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自称「カイカクの小泉」の総理。
では、その”カイカクの小泉”、これまでもさぞかしカイカクをやってきたのだろうなと思いきや…。
こういうのも今の彼が言うカイカクの精神が「偽か否か」についての一つの検証にはなるはず。
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「週刊文春」 2001/11/01
狂牛病警告を黙殺した小泉純一郎[元]厚生大臣
農水族議員の強い要請で十月二日に急慮、催された「牛肉を大いに食べる会」(憲政記念館)。会場には狂牛病渦中の人物、武部勤農水相、坂口力厚労相らが、カメラの前で大口を開けてステーキやすき焼き(汚染牛の出た千葉・北海道産)を頬張った---。
この滑稽な茶番劇への参加を”ドタキャン”した人物がいる。
小泉純一郎首相である。
官邸サイドは「当初から出席の予定はなかった」と主張するが、山崎拓幹事長は三日前の幹事長会見で記者団に、小泉首相も「大いに食べる会」に参加する旨を発表。中川昭一広報本部長も同日、党役員連絡会で報告している。
「族議員から党本部にしつこい要請はあったが、飯島勲秘書官らが『浮かれている場合じゃない』と反対し、出席はご破算になった。官邸へ経過を報告せず、後手後手の対応ばかりしている両省を小泉は全く信用していない。『安全宣言』をしたものの、今後の全頭検査で新たな感染牛が見つかる可能性は極めて高い。年末まで狂牛病パニックは収拾がつかないと踏んでいます。中途半端に自らが発言、パフォーマンスをすれば、後々の責任問題に発展しかねません」(官邸詰め記者)
確かに、狂牛病対策の杜撰さは小泉内閣にとって地雷原になりかねない危険を多く孕んでいる。
その一つは、狂牛病来襲の”諸悪の根源”とされている家畜飼料『肉骨粉』に対する農水省の”過失責任”である。かねてより、イギリスから汚染が拡大したEU(欧州連合)産の肉骨粉輸入の危険性は警告されていたが、農水省がようやく輸入禁止の措置に踏み切ったのは今年一月のことである。
九月に、すでに流通していた輸入品など肉骨粉の国内での使用を禁止。製造・販売禁止を法的に規制したのは、国内で狂牛病の汚染牛が発見された一カ月後の十月十五日。
「千葉で見つかった汚染牛の検査の結果、脳から検出された異常プリオンのパターンはEUの狂牛病感染牛と同じ型だった。感染源は肉骨粉以外には考えられない」(狂牛病サーベイランス委員)
イギリスは狂牛病に感染した牛が見つかって以降、一九八八年、自国で反芻動物に肉骨粉を与えることを法的に禁止する措置をとった。イタリア、フランス、ドイツなどEU諸国も九四年、同様に禁止し、違反者には罰則規定を設けている。
しかし、肉骨粉の使用禁止措置を二〇〇一年まで取らたかった間抜けなわが国は、EUで使用が規制され、ダブついて余った肉骨粉の輸出先、いわば”カモ”にされてしまう。
小誌が集積した日本へのイギリス及びEU国の輸入統計データは危機を如実に物語っている。
イギリスで狂牛病に感染した死亡者が確認された九六年まで、EUからの肉骨粉の輸入実績はほとんどない。だが、九六年以降、急増していく。
●イタリア
1996年 105トン
1997年 60トン
1998年 5222トン
1999年 19192トン
2000年 28857トン
●デンマーク
1999年 211トン
2000年 25768トン
両国合計で、九九年に一万九千四百三トン、二〇〇〇年に五万四千六百二十五トンという輸入量は「異常」である。
十月十七日の衆院農林水産委員会でこの二国からの輸入の激増を問い質された武部農水相は「国際基準に定められた加熱処理済み(湿熱百三十三℃、二十分で三気圧)の肉骨粉のみです」と強弁。
だが、この答弁が虚しい”言い訳”に過ぎないことは、二〇〇〇年七月にまとめられたEU委員会(狂牛病対策)の調査レポートで明らかだ。
以下はこのEUレポートのイタリアに関する記述の抜粋である。
≪イタリアは一九八五年から九〇年に、イギリスから生きた牛を一万頭購入。さらに九〇年から九五年まで約一万頭を追加輸入。九四年にはこのイギリスからの輸入牛より狂牛病に感染した牛が出た。
肉骨粉に至っては非常に高いレベルの危険がある。
イタリアはイギリス(汚染牛は約十八万頭)から肉骨粉を八八〜九六年までに計四千二百十四トン輸入、アイルランド(同千八百九頭)から計三千四百三十八トン、フランス(同三百十頭)から計五千七百七十三トン輸入している。
