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郵政民営化に再挑戦
―郵政民営化のポイント―
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1 郵政民営化はあらゆる改革につながる 『改革の本丸』
(1) 340兆円の資金の流れを 「官から民へ」 流す道を拓き、経済活性化に寄与。
(2) 国際物流への進出など新しいサービスを国民に提供。
(3) 38万人の公務員を民間人とする行政改革。 「小さな政府」 を実現。
(4) 「見えない国民負担」 から法人税・固定資産税の納付、株式売却益などにより、国、地方の財政再建に寄与。
2 今、なぜ改革しなくてはいけないか。
(1) 郵政3事業の経営は現状のままでは厳しい。 公社形態では、中長期的には 「ジリ貧」。
○ 郵便:Eメールの普及などを背景に、郵便物数は毎年2〜3%減少
○ 郵貯、簡保:金融商品の多様化、少子高齢化などを背景に、残高、契約数が減少
(注) 生田公社総裁も、「現在の公社制度のままでは、中長期的には困難な状況となり、料金値上げや過疎地のサービス打ち切りにつながりかねない。」 と発言
(2) 出口の特殊法人だけ改革すべきで、入口の郵政公社は維持すべきとの主張は誤り。
○ 公社のままでは、資金の運用対象が安全資産に限られるため、国債 (財投債を含む) の購入は避けられない。
○ 出口の見直しは小泉改革で大きく進む (特殊法人等向けの財政投融資額はピーク時の1/3程度に圧縮)。 今後、政府系金融機関改革にも取り組む。
(3) 民営化が最終的な姿に至るまでには、相当年数の準備期間と移行期間 (10年) が必要であることを考えると、直ちに民営化に取り組むことが必要。
3 民営化されても国民の資産である郵便局ネットワークは維持
(1) 過疎地の郵便局がなくなってしまうのではないか、という不安は解消
⇒ あまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置。 過疎地の郵便局はなくさないなど、国民の利便性に十分配慮。
(2) 貯金、保険サービスが打ち切られるのではないか、という不安は解消
⇒ 郵便局ネットワークの活用の義務付けや基金の設置により、貯金、保険サービスの提供を確保。
(3) 3年毎に 「経営形態のあり方を含む全ての事象」 につき民営化委員会で見直しを行うこととしており、国民に不便を生じさせる場合には、適切に対応。
一、大胆に日本の改革を進めます
1.郵政改革 <自民党は郵政民営化に再挑戦します>
(1)郵政民営化はあらゆる改革につながる「改革の本丸」
小泉内閣は「民間に出来ることは民間に」の方針のもと、構造改革に今日まで取り組んできました。
今回の郵政民営化は、行財政改革をはじめとするあらゆる構造改革につながる、「小泉構造改革の本丸」です。特に、340兆円もの国民の大切な資産が、郵便貯金、簡易保険を通じて、国債の購入や特殊法人向けの資金供給といった「官」の世界でのみ使われている事態を解消し、
民間向け資金として活用の道を拓くことは、国家財政に規律を取り戻して小さな政府を実現する上でも、経済を活性化する上でも喫緊の課題であります。
また、郵政民営化は、38万人の公務員を民間人とする行政改革であり、民間精神に基づく国際物流への進出などの新しいサービス提供や資金の多様な運用、法人税等の支払い、株式売却益などによる財政再建への貢献など、国民的な利益に適うものであります。
さらに、出口の特殊法人改革は、小泉構造改革で大きく前進しており、今後、政府系金融機関改革にも取り組みます。
(2)国会での議論
衆議院の「郵政民営化に関する特別委員会」においては、109時間という異例の長時間にわたる徹底した審議が行われました。この審議の結果を受けて、政府案に対し、郵便局での貯金、保険サービスの確保等について重要な修正が行われました。
さらに、参議院の「郵政民営化に関する特別委員会」においては、実に82時間近くにわたる審議が行われました。衆議院では行われなかった、郵便局の実地調査も行われ、「良識の府」参議院にふさわしい、内容の濃い議論が展開されました。
また、審議の中で、各委員から出された数々の疑問点に対して、政府が誠実かつ真摯に対応し、衆議院の審議では不明確であったポイントに関して、踏み込んだ答弁が行われました。
(3)郵政事業の経営は現状のままでは厳しく、公社形態では中長期的には「ジリ貧」
郵便事業は、今後、電子メール等に押されて取り扱いが減少し、収益が悪化する見通しです。また、貯金・保険事業も、制約の多い公社制度のもとでは、民間との競争に勝ち残ってはいけません。特別委員会の答弁の中で、日本郵政公社の生田総裁自らが、「現在の公社制度のままでは、中長期的には困難な状況となり、料金値上げや、過疎地のサービス打ち切りにつながりかねない」との発言をされたことを重く受け止めるべきです。
(4)今すぐ、改革の断行を
このような厳しい郵政事業の状況を考えると、現状維持に汲々とするのではなく、改革を断行することで、将来の展望を切り拓くべきだと考えます。経営が行き詰ってから、税金投入が必要となる、といった事態だけは避けなければなりません。
民営化が最終的な姿に至るまでには、相当年数の準備期間と移行期間が必要であることを考えると、後手に回るのではなく、体力のある内に先手を打って民営化を行い、新規事業への参入の道を開くことが、郵政事業の持続的発展のためには絶対に必要です。
(5)国民の不安、懸念を解消
しかし一方で、国民の間には、民営化によって「過疎地の郵便局がなくなってしまうのではないか」、「貯金や保健サービスが打ち切られるのではないか」、といった様々な不安が存在するのも事実です、
そういう不安に応えるため、特別委員会の審議の中で、法案内容がチェックされ、総理等の答弁で確認が行われています。
[1] 国民の貴重な資産である郵便局ネットワークは維持
その一つは、国民の資産である郵便局ネットワークは、民営化後も維持されるということです。
言うまでもなく、郵便局株式会社法案で、「・・・あまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置しなければならない」という義務が定められています。
さらにこの義務規定に加えて、省令案や政府答弁により、過疎地においては、現行の郵便局ネットワークの水準は間違いなく維持されるということが明確に担保されているとともに、過疎地以外の都市部においても、国民の利便に支障が無いよう、十分な配慮がなされることが確認されました。
特に、特別委員会での答弁において、小泉総理から「郵便局ネットワークは国民の資産」であり、「このネットワークを守って、万が一にも国民の利便に支障が生じないようにしていきたい」との決意が示されたことは非常に重い意味があります。
以上のことから、国民の間にある郵便局がなくなるのではないか、との懸念は、国会での審議を通じて払拭されたと考えます。
[2] 郵便局における貯金・保険サービスの確保
2つ目は、貯金・保険サービスについても、郵便局ネットワークを活用して現行水準のサービス提供が、しっかりと担保されていることです。
衆議院の修正により、銀行・生命保険業の代理業務について法案に明示され、地域・社会貢献基金を2兆円まで増額できるようになりました。また、「移行期間後の持株会社による連続的な株式保有」も可能となりました。
しかも、参議院での答弁で「移行期間中であっても郵便局会社による貯金・保険2社の株式保有が可能である」ことが確認されたため、3事業一体的なグループ経営により、これまでと同様、郵便と貯金・保険が一体となったサービスの確保が可能であると考えます。
[3] 3年ごとの見直しにより、適切に対応
そして3つ目は、3年ごとの見直し規定が設けられていることです。
ここで言う「見直し」とは、「経営形態のあり方を含む全ての事象を対象とする」ものであることを小泉総理が明確に答弁され、民営化委員会によって郵政民営化の進捗に関してあらゆる見直しが行われることが確認されています。
平成29年の完全民営化までの長い道のりの中で、実際に国民に不便を感じさせるような事態が発生した場合には、4分社化といった経営形態のあり方も含めて、適時適切に見直しが行われます。
こういった答弁で確認された事項は、委員会での15項目にわたる附帯決議という形で、さらに確実に担保されております。
(6)郵政民営化が日本を変える
このような政府・与党の長期にわたる真剣な努力にかかわらず、郵政民営化法案は去る8月8日、参議院本会議において不幸にも否決されてしまいました。
改革派だったはずの民主党が将来の民営化の必要性を認識しながら、改革の厳しさに直面する勇気をもてず、公社の中期計画に格好の口実を見つけて改革先延ばし論に堕し、一日も長く公社のもとでの官公労体制を維持したいという労組の考え方と安易に野合してしまったことが第1の要因です。また一部自民党議員の中にも残念ながら、政府与党の前記の努力に対してわざと目をつむり、あるいは耳をふさいでその意味を理解しようとせず、最終的に党議に反する行動に走る者が出てしまった。これが第2の要因でした。
しかし政治家は、国家国民の利益になる以上、いかなる困難も克服し、その改革を実現していかなければなりません。そもそも、郵政民営化は小泉総理が政治家として、長年信念を持って取り組んでこられたテーマです。しかし、小泉総理よりはるか以前に実はこれを提唱していた人物が居ます。和歌山県出身で初代郵政大臣にあたる初代駅逓頭を務めた浜口梧陵翁です。この浜口翁は津波から住民を守った「稲叢の火」の逸話や私財での堤防建設といった、現代のボランティアやPFIを先取りしたような正に「民間主導」の業績を数多く残している人物ですが、この浜口翁が郵便事業に関して「将来は民間の経営に委ねるのがよい」との言葉を実質的な初代郵政大臣として今から134年前の明治4年に残しております。
