判断できるように具体的な数値目標を何も示さないのよりはましだ。  

 小泉首相は道路公団改革といいながら、採算のとれない2000キロに及ぶ未着工の高速道路建設を容認した。高速道路建設をめぐる談合・天下りは今も続いている。年金制度改革はいっこう進まず、その一方で社会保険庁による年金使い込みが次々と露見。国民の年金不信はさらに深まっている。  

 結局、小泉「改革」は日本を変えることはできなかった。政権の座から降りてもらう以外ないだろう。

自衛隊撤退をいう民主党

 わけても問題にすべきなのは、自衛隊イラク派兵などの外交政策だ。  民主党は、イラク特措法による派兵期限が切れる12月の自衛隊撤退を明記している。  

 「単に米国に追随するだけでは、真の日米同盟強化に寄与しません」「必要な場合には米国に自制を促すことが、アジア・太平洋地域の公共財としての日米同盟の価値を高める」と日米地位協定の改定にも着手するらしい。アジア外交重視を掲げ、「東アジア共同体」の構築を目指して、日韓の自由貿易協定の締結や、靖国神社に代わる国立追悼施設を建立するなどのビジョンも示している。  

 これに対し自民党のマニフェストでは、「ゆるぎない日米同盟を基軸とした国際協調こそ日本外交の基本」と対米優先をうたう。イラク自衛隊派兵は継続、撤退の時期には何も言及していない。  

 「米軍再編を通じ日米安保体制を強化」「自衛隊の海外派遣を国際協調と国益を考えて推進」「国際協力を本来業務にするために自衛隊法を改正」などとうたっている。米軍支援のための、自衛隊海外派兵にむけた法整備を積極的に打ち出しているのだ。  

 21世紀に入り、日本をめぐる国際情勢は大きく変化している。昨年の日本の貿易総額に占める米国の比率が20%をきる一方、対アジア貿易が50%に迫っている。日本の第一の貿易相手国も米国から中国へとかわった。時代は東アジアの連携――東アジア版EU(東アジア共同体)形成へと確実に動いている。  

 外交オンチの小泉の対米追随・アジア軽視外交では、日本はアジアでの孤立を深めるばかりだ。小泉政権への審判と政権交代こそが9・11総選挙の最大の争点だが、マニフェストを見る限り民主党に投票するのが自衛隊撤退につながるだろう。


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総選挙の争点にならない環境・資源エネルギー問題

既成政党はいまだGDP主義で考えている

 石油減耗―原油価格の高騰、地球温暖化、環境汚染の拡大……、21世紀の世界には「成長の限界」的問題が山積している。しかし今回の総選挙で、そうした問題を争点にしようとする政治家・政党は存在しない。共産党にいたっては「七つの重点公約」で環境問題にふれてさえいない。だから論外だ。  

 自民党のマニフェストは、京都議定書で定められている温室効果ガス6%削減にはふれているものの、具体的な政策や制度改変には言及していない。エネルギー政策については、核燃サイクル・高速増殖炉・核融合を含めた原子力推進をうたっている。原発はウラン採掘から発電所の建設、放射性廃棄物の処理にいたるまで大量の石油消費を前提にしている。とても石油代替エネルギーにはならない。要するに自民党は、石油エネルギー政策についてもアメリカ頼りで、アメリカの属国として生きていくというだけなのだ。  

 民主党は「コンクリートからヒトへ」と、公共投資の方向を転換するとしている。エネルギー政策に関しても、炭素税の導入や新エネルギーへの転換推進など、自民党よりはマシだ。  

 もっとも民主党は、相変わらず「高速道路の通行料無料化」を掲げ、高速道路の利用率の向上による経済効果を喧伝している。  

 だが時代は石油減耗に向かっており、モータリゼーションに依存した交通システムなど、遠からず役立たずになる。EUのように環境負荷の低い公共交通機関の利用率を上げるなど、持続可能な交通政策の実現こそ課題にするべきなのだが、事態がわかってないようだ。  

 既成政党はいまだGDP主義――経済成長の継続を前提に日本の未来を考えているのだ。だが世界の石油生産はすでに2004年にピークを超した。もう従来のような経済成長は望むべくもない。石油依存の大量生産―大量消費から、自然エネルギーに依拠した持続可能な社会への転換は真剣に検討されるべきときがきている。


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「息子は何のために死んだのか。大統領に尋ねたい」

イラク戦死米兵の母がブッシュ私邸近くで座り込み

 8月6日、テキサス州クロフォードのブッシュ大統領の私邸・牧場から8キロの地点で、シンディー・シーハンさんが、「息子は何のために死んだのか。大統領が直接説明をしてくれるまで動かない」と、たった一人で座り込みを始めた。シーハンさんの息子ケーシーさんは昨年4月イラクに派兵され、到着後わずか5日後にバグダッド周辺のサドルシティーで戦死した。こうした彼女の行動に共感する人々が全米から続々とクロフォードに結集。彼女が座り込んだ場所では、毎日数百名が参加したキャンドル集会がもたれ、「キャンプ・ケーシー」と呼ばれるようになった。  

 今では、イラクでの戦死者を慰霊する500本の白い十字架や米国旗が立てられ、イラクからの米軍撤退を求める一種の「聖地」となっている。抗議行動の盛り上がりに対してブッシュ大統領は、「同情はするが、彼女が求める米軍の撤退は、アメリカと平和をうちたてる力にとって誤りだ」と異例のコメントを発表。8月16日には、ブッシュ支持者がキャンプ・ケーシーにトラックで突入、十字架や米国旗をなぎ倒した上に発砲する事件が起きた。  

 こうした事態はインターネットなどを通じて世界に伝わり、17日夜にはシーハンさんたちを支援するキャンドル集会が全米各地で開催された。19日、シーハンさんの母が脳卒中で倒れたため、彼女は一時的に現場を離れたものの、運動は拡大している。ブッシュ大統領が私邸の牧場から出てくるのを、多くの人々が待ちかまえている。  

 8月15日現在、イラク戦争での米軍の死者は1852人で、さらに増加の一途を辿っている。8月上旬、AP通信が実施した全米世論調査では、ブッシュ米大統領のイラク政策に対する支持は過去最低の38%、不支持は59%だ。石油強奪のための大義なき戦争に、米国内でも撤退の声が高まっているのだ。


(2005年9月5日発行 『SENKI』 1188号1面から)

http://www.bund.org/editorial/20050905-1.htm

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