★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK12 > 461.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
世間話をする阿井郵便局員の竹中秀敏さん(左)と岡本ヤエコさん。間にあるのが「赤い旗」=奥出雲町下阿井で
山に囲まれた奥出雲町阿井地区。22日朝、バイクを走らせていた阿井郵便局員の竹中秀敏さん(27)の目に、郵便マーク入りの赤い旗を掲げた家が映った。庭先には住人の岡本ヤエコさん(80)の姿があった。「今日はどうしましたか」。バイクを止めて話しかけた。「現金書留を送ろうと思って」
用件が済んでも会話は続く。「稲がいい色になりましたね」「最近はイノシシが出て、やれんわね」
「郵便局に行くにも車はない。ひざが痛くて歩いても行けないから、家まで来てくれて大助かり」と岡本さん。長男夫婦と暮らしているが、日中はたいてい独り。阿井郵便局員との会話も楽しみの一つという。
郵便業務で何か頼みたいことがあれば、玄関先に「赤い旗」を掲げてもらう。配達中の局員が見つけたら、立ち寄り「依頼」を聞く――。過疎・高齢化を見据え、阿井郵便局が00年から始めた独自サービスだ。利用者は約10人。料金は無料。
同郵便局は渡部雅幸局長(55)はじめ、職員8人の特定郵便局。周辺の郵便局とともに、65歳以上の独居老人宅を月1回程度訪ねる無償サービスもしている。地域の社協との連携事業で、健康状態などを聞き取って社協に報告している。
だが、日本郵政公社は採算性重視や人員削減の方針を打ち出し、国会では衆院が郵政民営化関連法案を可決した。地方の郵便局の大半が赤字で、その存続が懸念されている。政府・与党は全国の郵便局網維持のため、最大で2兆円の基金を設ける方針を示したが、それでも追いつかないとする郵政関係者は少なくない。
渡部局長も「過疎地の局の統廃合や人員削減の流れが加速するのではないか。今までしてきたサービスが維持できるか」と不安は隠せない。
阿井地区にある雲南農協阿井支所と下阿井代理所を、来春、地区から約10キロ離れた仁多統括支所に統合する計画が進んでいる。同農協によると、統合後、店舗は残るが、金融関係の業務は基本的にできなくなり、地区の金融機関は阿井郵便局だけになる。
同郵便局には「郵便局だけは残してほしい」「郵便局がなくなれば年金を受け取るのも苦労する」との声が寄せられているという。渡部局長は阿井地区出身。「古里を守っていかなければ」との思いは強い。郵便業務に関係なく、困りごとや買い物依頼を取り次ぐお年寄り対象の「御用聞き」サービスを構想中だ。
「郵政事業は公社になっても税金を使わず、黒字事業で赤字事業を補充し、職員の給与を賄ってきた。過疎地の郵便局は住民サービスを工夫し、地域を支えているという自負がある」。渡部局長は力を込めた。
◇
総選挙の公示が迫ってきた。今回の選挙で問われている国政の課題は、郵政民営化だけでなく、社会保障制度改革、景気対策、憲法改正など、ほかにも多い。県民は政治に何を求め、何を基準に選択するのか。県内にある課題の現場を歩いた。
県内の郵便局 日本郵政公社によると、県内の郵便局は379局(03年度末現在)。内訳は普通郵便局9局、特定郵便局248局、簡易郵便局122局。公表された各郵便局(簡易局を除く)の03年度の損益をみると、郵便局の業務に直接関係する経費だけで計算した場合、県内では黒字経営は4局のみ。残り253局は赤字で、その赤字総額は89億円となっている。
(8/25)
http://mytown.asahi.com/shimane/news01.asp?kiji=5766
▲このページのTOPへ HOME > 政治・選挙・NHK12掲示板