改革の先哲の志を受け継ぎ、立党50年の今、自民党は改革政党に変わりました。その姿を今回の選挙でも国民にはっきり見せなければなりません。そして、総選挙で国民の皆さんの支持をいただき、自民党は日本を変える郵政民営化に再挑戦する決意でおります。
2.政治改革
わが国における諸改革を推進するためには、まず、国会議員が率先して自らの身を切る改革をする必要があります。
わが党は、よりオープンで国民から信頼される政党を目指し、候補者の公募制度や法令遵守を徹底するためのコンプライアンス室の設置など、これまで多くの党改革に取り組んできました。
とりわけ政治資金に関する改革については、政治活動の自由を担保しつつ、政治資金の透明性を確保するため、
[1] 政党および政治資金団体以外の政治団体間の寄附の個別制限を年間5,000万円までとする
[2] 政治資金団体が受ける寄附および政治資金団体がする寄附は、預金等の口座への振込み又は振替によるものとする
以上の二点を内容とする「政治資金規正法」の改正を目指します。
3.行政改革
(1)国・地方を通ずる公務員の改革
[1] 総人件費削減(定員の純減、給与の見直し、公的部門全体の人件費抑制)
ア)財政改革の一環として、国・地方を通じて公務員の総人件費を大幅に削減します。
イ)事務事業を徹底的に見直し、国家公務員について、これまでの実績(過去5年間で2,535人)を大幅に上回る純減目標を策定します。また、地方公務員についても、過去5年間の実績(4.6%)を大幅に上回る総定員の純減を実現します。
ウ)民間賃金の改革や地域の賃金の状況を踏まえ国家公務員の給与・退職手当体系を見直します。また、地方公務員の給与・手当等の適正化を強力に推進します。
エ)特殊法人、独立行政法人、地方公社、公益法人その他の公的部門の人件費については、原則として、国家公務員・地方公務員の総人件費削減に準じて厳しく削減します。
[2] 能力・実績主義の人事
能力・実績主義の人事、再就職の適正化等を推進するため、公務員制度改革関連法案の早期国会提出を目指します。このため、新しい人事評価の仕組みを平成17年度から試行します。
[3] 再就職の適正化
営利企業への再就職者の行為規制を厳格化するとともに、独立行政法人、公益法人等も含めた再就職全体について、明確なルールに基づき、内閣が責任をもってチェックします。
[4] 法令遵守(コンプライアンス)の徹底
各府省および地方公共団体にコンプライアンス体制を構築する等により、公的部門の法令遵守を徹底するとともに、これを監視する機能を強化し、官製談合や不適切な公金管理等の不祥事には厳正に対処します。
(2)「官から民へ」の観点からの事務事業の徹底した見直し
以下の各項目について、5年程度の「行政スリム化プログラム」を策定し推進します。
[1] 公共サービス効率化制度(市場化テスト)
公共サービスの質の維持向上・経費の削減等に資するよう、「公共サービス効率化法(市
場化テスト法)案」(仮称)を平成17年度中に国会に提出するべく、速やかに準備します。
[2] 官業の民間開放の推進
国、独立行政法人、行政代行法人などが行う官業について、「民でできることは民で」とい
う方針の下、民間開放を強力に推進します。
[3] 法令の整理
すべての振興法、助成法などをゼロベースから見直し、法令の改廃、補助金等の財政支出の削減や担当部局のスリム化を大胆に行います。
[4] 規制の全面見直し・新設審査、裁量行政の排除
官製市場やその他国民生活、産業活動に関連する様々な課題について徹底した規制改革を進めます。また、規制の新設に当たり、規制の影響分析や厳格な審査を行うとともに、規制の見直し基準を策定し、裁量行政の排除、過剰規制の撤廃等を進めます。
[5] 地方支分部局の見直し
地方支分部局の組織・業務を抜本的に見直し、廃止、独立行政法人化、地方移譲、公共サービス効率化制度(市場化テスト)・民間開放等を集中的に進めます。
[6] 情報通信技術の活用
ITの活用と抜本的な業務改革を行い、内部管理要員の3割以上の削減やオンライン申請の促進による合理化などを集中的に進めます。
(3)公益法人制度改革
「民間が担う公共」の重要性を踏まえ、民間の寄附文化の育成等を通じ、民間非営利部門の活動を促進するため、公益法人制度を明治以来100年ぶりに抜本的に改革します。
現行の主務官庁による公益法人の設立許可制度を廃止し、新たな非営利法人制度の創設などを内容とする法案を次期通常国会に提出します。
(4)政府関係法人の合理化、効率化
[1] 政策金融機関の改革
本年秋に向けて議論を行い、政策金融のあるべき姿の実現に関する基本方針を取りまとめ、平成20年度に新体制に移行します。
[2] 独立行政法人の改革
独立行政法人については、3〜5年ごとの「中期目標期間終了時の見直し」のもとで、廃止・統合や民営化を含め、組織・業務全般を極力整理縮小するとともに、原則として非公務員化します。特殊法人等から移行した独立行政法人については、事業の廃止・縮小・重点化などを通じて財政支出の削減を図ります。
[3] 行政代行法人等の改革
行政代行法人等については、官民の役割分担、規制改革、国の関与等の透明化・合理化及び財政支出の抑制等の観点から、厳格な見直しを行います。
(5)特別会計の見直し
各特別会計について、改廃も含めた制度改革の推進、歳出の効率化・合理化、一般会計からの繰入れの抑制等を図ることとし、5年程度の「特別会計整理合理化計画」を策定します。
(6)省庁再編レビュー
省庁再編から5年の経過(平成18年)を機に、問題点の洗出しと必要な見直しを行います。
(7)国会等の改革
国会、裁判所、会計検査院及び人事院の職員の人員、機構、給与・手当について、思い切った改革方策を本年度中に取りまとめ、平成18年の通常国会で法令改正を含む所要の措置を講じます。
(8)予算編成プロセス等の改革
[1] 予算書・決算書の項目・区分の統一
政策ごとに予算と決算を結びつけ、予算と成果を評価できるよう、平成20年度予算を目途に予算書・決算書の見直しを行います。
[2] 政策評価等の予算反映
政策評価等を予算に適切に反映するため、政策評価については、次年度予算の概算要求にあたり、各府省に対し施策などの評価結果の提出を求め、予算編成での活用に努めます。また、政策評価と予算の連携強化を含め、政策評価制度に関する見直しの具体化を進めます。
[3] 公会計の整備
各省庁の財務状況に関する説明責任の明確化等を目的とした省庁別財務書類の取組みを進めるとともに、国の財務状況を開示する財務書類を作成・公表します。
[4] 決算重視主義
決算審査の早期実施を進めるとともに、審査結果を後年度の予算に的確に反映させます。
4.構造改革特区
構造改革特区については、地方公共団体や民間事業者等から6回に渡って募集した提案を踏まえ、農業、教育、医療といったこれまで困難とされてきた分野も含め、特区の特例措置として194、全国措置として312の規制改革を実現してきました。また、現在までに548の特区計画を認定し、さらに、特区で講じられた規制の特例措置については、評価委員会の評価を踏まえ、全国展開を図ることとしており、現在、46の規制の特例措置について全国展開することを決定しています。
特区は、「官から民へ」「国から地方へ」という構造改革をさらに加速させるための一つの突破口であり、地方や民間の関心も高く、引き続き、提案を実現するためにはどうすべきかを検討を行い、特区で実現できる規制の特例措置を追加・充実するとともに、特区計画の認定を進めます。また、評価委員会において「特段の問題が生じない」とされた規制の特例措置については、速やかに全国展開を図っていきます。
5.財政・金融システム改革
(1)不良債権問題の正常化
金融は、家計等から調達した資金を国民経済のすみずみまで運び、民間の成長分野へ円滑に供給する機能を担っています。こうした機能を強化し金融の再生を図るため、金融機関が適切な経営を保持することが必要です。
そのような観点から、平成14年10月に策定された「金融再生プログラム」では、平成14年3月期に8.4%にまで上昇していた主要行の不良債権比率を平成17年3月末までに半減させ、バブル崩壊以降わが国経済の大きな足かせとなっていた不良債権問題を抜本的に解決し、構造改革を支えるより強固な金融システムを構築することとしていました。
それ以来、これまでの2年半の間、産業再生機構やRCC(整理回収機構)が中心となって産業と金融の一体再生に向けた取組みなどを強力に推進し、また、金融機関の方々、あるいは債務者企業を始めとした関係者の皆様方が血の滲むような努力をされた結果、平成17年3月期の不良債権比率は2.9%となり、主要行の不良債権問題の正常化が果たされました。
今後、不良債権問題が再発し、再びわが国経済の足かせとならないように、不良債権問題の再発防止のためのルールを整備するとともに、主要行の不良債権比率が平成17年3月期の水準以下に維持されるよう努めます。
(2)証券市場の構造改革と活性化
「貯蓄から投資へ」の流れを加速するため、証券市場の構造改革および活性化に向けた諸施策を実施してきています。
これまでに、証券仲介業制度の導入などにより証券の販売経路の拡充・多様化を促進してきたほか、親会社情報の開示の充実やTOB(公開買付)規制の適用範囲の見直しなど開示制度等を改善するとともに、インサイダー取引等の不公正取引や開示義務違反に対する課徴金制度の導入、証券取引等監視委員会の検査範囲の拡大や人員の増強など市場監視機能・体制を強化しました。
証券税制については、上場株式等の配当・譲渡益に優遇税率(5年間一律10%)を適用してきているところであり、平成17年度税制改正においても、いわゆるタンス株式について平成17年4月以降も実際の取得価額での特定口座での受入れを可能とするなど投資家の利便性の向上を図っています。
