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JANJAN
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武士に二言なし、わが宰相に二言あり
2005/08/27
「内閣が『命運をかける』といった法案が廃案になれば、退陣するのが当然だ」
この言葉の主は、だれあろう、小泉純一郎氏である。
いまから14年前、海部俊樹内閣は衆院に小選挙区比例代表並立制を導入する政治改革法案に政権の命運を賭けていた。自民党内は賛否両派に割れた。反対派の急先鋒が政治改革議員連盟代表世話人を謳った小泉氏だった。
政治改革法案の国会提出をめぐる自民党政調審議会・総務会の論議は3日間にわたってもめ続けた。1991年6月29日、総務会長(西岡武夫氏)が「政治改革関連3法案をご了承願いたい」と発言、執行部はこれで党議決定の手続きは終ったことにした。しかし、この決定に不服の反対派は、その後も部屋に居残って異議を唱えた。その1人が小泉氏。「このような総務会の決定方法はかつてなかった。われわれは了承していない。総務会長が逃げただけだ。だれも『賛成』といわなかったではないか」とまくし立てた。
法案は審議入りしたが、成立の見通しはなかった。小泉氏は「内閣が命運をかけた法案が廃案になれば退陣が当然」の発言を繰り返した。結局は、党内反対派との調整はならず、廃案が確定した(9月30日)。それでも、小泉氏は退陣発言を止めようとはしなかった。そして海部首相は10月の自民党総裁選挙に立候補もできないまま退いた。
小泉内閣が命運をかけた郵政民営化法案も自民党内の反対派を無視する形で手続きが進められた。政府の一方的な基本方針決定(昨年9月10日)にはじまり、国会提出をめぐる総務会(今年4月27日)は慣例に反する多数決で押し切った。反対派には大きな不満が残った。「こんな決め方があるか」と小泉氏が14年前に語ったと同じ気持ちが、採決での衆院51人、参院30人の造反になって現れた。
小泉首相は参院の否決で、可決した衆院を解散した。小泉内閣の命運をかけてきた郵政民営化法案が葬られたことから考えれば、総辞職が筋である。小泉氏も14年前にそう言っている。それを衆院解散を選んで、“命運法案”を自ら廃案にしたのだから、この人のやっていることはわけがわからない。
衆院の小選挙区比例代表並立制は94年、非自民・非共産の連立政権である細川護煕内閣のときに誕生した。今度の総選挙が4回目になる。これまでの中選挙区制に比べて、この制度は政党幹部に権限が集中しがちな傾向があり、その権力を独裁的に活用しているのが小泉首相の“刺客選挙”である。
「綸言(りんげん)汗の如し」という漢書の言葉がある。「一度口に出した君主の言は、汗が再び体内に戻らないように、取り消すことができない」(広辞苑)という意味だ。14年前の言葉を取り消そうと思っても、国民には通用しない。
あのころの小泉語録には、こんな言葉もあった。
「身内の議員を説得できないものを国民が認めるはずがない」
この伝でいえば、この選挙を国民が認めるはずがない。そのことを小泉首相はわかっていることになる。選挙に負けて退陣する、というシナリオでも描いているのだろうか。
「武士に二言なし」という。「武士は信義を重んずるので、いったん言ったことを取り消すようなことはない」(広辞苑)。政治家は武士(もののふ)であってほしい。ただ単なる「権力争いのけんか好き」では政治の品位は落ちるばかりだ。
(竹内謙)
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