狂牛病の監視体制は七段階で下から二番目の低い評価であり、九八年まで発見能力が非常に低かった≫
イタリアは毎年約九万トンの肉骨粉を輸出し、九九年、二〇〇〇年はその約二〜三割が日本に入った格好だが、皮肉にもそのイタリアで今年になり、三十二頭の狂牛病の感染牛が見つかっている。
一方のデンマークも惨たんたる評価である(以下はEUレポートの抜粋)。
輸入はないと断言するのは不可能
≪最近まで狂牛病の監視体制はほとんど機能せず、すべての発症例を確認、保証できなかった。デンマークは統計資料によると、イギリスから九六年までに五百二十二トンの肉骨粉を輸入したとされているが、公式には記録は残っていない。昨年(二〇〇〇年)、汚染牛が発見された際、当局が実態を調査したところ、他の欧州諸国から許可のない密輸入があったことが確認されている---》
デンマークは毎年七万〜八万トンの肉骨粉を輸出していたが、昨年はうち約三割が日本に入った。今年に入り、デンマークでも四頭の汚染牛が相次いで見つかっている。
FAO(国連食糧農業機関)は今年一月、『アジアや中東へ狂牛病が拡大する恐れがある。なぜなら、これらの国々では肉骨粉の使用は中止されず、輸出は続いている』と警告、日本はEUからの肉骨粉輸入を慌てて禁止した。
汚染国イギリスは九六年まで八十ヶ国へ肉骨粉を輸出し、汚染された肉骨粉は第三国(EU)を経て百ヶ国以上ヘバラ蒔かれたとされている。
日本は「イギリスから直接、三百三十三トンの肉骨粉が輸入された」と調査レポートで指摘されたが、このデータを頑として認めなかった武部農水相は最近、答弁で胸を張ってこう答えている。
「九月二十七日にイギリスに職員を派遺し、イギリスからの肉骨粉の輸入データを調べさせた。すると三百三十三トンではなく、実際は百六十六トンで内容はフェザーミール(羽毛粉)だったことがわかった。入力ミスであり、この事実はもうすぐ公文書として届くはず」
当のイギリス環境食糧農村問題省スポークスマンは小誌に対し、こう答えている。
「データにミスがあったことは承知している。しかし、膨大なデータなので日本に肉骨粉が全く入っていないと断言することは不可能だと思うが・・・」
EU在住のジャーナリストの解説。
「農水省はイギリスから肉骨粉の輸入はない、と喜んでいるようですが、あまり意味をなさない。イギリス産の肉骨粉はEU内のどの国を経由しどれぐらいの量が、どこへ流れたのか。この経路を明らかにするために国同士で訴訟沙汰にまでなっています」
十月中旬、農水省はようやくイタリア、デンマークなどへ調査団を派遣した。しかし、国内の危機的な状況は数字のデータだけに止まらない。
十七日の農水委員会でこの実態を問いただした山田正彦代議士(自由党)の弁である。
「イタリア、デンマークの日本への肉骨粉の輸出書類を取り寄せてみたら、原産地の表示はなし。農水省は輸入条件として基準を満たす加熱処理をつけたと言っていますが、これも書類審査しか行われていない。イタリア、デンマークから肉骨粉を輸入した商社は八社あるが、肉骨粉は商社からどこへ売られたかと農水省に問い質しても、武部農水相は『調査中で答えられない』の一点張りです」
山田代議士は弁護士であるが、牛四百頭、豚八千頭を飼育した経験のある畜産家でもある。そして、国内で流通した肉骨粉の不明朗な取引きをこう指摘した。
「私が独自で調査したところ、商社が輸入したEU産の肉骨粉は国内の肉骨粉製造業者に卸されている。一部の業者は輸入した肉骨粉を自社製品と混ぜ合わせ、水増しし、国内産として販売していたという証言がある」
イギリス以外のEU産の肉骨粉は九六年当時では一トンあたり約四万三千円の値をつけていたが、二〇〇〇年には二万五干円まで暴落した。
厚相当時の危機意識のない答弁
「狂牛病の汚染牛が千葉で見つかるまで国内では一トン当たり約四万円で取引きされていた。ごく単純に計算すると、原材料を輸入品にすれば、差額として一トン当たり一万円近い儲けが出る。この計算だと、十万トンを出荷すると、十億円も儲けが出ることになる」(山田代議士)
農水省は九六年四月、大手の飼料会社へ〈反芻動物を用いた飼料原料(肉骨粉)については動物に給与することのないよう、関係者に自粛の要請を行い(略)、貴管下関係者に対し周知徹底方をお願いする〉と他人任せの行政指導を通達している。
だが、ほとんどの畜産業者はこの通達を聞かされていない。
「私の知っている飼料会社や製造業者からそんな話は当時、聞かされていませんよ。知ったのは、汚染牛が出て騒動になった後でした」(畜産家)