また、資産形成ニーズの多様化や金融技術の進展により新たな金融商品が次々と出現してきており、横断的法制による適正な利用者保護が求められていることに加え、四半期開示・財務報告に係る内部統制などの開示制度やTOB(公開買付)制度、証券取引所の自主規制のあり方など証券市場制度についても様々な課題が提起されているところです。今後の取組みとしては、こうした状況を踏まえ、金融実態に対応した利用者保護ルール等の整備・徹底、市場機能の充実とその信頼性の向上等の観点から、金融・投資サービスに関する一般法としての「投資サービス法(仮称)」を早期に法制化するほか、必要な開示制度の改革などを進め、個人投資家をはじめとする多様な投資家の証券市場への参入の促進と証券市場の活性化を図ってまいります。
(3)持続可能な財政の構築
平成13年6月の「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」(「骨太の方針」)では、民間経済、金融、財政の構造改革を強力に実施することによって、民需主導の経済成長を実現するとの方針が示され、小泉内閣の下で、歳出を抑制する中で、さまざまな規制改革・制度改革や金融改革による経済活性化を進めてきました。その結果、民需の回復に支えられた着実な景気回復が実現しており、改革の成果が着実に現れています。財政運営については2010年代初頭に基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化するとの目標の下で、社会保障改革や三位一体の改革など、さまざまな分野の改革に取り組んできたところであり、17年度予算においては、一般歳出を前年度の水準以下に抑制し、新規国債発行額を前年度よりも減額し、2年連続で基礎的財政収支の改善を実現しました。
しかしながら、現在のわが国の財政状況は、平成17年度末における国及び地方の長期債務残高が774兆円程度、対GDP(国内総生産)比で151%に達すると見込まれ、先進国の中で最悪の水準となっているなど、依然として極めて厳しい状況にあります。このままの状態を放置すれば、持続的な経済成長の足かせとなり、わが国に対する信認の低下を招くおそれもあります。子や孫の世代に負担を先送りしない財政運営によって、健全な経済・社会を実現するためには、財政健全化に躊躇なく取り組む必要があります。
今後とも、高齢化の進展等を踏まえ、社会保障改革など、聖域なき歳出改革に引き続き積極的に取り組むとともに、必要な歳出に要する費用を広く公平に分かち合う観点から、これまでの与党税制改正大綱を踏まえ、税制の抜本的改革に取り組むことにより、2010年代初頭の基礎的財政収支黒字化を目指します。
6.税制改革
税制については、新しい時代への税制改革の道筋を国民に示しながら、持続的な経済社会の活性化を実現するための税制改革に取り組んできました。今後も、行財政改革に果断に取り組みながら、国民の合意を得つつ、新しい時代にふさわしい税体系の構築を目指します。
具体的には、これまでの「与党税制改正大綱」に沿って改革を進めることとし、
[1] 平成18年度において、三位一体改革の一環として、所得税から個人住民税への制度的な税源移譲を実現します。
[2] さらに、平成19年度を目途に、社会保障給付全般に要する費用の見通し等を踏まえつつ、あらゆる世代が広く公平に負担を分かち合う観点から、消費税を含む税体系の抜本的改革を実現します。
平成17年度税制改正においては、少子・高齢社会の到来、国際化や情報化の進展といった経済社会の変化に適切に対応し、持続的な経済社会の活性化を実現するため、以下の通り広範な改正を実施しました。
(資産の有効活用の促進)
住宅税制については、資産の有効活用を促進するため、平成16年度税制改正における住宅ローン減税の延長・重点化に加え、個々人のライフスタイルにあった住宅の選択肢を広げ、若年層の子育て世代の持家ニーズに応える観点から、住宅ローン減税などの特例措置の適用対象となる中古住宅の要件を緩和しました。具体的には、地震に対する安全基準に適合する中古住宅については、建築後の経過年数にかかわらず適用の対象としました。
(金融資産の有効活用の促進)
金融・証券税制については、「貯蓄から投資へ」の改革を促進するため、上場株式等の配当・譲渡益への優遇税率(5年間一律10%)の適用の下、株式投資を促進する環境を整備する観点から、特定口座で管理されていた株式の無価値化による損失を譲渡損失とみなす特例を創設しました。また、今後実施が予定されている株券のペーパーレス化も考慮し、投資家の利便性を高める観点から、タンス株について平成17年4月以降も実際の取得価額での特定口座での受入れを可能としました。
(経済のグローバル化への対応)
外国子会社合算税制について国際的な企業活動の実態に一層対応したものとする改正を行いました。また、非居住者・外国法人が保有する国債の非課税特例を受けるための手続を簡素化しました。
(事業の再構築と前向きな企業活動の支援)
ベンチャー企業への投資を促進する観点から、平成16年度税制改正におけるエンジェル税制の拡充に加え、エンジェル税制の2分の1課税の特例の適用期限を2年延長しました。
また、債務が過剰となっている企業の迅速な事業再生を可能にするため、民事再生法の法的整理等が行われた場合に、資産の評価損益の計上等を認める措置を講じるとともに、企業の人材育成の取組みを支援するため、教育訓練費に係る優遇措置を講じました。
(経済社会の変化への柔軟な対応)
寄附金税制については、公益的な活動を行う団体等への寄附を行いやすくする観点から、所得税の寄附金控除の限度額を総所得の25%相当額から30%相当額に引き上げるとともに、特定非営利活動法人(いわゆるNPO法人)の活動を支援するため、認定NPO法人の認定要件の緩和等を行いました。
このほか、定率減税については、導入時と比較した経済状況の改善等を踏まえ、その規模を、2分の1に縮減しました。
7.社会保障改革
(1)持続可能な社会保障制度の確立
社会保障制度は、個人の責任や自助努力のみでは対応し難いリスクに対して、社会全体で支え合う制度であり、国民の「安心」や生活の「安定」を支えるセーフティネットとして、重要な役割を担っています。したがって、社会保障制度が持続可能であることは国民生活にとって不可欠です。
2007年から人口減少社会を迎えるなど少子高齢化が進展する中で、社会保障制度を持続可能なものとし、国民の将来に対する不安を解消していくためには、年金、医療、介護などの社会保障制度全般について、一体的な改革に取り組んでいくことが必要です。
このため、税、保険料の負担や給付の在り方、公的に給付すべき範囲の在り方、各制度間の調整の在り方など制度全体の在り方を踏まえながら、早急な改革が求められている医療を始めとして次のような各制度の不断の改革に取り組みます。
(2)健康フロンティア戦略の更なる推進(健康寿命の伸長)
人口の急速な高齢化が進行する中、疾病構造が変化し、糖尿病有病者に糖尿病の可能性を否定できない者を含めると約1,600万人に上るほか、がんは死亡原因の約3割を占めるなど、糖尿病、心疾患、脳卒中やがん等の生活習慣病が増加しています。こうした中、国民一人ひとりが生涯にわたり元気で活動的に生活できる「明るく活力ある社会」を構築するため、昨年与党で「健康フロンティア戦略」を取りまとめました。今後は、健康で自立して暮らすことのできる「健康寿命」を伸ばすことを目指し、「働き盛り層」「女性層」「高齢者層」など国民各層を対象とした生活習慣病対策、介護予防施策の推進及び「健康寿命を伸ばす科学技術の振興」を柱とした「健康フロンティア戦略」の本格化を図ります。
また、生涯を通じた歯科保健活動として、「8020運動」を推進し、生活の質の向上を図ります。
(3)医療制度改革(安心で質の高い医療提供体制、持続可能な医療保険制度)
わが国の医療制度は、すべての国民がいつでも必要な医療を受けることができる国民皆保険制度を採用しており、こうした仕組みにより、世界最高水準の平均寿命や高い保健医療水準を実現する上で大きく貢献しています。一方で、急速な少子高齢化の進展により、医療保険財政は大変に厳しい状況にあり、また、医療技術の進歩など様々な要因を背景として、より質の高い効率的な医療サービスの提供が求められています。
こうした医療制度を取り巻く状況の変化に対応しつつ、国民の健康・長寿の基盤となる国民皆保険制度を堅持し、引き続き、国民誰もがいつでもどこでも安心して良質な医療を受けることができるよう、
[1] 医療保険制度については、安心と持続可能性を確保するため、新たな高齢者医療制度の創設や医療費の適正化をはじめとする改革の実施
[2] 地域の医療機能の適切な分化・連携を進める医療計画制度の見直しや小児救急をはじめと
する救急医療体制の確保等を通じ、地域での医師の確保を含めた安全・安心で質の高い医療
提供体制の構築に向けた改革の実施、
など、医療制度の改革を断行し、年内に改革案をまとめ、来年の通常国会に法案を提出します。
(4)介護保険制度改革の着実な実施(介護予防、地域介護の推進)
平成12年にわが党が中心となって創設した介護保険制度については、創設以降、介護サービスの利用者数・利用量とも、在宅サービスを中心に大幅に増加しており、介護を必要とする高齢者の日常生活を支える制度として、大きな成果を挙げてきました。
しかし、その一方で、制度が定着してきたことに伴って、軽度の要介護の方々の大幅な増加、在宅と施設の利用者負担の公平性といった問題や、認知症や一人暮らしの高齢者の増加といった社会環境の変化など、課題も明らかになってきました。
こうした課題に対処し、介護保険制度の持続可能性を確保するため、先の国会において介護予防の推進、ホテルコスト・食費等の利用者負担の見直し、認知症や一人暮らしの高齢者を地域で支える新たなサービス体系の確立等を内容とする介護保険制度改革のための法律を成立させました。今後は、この制度全般にわたる改革を着実に実施するとともに、末期がん患者のケアの充実のため、介護保険を適用します。
