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名称と実態がずれていると、正しい理解が妨げられる。
連日のようにマスコミをにぎわせている「刺客」という名称は、正しいのか。刺客の仕事は、暗殺である。子連れ狼の拝一刀にせよ、ゴルゴ13にせよ、観衆に手を振ったり、支持を求めたりなどしない。
小泉純一郎首相が、郵政民営化法案に反対した議員の選挙区に送り込んだのは、「刺客」ではなく、殿の意向に手向かった家臣を成敗する、「上意討ち」の執行官というべきだ。「郵政民営化法案成立は上意なり」と書いた理由書を突きつけ、「観念せよ」と迫る代官である。カネで人を殺す「刺客」とは違う。
そもそも総選挙は、与党と野党が政権の枠組みを提示して、それを有権者が選択する場である。小選挙区制の、しかもマニフェストによる選挙であれば、なおさら、政党と政党の争いの場でなければならない。
ところが、その正々堂々たる選挙の場を利用して、自民党は上意討ちを行う。関ケ原の合戦をしようというときに、お家騒動の上意討ち執行部隊にちゃらちゃら練り歩かれたら、天下の分け目も、歴史の大義もかすんでしまうだろう。有権者は迷惑千万だ。
いくら違法でないとはいえ、与党と野党の政権をかけた次元の争いのなかに、内輪の争いが混在しては、有権者の耳目は、低次元の血なまぐさい恨みの叫びに引きつけられてしまう。小泉首相は「刺客だなんて言ってない」と言うだろうが、現に刺客という言葉が独り歩きしている。品位に欠けた選挙になりかねない。
どの政党にも、党紀を維持するために、党紀委員会のような組織がある。党執行部の意思に反した行動をした議員は、まず党籍はく奪、除名などの党内処分を終えて、党の意思を統一したうえで公認候補を立てるのが筋だ。
ところが、自民党は処分を選挙の後に残した。もしも議席が足りなかったときの用心に、保険をかけて隠し玉を握っているのではないかと疑う。
小泉首相が、党内手続きを踏んだ処分を省略し、反対派をいきなり選挙で落とそうとするのは、派閥抗争を党外の有権者に丸投げしたに等しい。
みんなで決めたことに従うのは当たり前だが、自民党はマニフェストをみんなで決めたと胸を張って言えるのだろうか。今回のマニフェストを決めた自民党総務会の出席者はわずか数人だったと報道されている。自民党は民主集中制を推進する党なのか。これでは、マニフェストは民主主義の道具ではなく、支配と強制の道具ではないか。
同様に、党総裁の意向に刃向かった郵政民営化法案反対者も、真っ先に離党手続きをとり、退路を断ったうえで、新党結成なり無所属立候補なりすべきだった。(解説委員・金子秀敏)
毎日新聞 2005年8月25日 0時58分
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20050825k0000m070175000c.html
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