農水省は十月十五日、肉骨粉の使用・製造の停止を通達したはずだが、肉骨粉製造工場ラインは現在も稼働し続けている。さる工場社長がその実情を告白する。
「出荷できなくても一日五トンは製造している。倉庫がもうすぐ一杯になり、困っている。工場ではカット工場で出る肉の骨や筋、病気や怪我で起立不能になったものなど、主に農家から処分を頼まれた牛(九七%)を原料に肉骨粉を造っている。最盛期には一日十トンは出荷していた。一部の業者が裏ルートで安い外国産の肉骨粉を仕入れ、売っていたという噂は聞いたことがある」
感染ルートの解明は農水省の長年の怠慢で宙に浮いたまま、「不可能」(サーベイランス委員)といわれている。
一方、「食肉」を管轄する厚生労働省は先週(十月十八日)より、国内牛の全頭検査(約百四十万頭)に乗り出した。しかし、初日から検査ミスが続くなど現場は混乱状態が続いている。
「厚労省は一次検査で擬陽性と出て二次検査に廻った頭数は一切、発表せず、確定診断が下るまでは明らかにしない方針を貫き、局長以下幹部らも沈黙している。ヨーロッパの前例からして全頭の検査を終えた時点で五〜六頭はクロという結果になるのではないか」(厚労省担当記者)
薬害エイズ、0-157で叩かれた厚労省は、イギリスで狂牛病が人に感染する可能性が認められた九六年三月、イギリス産の牛肉とその加工品の輸入を自粛指導。クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)の専門委員会も発足させ、狂牛病が人に感染して発症するCJD新変異型の患者がいないか、全国調査に乗り出すなど機敏な対応をみせた。しかし、同年十一月、第二次橋本内閣の厚生大臣として入閣した小泉純一郎・現首相(九八年七月まで)がトップに座って以降、狂牛病問題は次第に放置されていく。
「前大臣の菅直人さんの時代で、狂牛病に関するうちの対策はほぼ終った。小泉さんは菅さんとは対照的で何もしなかった。厚生省関連の問題に対して橋本総理が答弁する場合でも『自分の答弁だけでいいから』と自分の分しか読まない。官僚としては手のかからない大臣でした。ただ、カタカナ嫌いだったので『日本語に直せ』と注文するぐらいでしたね」(当時の厚生省幹部)
九八年三月、食品衛生の危機管理対策を問われた小泉厚生大臣(当時)はこう答弁している。
〈狂牛病でも牛が危険だというと狂牛病にかかっていない牛まで食べなくなっちゃう。(略)こういうことを考えると、しっかりとした情報を国民に提供することも大事ですし、予防にしても、国民に余計な不安を掻き立てないような対策も危機管理として大事なのではないか〉
無意味なパフォーマンスのため、ステーキを頬張る坂口、武部両大臣と意識レベルは大差がないような弁である。
0IE(国際獣疫事務局)の小澤義博博士は九六年以降の厚生省をこう批判する。
「厚生省は何もしなかったといえる。動物性食品を担当していたのは乳肉衛生課でここが0IEの報告書なども管理していた。だが、省庁再編で消えてしまった。その影響もあるかもしれない。狂牛病に対しては『来るのを待っていてはダメだ。目に見える病気になってからでは遅い』と世界中が真剣に考えたが、わが国は無頓着だった」
厚生省の乳肉衛生課は獣医学の学位を持った技官が来る部署だったが、現在は医療局に統合されている。食用の肉を検疫するのは厚労省の管轄であるが、「ほとんどが無審査の状態で入ってくる」とある現役の厚労省幹部が打ち明ける。
「食用の肉は毎日、各国から一度に何十万トンと入ってくる訳ですから、一々検査をすることはできません。検疫所でサンプリングされているのは全体の三〜六%です。サンプリングと言っても視認検査(目で色などを見る)する程度で、許可印をボンボン押していた。省庁再編では成田空港や全国の検疫所がリストラの対象になった。今頃慌てて人員や検査技術を強化しようとしても、うまく行くはずがありません。指導する技官や専門家のポストが減り、人が足りないのですから・・・」
不手際の続く農水省の武部大臣、厚労省の坂口大臣を入閣させたのはほかならぬ小泉首相自身である。
特に失策が続いた武部農水相は山崎派の中では三番手に挙がっていた候補者だったのを小泉首相自らが指名し、入閣させた人物である。
狂牛病の国内汚染を食いとめられなかった歴代の厚生大臣の一人でもある小泉首相。
このまま「我、関せず」を決め込むことは、もはや、許されない。
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