(5)信頼と安心の年金制度の更なる展開
わが国の公的年金制度は、老後の所得保障の柱として、名実ともに国民生活に欠くことのできない重要な役割を果たしています。年金制度については、給付と負担の両面から2004年に改革を行い、将来にわたって国民の信頼に応えられる持続可能で安心な年金制度を構築しました。
また、先の通常国会でもわが党のイニシアティブにより、衆参両院本会議で決議を行い、これに基づいて設置された「年金制度をはじめとする社会保障制度に関する両院合同会議」において、年金改革について国民の立場に立った真摯な議論を進めてきました。
年金制度については引き続き、国民皆年金を堅持するため、基礎年金国庫負担割合の2分の1への引上げを実現します。さらに、公務員を含めたサラリーマンの年金制度の一元化を推進し、いわゆる官民格差の是正を推進します。併せて非正規労働者も厚生年金に加入できるよう目指すことにより、年金への信頼と安心を一層強化していきます。
(6)社会保険庁改革の断行
社会保険庁については、国民の信頼を回復するため、民間の発想や感覚を大胆に導入し、業務・組織両面にわたる改革を着実に進めることが必要です。社会保険庁改革はわが国の社会保険制度の信頼回復に不可欠なものと位置づけ、党内において真剣に議論を行い、組織改革について報告をとりまとめました。
その結果、現行の社会保険庁は事実上廃止し、公的年金については、新たな政府組織において、確実な保険料収納と給付を確保し、安定的な運営を図ります。あわせて、政府管掌健康保険については、医療保険制度改革の一環として、その運営を国から切り離し、全国単位の公法人を設立します。
このため、来年の通常国会に関連法案を提出し、収納率・サービスの向上、人員・コストの削減、組織の統廃合等を進め、平成20年に新組織に移行させ、移行1年後には、新組織の厳格な評価・検討を行います。
8.司法制度改革
(1)日本司法支援センターの設立
わが党は、これまで国民にとって縁の遠い存在であった司法を身近なものとするため、昨年の通常国会で総合法律支援法を成立させました。これにより、平成18年度には日本司法支援センターが新設され、情報提供、民事法律扶助、司法過疎対策、犯罪被害者支援等の業務を行います。わが党は、支援センターの組織体制を万全のものとし、全国どこでも法的トラブルに必要な情報やサービスの提供が受けられる司法ネットを整備します。
(2)日本法令の国際的発信
社会の国際化が急速に進む中、国際取引や対日投資等の場面で、わが国の法制度が果たすべき役割は飛躍的に増大しています。
しかしながら、日本の法制度の国際的な情報発信が諸外国に立ち遅れている結果、日本法は、日本企業等の要望にもかかわらず、国際的な紛争解決の場面で活用されず、国際的にみて透明性を欠くという指摘を受けています。
わが党は、日本法の国際的発信を戦略的観点から強力に推進することとし、まず、平成18年度から3年間で約200本の日本法令の英訳を集中的に整備し、広く国際社会に発信していきます。
(3)新しい法曹養成制度のフォローアップ
21世紀の司法を支えるためには、法曹の質を確保しつつその量を大幅に増加することが必要です。そこで、法科大学院制度を始めとした新しい法曹養成制度の充実と適切な運用を確保するとともに、平成22年ころには司法試験合格者数を年間3,000人程度とし、平成30年ころには法曹人口が5万人規模に到達することを目指すなど、新しい法曹養成制度を的確にフォローアップしていきます。
(4)裁判外紛争解決手続(ADR)の拡充・活性化
ADRの利用の促進を図るため、平成16年臨時国会でADR法を成立させました。わが党は、平成19年までに施行されるこの法律の適正な運用を図り、安心して利用できる実効的なADRが多数提供され、また、各種分野の専門家が多くの場面で一層活躍できるよう、ADRの拡充・活性化を推進します。
(5)裁判員制度の円滑な実施
平成21年5月までに始まる裁判員制度が円滑に実施されるためには、同制度についての国民の理解と関心を深め、刑事裁判への主体的参加を可能とする措置を講じる必要があります。
このため、広報啓発活動の推進、国民の参加を容易にする環境の整備、法教育の充実などさまざまな取組みを推進します。
9.男女共同参画社会
(1)男女共同参画社会の実現
男女が、性別に関わらず、その個性と能力を十分に発揮できる男女共同参画社会を目指します。そのため、男女共同参画社会基本法に基づき平成17年中を目途に男女共同参画基本計画を改定し、新計画に基づき、仕事と家庭の両立支援や女性の暴力の根絶等、関連施策の総合的かつ効率的な推進を図ります。特に、2020年までに、社会のあらゆる分野において、指導的地位に女性が占める割合が、少なくとも30%になるように期待します。また、子育て等でいったん仕事を中断した女性の再就職・起業等の「再チャレンジ」を支援するため、平成17年中に「女性の再チャレンジ応援プラン(仮称)」を策定し、その着実な実施を図ります。
(2)男女雇用機会均等の更なる推進
男女雇用機会均等法が施行されてから20年目に入りましたが、労働者が性別により差別されることなく、かつ、母性を尊重されつつ、その能力を十分発揮できる雇用環境を整備することが以前にも増して重要になっていることから、妊娠や出産を理由とする不利益取扱いの禁止や、女性の坑内労働に係る規制緩和などについて改正法案を次期国会に提出します。
10.NPO支援
特定非営利活動促進法(いわゆるNPO法)の施行後、この法律に基づき認証されたNPO法人数は2万件を超え、福祉、教育文化、まちづくり、環境、国際協力など様々な分野で、市民による自由な社会貢献活動が広がっています。より活力があり豊かで安心できる社会を築く上で、多様な市民の参加とつながりをもたらすNPO(民間非営利組織)は、新たな社会づくりの担い手として重要な役割が期待されます。
こうしたNPO活動の促進を図るため、市民からの寄附を促す税制上の仕組みである認定NPO法人制度をより多くのNPO法人が活用できるよう、その活動実態を踏まえ認定要件の緩和などを検討しています。また、NPOが市民からの信頼を得て、企業、地縁組織、学校、行政など様々な主体との協働の下で十分に活躍できる環境を整備するため、人材育成や情報提供の充実など様々な支援策を積極的に実施します。
11.地方の改革
(1)地方分権のさらなる推進
地方分権の更なる推進のため、国から地方公共団体に対する関与を縮小し、地方公共団体への必置規制や義務付け等の廃止や緩和を図るとともに、地方公共団体が条例で定めることのできる範囲を大幅に拡大します。
(2)市町村合併の推進
市町村合併の結果、17年度末までに1822自治体となりますが、合併の進んでいない地域を中心に、さらなる合併を推進します。
(3)地方行革の推進
事務・事業の再編・整理、民間委託等の推進、定員管理の適正化、給与・手当等の適正化、第三セクターの見直し等について、17年度中に地方公共団体が作成・公表する「集中改革プラン」により、地方公共団体間の給与・財政状況等を比較可能とし、これを推進力として、地方行革を強力に推進します。
(4)道州制導入の検討促進
国・地方を通じた行財政の改革を実現し、新しい「国のかたち」を構築するため、道州制導入の検討を促進します。
(5)地方税、財政改革の推進
地方税の充実など地方一般財源を拡充し、地方分権にふさわしい税財政基盤を確立します。政府・与党合意に基づき、国と地方との協議の場などを通じて地方の意見を聴きつつ、三位一体改革を確実に実施します。
(6)三位一体改革の推進
[1] 国庫補助負担金の改革
地方六団体案を尊重しつつ税源移譲に結びつく改革を実現します。
[2] 税源移譲による税源再配分
個人住民税率のフラット化を基本に、概ね3兆円規模の税源移譲を実施します。
[3] 地方交付税の改革
地方団体の安定的な財政運営に必要な地方交付税などの一般財源を確保するとともに、税源
移譲に伴う財政力格差が拡大しないよう地方交付税により適切な対応を行います。
12.新憲法制定
新憲法制定に向け、本年11月15日までに党憲法草案を策定します。新憲法の制定は、わが党立党以来の党是です。自由と権利には、責任と義務が伴うことを自覚しつつ、21世紀の日本の国家像を明らかにする党憲法草案を策定します。
あわせて、新憲法制定のための「国会法の一部を改正する法律案」及び「日本国憲法改正国民投票法案」の早期制定を目指します。
二、地域と都市の再生を目指します
1.地域の再生
わが国の景気は着実な回復を続けているものの、地域間のバラツキの存在は依然として解消されていません。地域経済の活性化なくして、わが国経済の本当の回復はありえません。
このため、わが党は昨年の地域再生に関する中間報告を踏まえ、具体的に取り組みます。
[1] 地域の自主・自立の取組みによって地域経済の活性化や雇用の機会の創出など、地域は持続可能な活力の再生を図り、国はそうした取組みを加速するため地域にとって魅力的な施策を充実させるなど、地域再生の取組みを一層強化します。
[2] 平成16年2月に地域再生プログラムを、17年3月に地域再生法を制定し、合計で731件の地域再生計画を認定しましたが、地域のアイデア競争を一層推進するため、地域再生計画と連携する支援措置の充実を図るとともに、地域再生計画の認定を着実に進めます。
[3] 平成17年度予算において、地域の自主性、裁量性を高めるための810億円の地域再生基盤強化交付金が実現しましたが、引き続きその有効な活用を促していきます。
[4] 地域再生の礎として、自治会、講などの地域の人々のつながり(ソーシャルキャピタル)の役割を重視し、NPOや民間事業者などの多様な担い手が参画する地域社会を実現します。
[5] 地域のひとづくり、知恵の集積・活用の中核として、地域に貢献する活動を行う大学等への支援を充実し、地域の知の拠点の再生を図ります。
2.社会資本整備
<豊かな国土>
(1)全国から地域まで一貫した国土計画の推進
わが国の国土政策の根幹を定める国土総合開発法を、人口減少や成熟社会に対応するため抜本的に改正し、これまでの国土総合開発計画に代えて、新たに策定される国土形成計画において、国と地方の協働によるビジョン作りや、開発中心からの転換を目指すことになりました。国土政策上の様々な課題に対する処方箋を示し、国民が安心して生活しうる国土の将来像と、豊かでゆとりある国民生活のあるべき姿を示す国土形成計画の策定を早急に進めます。
(2)都市生活を改善するまちづくりと地方の個性ある活性化
「都市と農山漁村の共生・対流」など多様な連携・交流に対する支援、地域住民、NPO、地元企業等多様な地域づくり主体の育成、地域の魅力づくり、地方産業の振興等を推進することにより、地域の個性を活かした新しいライフスタイルの実現やまちづくりを積極的に推進します。特に、多くの人々が暮らしやすい集約型都市構造を実現し、中心市街地を再生するため、都市機能の適正立地と、中心市街地における賑わい回復とを一体的に推進します。また、地域の創意工夫を活かした「地域が主役のまちづくり」を推進するため、まちづくりに係る支援事業の充実を図るとともに、土地区画整理事業、市街地再開発事業等の面的整備、道路、下水道、公園、河川及び駐車場等の都市基盤の整備、無電柱化、住宅の供給等を推進します。
また、地域の個性を活かした景観計画の策定や、緑の保全・創出などを進めることにより、良好な景観と緑豊かなうるおいある生活空間の創出を推進します。さらに、地域間の交流連携を図るとともに、交通渋滞の緩和、交通事故の減少、物流の効率化を図るため、大都市圏の環状道路、高規格幹線道路及び地域高規格道路などの自動車専用道路等のネットワークの整備を推進します。また、開かずの踏み切りの解消、沿道環境が厳しい交差点における交差点立体化を推進するなど都市生活の質を高めるための環境整備を推進します。
地域公共交通は生活交通手段として不可欠であり、地域の活性化、環境対策としても重要でありますので、地元自治体や交通事業者とともに必要な方策とその実施のための役割分担を定めた公共交通活性化総合プログラムを策定し、これに基づいた各種施策によるサービスの改善を推進するなど、国、地方公共団体、住民、事業者が一体となった総合的な支援策を検討します。
また、三大都市圏においては、環状道路の整備(平成16年度中に首都圏中央連絡自動車道あきる野〜日の出2.0キロ、東海環状自動車道豊田東JCT〜美濃関JCT73.0キロ等を供用)、業務核都市の育成、大阪湾臨海地域の開発整備、琵琶湖総合保全、筑波研究学園都市及び関西文化学術研究都市の整備、並びに大深度地下の適正かつ合理的な利用等を推進します。また、都市再生を円滑に推進するための地籍調査を促進します。
加えて、地域の活性化を図るため、稚内から石垣までを対象とする全国都市再生のための取組みを推進し、地方と民間のパートナーシップによるまちづくりを進めます。また、都市の魅力と国際競争力を高めつつ、都市開発投資の推進を通じた経済の活性化を図るため、美しい街並みや緑豊かな都市環境の形成、ゴミゼロ型都市、密集市街地の解消、都市の安全・安心の再構築に向けて、都市再生プロジェクトの強力な推進や、都市再生緊急整備地域における優良な民間都市開発の支援等を引き続き行ってまいります。また、都市部におけるヒートアイランド現象に対処するため、路面温度を低下させる効果がある舗装の敷設、水辺の再生、都市公園整備や屋上緑化などの水と緑のオープンスペースの確保を推進するとともに、豊かでうるおいのある質の高い都市生活を実現するため、身近に自然に親しめる川づくりや水質汚濁が慢性化している水域における水質改善を推進します。
さらに、住民生活の向上と活力ある地域社会や豊かな自然を活かした地域づくりを進めるため、北海道総合開発や豪雪地帯、離島、半島、奄美群島・小笠原諸島の振興を推進し、自立的な発展を支える基盤整備、産業振興、自然・文化資源等を活かした連携・交流を推進します。また、海上輸送の効率性・安定性の確保を通して地域産業の競争力を高めるため、多目的国際ターミナル等の整備を推進します。さらに、高齢者、身体障害者等の自立した日常生活や社会生活を確保するため、公共交通機関、歩行空間、住宅・建築物等の一体的・連続的なバリアフリー化を促進します。
このため、駅やバスターミナル、旅客船ターミナル及び航空旅客ターミナルなどにおいて、段差の解消や視覚障害者誘導用ブロックの整備等を進めます。また、低床バス車両・ノンステップバス車両の導入や鉄道車両、旅客船、航空機のバリアフリー化を推進します。さらに、高齢者や身体障害者等が日常的に利用する学校や病院などの建築物において、身体障害者等の利用に配慮したエレベータや幅の広い廊下等の施設整備を進めるとともに、このような建築物と駅等を結ぶ歩行空間において、幅の広い歩道の整備、歩道の段差・勾配の改善、エレベータ等が設置された歩道橋の整備等を行います。加えて、住宅のリフォームを支援すること等により、手すり設置や広い廊下幅の確保、段差の解消等の住宅のバリアフリー化を推進します。また、高齢者等に配慮した公営住宅等のバリアフリー化を促進します。さらに、「どこでも、だれでも、自由に、使いやすく」というユニバーサルデザインの考え方を踏まえ、高齢者・障害者等の公共交通機関の移動の円滑化の促進を目的とした、いわゆる「交通バリアフリー法」、及び高齢者・障害者等が円滑に利用できる建築物の促進を目的としたいわゆる「ハートビル法」の一体化を図り、バリアフリー化を一層推進します。
(3)総合的な水資源対策の推進
第3回世界水フォーラムの成果を踏まえ、関係各国及び国連等国際機関と連携し、水に関する技術の普及や人材育成を推進するとともに、21世紀の持続可能な発展のために重要な課題である健全な水循環系の構築を目指すため総合的な水資源対策を実施します。また、水利用の安定性の確保等の諸課題を踏まえて水資源開発基本計画を着実に推進します。さらに、気候変動が水資源に与える影響や持続的な地下水の利用、雨水の貯留・浸透等水の有効利用方策を検討するとともに、上下流が一体となった水源地域の保全・活性化を推進します。
(4)自然再生の推進
恵み豊かな国土と生物の多様性を回復するため、地域の自主性と創意工夫を活かしながら、水質の改善、湿地の再生、蛇行河川の復元、藻場・干潟・砂浜の保全・再生、公園緑地整備、山腹の緑化などの自然再生を推進します。
<道路・交通・物流>
(5)道路整備等の推進
道路特定財源を活用し、円滑な移動を実現するとともにCO2排出削減を進めるため、バイパス・環状道路の整備、「開かずの踏切」や「歩道が狭隘な踏切」等への対策、空港・港湾へのアクセス道路の整備、都市モノレール・新交通システム、LRTの整備、高速道路等における多様で弾力的な料金施策の実施、ノンストップ自動料金支払いシステム(ETC)の普及(平成17年春のETC利用率は全国平均で47%達成。平成18年春の全国平均約70%を目指す。)などの渋滞対策等を積極的に推進します。
また、安全で快適な歩行者・自転車空間の形成のため無電柱化の推進や、北から南日本の隅々まで歩道・自転車道の整備に積極的に取り組みます。
(6)整備新幹線、港湾、空港整備の計画的推進
21世紀における重要な国家的プロジェクトであり、また経済効果が高く、環境にもやさしい整備新幹線について整備を図ります。とくに、平成16年12月に決定された政府・与党申合せに基づき、北海道新幹線(新青森・新函館間)、東北新幹線(八戸・新青森間)、北陸新幹線(長野・白山車両基地間及び福井駅部)及び九州新幹線(鹿児島ルート(博多・新八代間)及び長崎ルート(武雄温泉・諫早間))の整備を着実に推進するとともに、新規区間の着工に向けた取り組みを進めます。また、在来線の複線化・高速化を推進します。都市鉄道については、国民の日常生活の質の向上を図るため通勤・通学時の混雑緩和等を促進する観点から地下鉄、ニュータウン鉄道・空港アクセス鉄道の整備、既存路線の複々線化等を推進します。また、次世代の超高速大量輸送システムの実現のため、超電導磁気浮上式鉄道(リニアモーターカー)の実用化に向けた技術開発を促進するとともに、軌間可変電車(フリーゲージトレイン)の早期実用化を図るため技術開発を推進します。
港湾においては、スーパー中枢港湾プロジェクトの推進、中枢・中核国際港湾における国際海上コンテナターミナルと国際幹線航路の整備、PFIや特区制度の活用による港湾の効率的な運営の推進、輸出入・港湾関連手続き及びシステムの最適化によるシングルウィンドウシステムの更なる利便性向上、港湾物流情報プラットホームの構築等ソフト・ハード一体となった取り組みにより、わが国の国際競争力の向上や産業再生と地域経済の活性化を図ります。また、産業競争力を高め、地方の自立を促す物流基盤施設の整備として、多目的国際ターミナルの選択的かつ集中的な整備を図ります。
船舶航行の安全性と海上輸送の効率性を両立させた海上ハイウェイネットワークの構築を進めます。また、大都市臨海部での都市の再生と地域の活性化のための市民・NPOなどとの連携による「みなとまちづくり」を推進します。
循環型社会を構築するため、港湾を核とした総合的な静脈物流システムの構築を推進するとともに廃棄物海面処分場の整備を推進します。また、放置艇対策についても積極的に取り組みます。さらに、離島等生活航路における就航率及び輸送の安定性を向上します。
航空については、大都市圏の拠点空港である東京国際(羽田)空港の再拡張事業及び機能向上を推進するとともに、PFI手法の活用を図ります。また、国際拠点空港の容量を確保し機能強化を図るため、成田国際空港において北伸による平行滑走路の2,500m化を推進するほか、関西国際空港の二期事業2007年限定供用に向けた整備を推進します。一般空港については滑走路延長等を着実に推進し、既存空港の質的充実を図るとともに、離島航空路線についてネットワークの維持活性化を促進します。航空における安全を確保するため、事業者への監督体制の充実、ヒューマンエラー対策の強化等を図るとともに、ハイジャック検査等の航空保安体制の強化・拡充を推進します。
わが国の国際競争力の強化、観光立国の実現等に資するため、航空物流機能の高度化、ユニバーサルデザインの推進、観光交流の促進、空港アクセス改善等既存空港の機能の高度化を推進するとともに、空域・航空路の抜本的な再編等を行い、航空路の容量拡大、運航効率の向上を推進します。
(7)快適で地球にやさしく、安全で災害に強い交通の実現
大都市圏における大気汚染問題の深刻化に対応するため、圧縮天然ガス車等の普及を促進するほか、大型ディーゼル車に代替する次世代低公害車の開発・実用化を推進します。また、燃料電池自動車についても本格的普及を促進します。
ヒューマンエラーによる公共交通の事故・トラブルの続発を踏まえ、国民が安心して公共交通を利用できるよう、陸・海・空の公共交通の安全対策を総合的に推進するとともに、台風・集中豪雨雪、地震津波、火山等の自然災害の防止軽減を図るため、気象、地震、津波等の監視体制を強化するなど気象業務体制を充実強化します。
(8)総合的な物流施策の推進
わが国の国際競争力の維持・強化と豊かな国民生活を実現し、活力ある日本を築いていくため、国際拠点港湾・空港の機能強化、国際海運・航空と国内における陸海空の物流ネットワークとの連携、国際ロジスティクス機能の強化、業務・手続のIT化・円滑化など国内・国際物流施策の総合的・戦略的展開を図るとともに、グリーン物流の推進、サードパーティロジスティクス(3PL)の促進、スマートIC(ETC専用インターチェンジ)の活用など効率的で環境負荷の小さい物流の実現に向けた取組を進めます。
<住宅>
(9)住まいの豊かさを実現するための住宅・宅地政策の推進
21世紀にふさわしく、国民一人ひとりが住まいの豊かさを実感できるよう、ゆとりある住生活の実現と良好な住宅市街地の整備を図るとともに、経済の本格的回復に資する住宅投資の促進を図り、国民のニーズに応じた多様な住まいを支援します。このため、住宅政策の基本理念や目標を明確に示す「住宅基本法(仮称)」の制定に向けた取り組みを進めます。また、地域の自主性と創意工夫を生かしながら、公的賃貸住宅等の活用による、魅力と活力にあふれた都市・地域づくり、住宅弱者の居住安定の確保などを推進します。さらに、悪質リフォーム対策等による適切なリフォームの推進や既存住宅の流通円滑化の強化、老朽化したマンションの建替えの円滑化の推進、遊休化したオフィスビル等の住宅等への転用、子育てに適した居住環境の整備、高齢者向け優良賃貸住宅の供給の拡大や高齢者等に配慮した公営住宅等のバリアフリー化の促進、大規模な公共賃貸住宅団地の建替えとあわせた社会福祉施設の併設の促進、シックハウス対策など総合的な住宅対策を推進します。
さらに、地方定住、田園居住など国民が良質で多様な住宅・居住環境を選択できるようにするため、優良田園住宅などの整備を推進します。さらに通勤の利便性の向上を図り、良質な住宅宅地の円滑な供給のため鉄道整備と一体となった宅地開発を推進します。
また、資産デフレからの脱却を確実なものとし、新たな産業構造に対応した土地利用を実現するために必要不可欠な不動産の流動化を促進するための条件整備を積極的に推進します。
<公共事業の適正化>
(10)公共事業の透明性、効率性の推進
公共事業の再評価により、7年間で合計333事業が中止(平成10〜16年度国土交通省関係)となりました。公共工事コストについても6年間で21.3%縮減(平成9〜14年度国土交通省関係)しました。さらに平成15年度からの5年間で物価変動等を除いて15%の総合的なコスト削減を達成します。
公共事業については、これまでの9本の事業別長期計画を一本化して策定した社会資本整備重
点計画に基づき、計画内容を事業量から国民が享受する成果に転換することにより、重点的に推進します。また、真に国民に必要とされる事業を展開するため、事業評価の厳格な実施、コスト構造改革、地域の実情に応じた整備、既存ストックの有効活用を進めるとともに、事業のスピードアップを図ることにより効果的で効率的な社会資本整備を推進します。その際、国土において地方が担うべき役割に留意し、その地方が抱える問題や社会資本整備の状況等を勘案しながら、国民生活の質の向上や経済の活性化を図る上で効果の高い事業を重点的に実施します。
また、事業の構想・計画段階から住民参加を進め、幅広い意見を反映することにより、国民の理解に基づく透明な公共事業の実施に努めます。
東京都区部では、集中工事や共同施工等の工事調整の実施及び共同溝の整備等によって、路上工事件数が平成4年度の1万6,472件から平成16年度の6,910件へと半減しました。
(11)公共工事の品質確保・建設業の再生
公共工事は国民生活の基礎となる社会資本を整備するものであり、その品質の確保が極めて重要です。その一方で、不良不適格業者の参入や、ダンピング受注の横行などにより、品質確保ができない懸念があることから、わが党主導により「公共工事の品質確保の促進に関する法律」を平成17年3月に制定、4月より施行しました。これにより、価格と品質で総合的に優れた調達を推進します。また、入札制度の改革や公共工事品質確保法等により、公正な市場環境を実現するとともに、談合等不正行為の防止、不良・不適格業者の排除の徹底や、ダンピング受注の防止などを図ります。
あわせて、近年の建設投資の急速な減少により、厳しい経営環境が続いている建設業の再生のため、新分野進出等の経営革新の取り組みを促進し、経営基盤の強化を図ることにより、過剰供給構造を是正し、地域の中小・中堅建設業の再生を促進します。このため、17年度から全国に建設業総合相談受付窓口を設置しました。
(12)PFI方式導入の積極的な推進
先の国会で、国公有財産の貸付の拡充等を内容とする法改正を行ったところであり、公共施設等の建設や管理運営について、民間の資金と経営のノウハウを活用し、コストの削減と質の高いサービスの提供を行うPFIについては、今後ともその理解と普及に努めるとともに、幅広い分野への導入を今後とも積極的に推進します。
<社会資本の環境整備>
(13)国家基盤としての衛星測位の確立と骨格的空間情報の整備
[1] 衛星測位による位置・時刻情報の精度と信頼性を国家が保証できる体制を構築します。
(具体的な施策)
ア)準天頂衛星の整備・運用を行い、GPS衛星と連携して衛星測位の精度を向上させるのと同時に、位置・時刻の決定精度と信頼性を自ら管理する。
イ)上記業務を政府の所掌事務として明確に定義する。
[2] 位置決定の基準となる骨格的空間情報の標準化と整備の促進を図ります。重複整備を排除し、位置精度を担保します。誰もがいつでも利用できる環境を提供します。
(具体的な施策)
ア)骨格的空間情報の定義(例:道路境界)を明確化します。
イ)骨格的空間情報の早期整備を促進し、完成した情報の公開・共有化を義務づけます。
ウ)骨格的空間情報の利用を義務づけます。
エ)誰もが空間情報を容易に使えるようにするために、位置情報の表現の標準化を行います。
[3] 法的裏付けをする「測位・空間情報基本法(仮称)」を次期通常国会に提出します。
[4] 土地の境界を確認するため地籍調査が進められていますが、進捗率はDID(人口集中地区)で20%程度であり、都市の再生事業の大きな課題となっています。骨格的空間情報を利用して官民境界の枠を決め、基準点の整備等を促進し、GISや境界確定に利用できる仕組みの構築が必要です。このため、「土地境界の確定を促進する特別法(仮称)」の制定を目指します。
(14)登記所備付地図の整備事業の推進
現在、登記所備付地図の整備は、都市部を中心として遅れています。このため、国民の皆様の不動産取引に不安を抱かせ、また、道路や下水道等のインフラ整備や、都市再生のための施策にも、支障が生じています。
そこで、平成15年6月に都市再生本部から、「民活と各省連携による地籍整備の推進」の方針が示され、全国の都市部における登記所備付地図の整備事業を強力に推進することとされました。わが党は、この方針に基づき、都市部の地図混乱地域の地図作成を重点的に推進するなどし、登記所備付地図の整備事業を強力に推進します。
3.中心市街地活性化
中心市街地は、これまでの長い歴史の中で文化、伝統を育み、各種の機能をやしなってきた「まちのかお」である。その空洞化はまさに「町のアイデンティティーの喪失の危機」と言っても過言ではありません。
わが党は、昨年暮れ以来まちづくり三法の施行以来の状況を検証し、中心市街地の再活性化のための抜本的見直し作業を行っています。
以下の事項について今年秋にはとりまとめを行い、次期通常国会で法改正行う予定です。
[1] 基本理念、責任体制の確立
ア)「都市機能全般の市街地集約とにぎわい回復の両立」を基本理念とする基本法的な法律を
制定する。
イ)国としての責任体制を明確化するため「中心市街地活性化本部」(仮称)を内閣に設置する。
[2] ゾーニング強化と広域規制の導入
[3] 農地関連規制の改善
[4]「商業空間」から「生活空間」としての中心市街地再生
[5] 中心市街地振興予算に関する「選択と集中」の強化
[6] 税制に関する検討
[7] 地域における中心市街地活性化の推進
4.中小企業
(1)地域・中小・零細企業への金融体制の強化
地域・中小企業金融に関しては、中小企業からみた金融機関の貸出態度は改善してきているものの、中小企業を巡る経営環境や地域の経済状況は引き続き厳しいことから、地域の金融機関の役割を強化し、地域の再生・活性化と中小企業金融の円滑化を図るよう全力を尽くします。
中小・零細企業のことは、本来、地域の金融機関が一番よく分かっていて、最も有効な手助けができるはずです。このため、地域の金融機関から取引先企業に対してそれぞれのニーズに応じた経営情報や取引機会に関する情報を提供したり、研修等を通じて「目利き」能力を向上し取引先へのコンサルティング機能を一層強化するなど、取引先企業に対する経営相談・支援機能を強化します。
また、事業再生の観点からも、再生ノウハウの共有化を図るとともに、取引先企業の実態やニーズに応じて、債務の株式化(デット・エクイティ・スワップ)、債務の資本的劣後ローン化(デット・デット・スワップ)や再建中の企業に対する融資(DIPファイナンス)等の一層の活用を図るなど、事業再生に向けた積極的な取組みを促進します。
他方、中小・地域金融機関についても、適切な自己査定と償却・引当の確保や、リスクに見合った金利設定を可能とする収益管理態勢の整備等により、各金融機関の経営力の強化に向けた取組みを進めていきます。
そのほか、主要行も含め、取引先企業の将来性や技術力を的確に評価するための取組みを強化することにより、過度に担保・保証に頼らない融資を促進します。
(2)中小企業の活性化
信用補完制度について、経営・再生支援の強化、利用者ニーズを踏まえた制度の多様化、金融機関との適切な責任共有等を図ります。証券化支援業務や売掛債権、在庫等を担保とした融資の取組強化などの拡大を図ります。財務体質改善に向けた努力を促すため、中小企業の会計の質の向上に向けた支援や留保金課税の見直しを図ります。
(3)中小企業組合制度の見直し
中小企業組合制度を見直し、中小企業組合の運営の健全性・透明性を充実させるとともに、中小企業と地域住民が協力して進める地域におけるコミュニティ事業の母体として、中小企業組合の活用を図ります。
5.観光立国
世界に開かれた観光立国を目指し、姉妹都市提携や国際修学旅行交流の促進を図りながら、訪日外国人旅行者数を倍増し1,000万人を実現するため、ビジット・ジャパン・キャンペーンを展開し、総理大臣をはじめ各大臣によるトップセールス、日本の観光魅力の海外への発信、在外公館の積極的活用、入国手続きの円滑化、姉妹都市交流の観光振興への活用、国際修学旅行交流の促進、旅行の低コスト化、有資格通訳ガイドの効率的な育成・確保、案内標識等の整備など総合的な施策を推進します。また、地域の民間と行政が一体となった観光振興の取組みを総合的に支援する観光ルネサンス事業を通じて国際競争力ある観光地づくりを推進するとともに、連続休暇の取得促進による旅行需要創出のための環境整備を図ります。さらに、「観光基本法」改正案を早急に提出します。
6.農林水産業
わが国の農業は、激動し多様化する国際社会の中にあって確かな競争力を持ち、少子高齢化時代に対応した継続再生産可能な力強い構造を構築していかねばなりません。また、農山村についても過疎化・高齢化・混住化等の中で、地域ごとの個性・多様性を重視しつつ、国民共通の財産として次代に継承していかねばなりません。こうした視点に立ち、本年3月に策定した「新たな食料・農業・農村基本計画」に基づき、厳格な「工程管理」とともに「攻めの農政」を掲げて、やる気とやりがいと夢の持てる農業・農村づくりをめざして、強力な推進方策を講じていきます。このため、次の当面する重要課題について、全力で取り組みます。
(1)食料自給率の向上と食料供給力の確保
日本国民の「生存権」を基本として、平成27年度の食料自給率45%の達成に向けて、実現可能性のあるあらゆる施策を国民挙げて取り組みます。その基盤となる食料供給力を生産基盤の整備などを通じて確保しつつ、生産性の向上、食育や地産地消、食品産業と農業の連携をはじめとする生産から消費にわたる流通の一層の合理化などを積極的に進めます。また、米政策については、19年度見直しをめざして、今後、農業団体等の考えを十分に踏まえながら、新たな米の需給調整のあり方を含めた19年産以降の米政策の確立に当たります。また、技術の開発・普及などにより、農業者や地域の意欲的な取組を後押しするとともに、攻めの農政を強力に展開し、農林水産物・食品の輸出を平成21年には倍増(6,000億円)させるよう取り組みます。
(2)担い手育成による農業構造改革の推進
認定農業者の拡大や集落営農の組織化・法人化や新規就農をはじめとして、地域の農業を支える意欲と能力のある担い手を育成・確保するとともに、地域農業を支える経営に対する品目横断的な農業経営所得安定対策(日本型直接支払い)の確立や担い手への農地の利用集積推進等の施策を積極的に講じていきます。この「日本型直接支払い」を、WTO等国際ルール上も安定した政策として位置づけます。
(3)WTO農業交渉等へ全力
WTO農業交渉については、農業の多面的機能や食料安全保障、農業の構造改革の努力に留意しつつ、引き続き、多様な農業の共存を強力に主張し、輸出国・輸入国のバランス回復、食料安全保障も含めて多面的機能の維持に必要な国境措置の確保に全力を傾注します。また、FTAへの対応も含め、守りだけではなく、攻めの農政で東アジアを中心に勃興しつつある新たな市場を官民挙げて開拓します。
(4)ふるさとを守る農山村地域の活性化
食料の安定供給や多面的機能の発揮の基盤となる社会共通資本である農地や水などの資源の有する機能が将来にわたって維持発揮されるよう、環境や農地・農業用水等を保全するための施策の具体化をはじめとして、バイオマスの利活用、地域ブランドの確立、都市と農山漁村の共生・対流、農村女性の参画の促進等を積極的に推進します。
(5)森林・林業・木材産業、山村対策の積極的な推進
森林は、地域の生態系を育む、わが国の緑と水の源泉であり、地球温暖化の防止など地球環境の保全や豊かな国民生活の基盤となる国民共通の財産です。京都議定書目標達成計画に基づく森林吸収源対策の着実な推進を図るため、森林の環境資源面を重視した政策の推進、林業の再生を通じた健全な森林の整備・保全、「緑の雇用」に引き続き担い手の確保・山村の活性化を図るとともに、地域材重視の木材利用の拡大等を積極的に推進し、また、安全で災害に強い国土づくりを進めてまいります。また、林産物に関するWTO非農産品市場アクセス交渉については、全ての加盟国の特別な事情に対する配慮を必要として全力で臨みます。
さらに、地球規模での環境保全や持続可能な森林経営の推進を図る観点から、「違法に伐採された木材は使用しない」という基本的な考え方に基づき、合法に伐採された木材の利用を推進する枠組みづくりに積極的に対応していきます。
(6)グローバル化に挑むわが国水産業・漁村の再生
現下の燃油価格の高騰等わが国水産業を取り巻く状況の大きな変化に対応し、水産基本計画の改訂(19年3月)も見据えて、わが国水産業の一層の経営の安定・強化に早急に取り組みます。
特に、漁船漁業をはじめとした漁業経営が厳しい環境にある中で、燃油価格高騰の下でも継続可能な漁業経営を確立するため、燃油高騰対策資金をはじめとする漁業金融の円滑化、漁船検査の規制緩和等による負担の軽減を推進し、あわせて省エネルギー化やコスト削減に結びつく新技術の開発・普及を早急かつ着実に進めるとともに、現在韓国とWTOパネルで係争中のノリの養殖業についても、生産コストの削減を図るため協業化などによる構造改革を強力に進めます。
水産物の貿易ルールに関するWTO非農産品アクセス(NAMA)交渉については、わが国にとって非常に厳しい状況ではありますが、わが国の主張が反映されるよう、交渉に臨みます。
また、資源回復計画の着実な実施等を通じて、水産資源の適切な保存・管理と持続的利用を図るとともに、つくり育てる漁業を推進します。捕鯨については、わが国の主張である鯨資源の科学的調査に基づいた持続的利用推進への理解を求め、早期再開に向けて取り組みます。
今後とも漁業活動を担う意欲を持ち、経営感覚に優れた漁業者を積極的に育成・支援するほか、都会の若者も含め、漁業に関心と意欲のある若者の漁業への新規就業を促進します。
さらに、わが国水産物に対する消費者の信頼と期待に応えるため、安全・安心な養殖水産物の供給、食育や地産地消の推進や、流通・加工対策の強化に取り組みます。また、わが国水産物の特色を活かして、水産物輸出の促進に取り組みます。
漁業協同組合の事業及び組織基盤の強化を促進するため、自主的な取組を基本とした合併を支援していきます。
水産業・漁村の多面的機能の発揮に積極的に取り組むとともに、漁港・漁場など水産基盤の整備と漁村の総合的な整備を効率的に実施します。特に、漁港漁村の防災機能の向上を通じて高齢者も安心して生活できる災害に強い漁業地域づくりに取り組むほか、都市と漁村の共生・対流を強力に推進します。
7.活力ある沖縄
沖縄の観光・情報通信・農業等の産業振興を図るとともに、世界最高水準の沖縄科学技術大学院大学構想を実現し、夢と活力に溢れた自立できる沖縄を創造します。
また、基地問題についてはSACO最終報告の確実な実施等を通じ、米軍再編の機会も捉え、わが党は沖縄県民の負担軽減に全力を傾注します。
三、世界に羽ばたく文化・産業を育成します
1.国際競争力強化
(1)国際競争力強化の基本的な考え方
わが国は、急速な少子高齢化、国際競争激化など大きな環境変化に直面し、21世紀における豊かな生活を実現するためには、イノベーションの創出を基軸として国際競争力強化を図ることが不可欠です。このための鍵を握る研究開発、教育・人材育成及びインフラ整備を推進するとともに、重点産業の育成・強化を図り、またわが国が誇るべき伝統・文化を継承・発展させ、それを国際競争力強化の土台とすべきです。今後、現実できる施策は早急に実施するとともに、政治主導の下、産学官の総力を結集し、国際競争力強化のための国策をまとめます。
[1] 研究開発 ―世界最先端の技術を創る―
ア)研究開発に係る十分な政府投資規模の数値目標を設定します。
イ)総合科学技術会議主導で国家プロジェクトを立案・遂行します。
ウ)競争的資金の審査体制を抜本的に強化します。
エ)産学連携の本格的な共同研究を推進します。
[2] 教育・人材育成 ―世界一の人材を育てる―
ア)基礎学力の充実、教員の質の向上を図ります。
イ)研究・企画・経営の能力を身につけた「強いドクター」を育成します。
ウ)小学校から大学・大学院まで、教育における産学連携を推進します。
エ)企業における人材育成・確保、技術系人材の処遇改善を促進します。
[3] インフラ整備 ―競争力を支えるインフラを整える―
ア)物流・交通ネットワークの一体的な整備を推進します。
イ)金融行政の重心を国際競争力強化に置きます。
ウ)総理外遊に産業界が同行するトップセールスなど海外市場拡大のための官民一体の取組を推進します。
エ)頭脳流入の円滑化にための環境整備を行います。
オ)ITインフラ整備・利活用促進と次世代IT領域での優位性確立を図ります。
カ)政府調達を新規産業の初期市場創出に活用します。
キ)雇用関連法制を国際競争力強化の観点から見直します。
[4] 重点産業の育成・強化 ―重点産業の国際競争力を強化する―
ア)わが国の強みを基にした新産業の創造、ものづくり産業、匠の中小企業の強化、文化芸術を世界に広めるコンテンツ産業の強化を推進します。
イ)海外市場開拓や最新技術の活用など、農林水産業の攻めの取組を促進します。
ウ)創薬のための治験・審査体制の抜本的強化により、医療産業を強化します。
エ)日本の観光資源の国際的魅力を高め、海外に積極的に発信します。
(2)イノベーションを通じた競争力ある産業群の創出
[1] 高度部材・基盤産業の重点施策パッケージの構築
ア)川上企業・川下企業の連携強化と技術開発支援
川上企業と川下企業間の効果的な情報共有を図り、基盤技術への研究開発や投資を促す。技術革新等に取り組む中小企業への研究開発支援を抜本的に強化します。
イ)経営基盤強化に対する支援、取引慣行の改善等
産学連携による人材育成の強化、技能・ノウハウのデータベース化や事業承継ファンドの創設等を通じ、中小企業の経営基盤の強化や優れた技術・事業の継承を支援する。中小企業の技術を客観的に評価するための公設試等の活用、知的財産権保護の強化、取引慣行の改善等を図ります。
ウ)「擦り合わせ力」の強化に繋がる研究開発の促進等
高度部材産業側からのイノベーションの促進を目指し、ユーザー等との連携による研究開発の支援、地域集積の促進、効果的な擦り合わせを促すガイドラインの整備を行います。
[2] 人材、技術等の知的資産を重視した政策の展開
ア)企業活動を支える「人材の育成」
ものづくり・サービス分野等の専門職大学院の設置促進等による高度人材育成プログラムの充実や産業界のニーズに応じた教育実施のための大学評価手法の開発等を行う。高専等を核とした人材育成システムの構築、若者の活用や少子化対策等を講じて魅力を高めた事例の紹介等により、中小企業における人材育成・確保を図ります。ジョブカフェ、キャリア教育等の一層の推進を図ります。
イ)優秀な海外人材の活用
海外からの研究者・留学生の受入のための在留資格要件の緩和等の環境整備、外国人研修・技能実習制度の見直しを行います。
ウ)「科学技術創造立国」の実現に向けた研究開発促進と生産性の向上
技術戦略マップを活用し、政策目標の実現シナリオの産学官での共有を図ること等により、効果的な研究開発を促進する。生産性・競争力向上のため、研究開発・IT投資等を重点的に推進するとともに、減価償却制度の見直しを検討します。
エ)知的財産の適切な保護強化
独創的デザインの保護の強化、特許審査を迅速化するための体制強化等により、知的財産の適切な権利保護を図ります。中国等の侵害発生国・地域に対し、知的財産保護強化に向けた要請や能力構築の支援等を行い、模倣品・海賊版対策を強化します。わが国企業の国際展開を円滑にするため、日米欧における制度調和、審査協力を進めるとともに、途上国の特許制度整備や運用の強化を積極的に支援します。
オ)知的資産の評価・管理・活用・開示のための環境整備
知的資産を重視した経営やステークホルダーによる評価が円滑に進むよう、知的資産経営報告の開示や内部管理を促す。知的資産の情報開示等に関するOECD等における国際的な議論をリードします。
カ)知的資産の防衛のための環境整備
営業秘密管理指針の改訂等により、営業秘密の適正管理を促します。
[3] 新産業創造戦略の重点7分野の施策の強化
「新産業創造戦略2005」において具体化された戦略7分野(燃料電池、情報家電、ロボット、コンテンツ、健康・福祉・機器・サービス、環境・エネルギー・機器・サービス、ビジネス支援サービス)に関する施策の更なる具体化を図ります。
[4] 創業、再編、事業再生等の経営資源の有効活用のための基盤整備
ア)事業再生の円滑化のための環境整備
私的整理と法的整理の間隙を埋め、民間主体の自律的な事業再生を円滑化するための環境整備を行います。中小企業再生支援協議会を核とした再生支援人材の育成や信用保証協会・政府系金融機関の一層の活用を図ります。
イ)創業・ベンチャーの裾野の拡大
ベンチャー支援のネットワークの強化を図るとともに、国民の起業意識の喚起等に取り組みます。
ウ)公正な組織再編に関する制度整備と対内直接投資の促進
組織再編の円滑化に向け、会社法に対応した税制整備の検討、信託法制の整備、開示ルール等M&Aルール整備や株式公開買付(TOB)規制の見直し等を行います。対内直接投資倍増を目指し、構造改革特区制度の有効活用、地域における外国企業招聘活動等の支援等に取り組みます。
エ)事業会社の保有する多様な資産を活用した融資慣行の定着
売掛債権、在庫等を活用した融資慣行を定着させるため、電子債権法制・市場の創設に向けた取組等を行います。
オ)流通システムにおける国際標準化への対応
流通システムの国際標準化プロセスに、わが国のビジネスモデルや技術を反映させます。
[5] 競争力強化の基軸・基盤としての安全・安心な社会システム構築
ア)製品・企業の信頼性の向上と競争力強化
産業保安・製品安全など安全・安心を支える仕組みを企業の内部統制のあり方を含め幅広く見直します。世界に先駆けた製品安全規格体系の構築や国際標準化、計量標準の加速的整備を進めます。アスベストによる健康被害の実態を踏まえ、アスベスト含有製品の早期代替化の推進等の措置を講じます。
イ)利用者が安心して取引を行うことができる安全基盤の整備
インターネット取引において、消費者保護・クレジット取引の信頼性を確保するため、規制対象範囲の明確化等の措置を講じます。コンピュータウィルス等による被害の未然防止や事故対応体制の強化等、情報セキュリティ対策基盤の構築を推進します。個人信用情報の合理的かつ適切な利用環境の整備を行います。
[6] 情報産業の振興及び産業の情報武装の強化による競争力の強化
2005年までに世界最先端のIT国家になる目標を確実に実現するとともに、2006年以降も世界最先端のIT国家であり続けるために、情報通信分野における技術開発、競争力強化につながるIT化を促進します。
(3)公正なM&Aルールの構築とその環境整備
[1] TOB制度の改革
ア)経営方針の開示とTOB期間の伸長
企業買収を企業価値や株主利益の向上につなげるためには、買収者及び経営者の経営方針や具体的な事業計画に関する十分な情報が株主に開示されることが不可欠です。
このため、買収対象企業に対して、買収者への質問の機会を付与し、意見表明を義務付けることや、これと併せてTOB期間を伸長することについて、早急に検討し措置します。
イ)TOB条件の柔軟化
現行のTOB制度の下では、TOBの撤回は極めて限定的にしか認められていません。このため、買収対象企業がライツプランや株式分割などの防衛策を採用した場合、買収企業にとってTOBを開始するリスクが大きいものとなります。
そこで、買収企業と買収対象企業の公正な競争を確保するため、安易な撤回等が相場操縦の弊害を生まないよう留意しながら、対象企業が防衛策を廃止しない場合には買収者側にTOBの撤回を容認することや、TOB期間中に株式分割が行われることによる株式の希釈化に対応するなどの場合には、TOB価格の下方修正を認めることを早急に検討し措置します。
ウ)買収者間の公平性確保
TOBを行っている企業は別途買付が禁止されている中、他の買収者が市場で株式を買い進める行為は、買収者間の公平性に欠けることになりかねません。
そこで、TOB対象企業に対する買収者間の公平が保たれるよう買付ルールの整備を早急に検討し措置します。
[2] 企業買収の公正性を確保するための開示制度の改革
ア)大量保有報告制度の特例の見直し
大量保有者(5%超の株券等を保有する者)の株式の売買は、株主や投資家の投資判断に大きな影響を与えます。特に、企業買収の局面では、大量保有者の株式保有状況について、制度の原則にのっとり、迅速かつ正確に開示されることが望ましい。
そこで、現状認められている機関投資家等に対する大量保有報告制度の特例について、開示制度の本来の趣旨が損なわれることのないよう、株主及び企業に対する迅速かつ適正な情報開示を確保するとの視点で改善策を早急に検討し措置します。
イ)買収防衛策に関する会社法による開示制度の創設
防衛策の開示については、証券取引所が自主的にルールを定める動きはあるが、法的な開示制度は設けられていません。
指針策定や会社法案の成立により、企業側が採りうる防衛策が多様化することもあり、株主や投資家、買収者の予見可能性を高める観点から、策定作業中の会社法の省令において、防衛策の内容等を事業報告により開示する制度を創設します。
また、米国をはじめとする外国証券規制によるわが国企業への開示要求等についても十分注目していく必要があります。
[3] 新株予約権を利用したライツプランに関する課税関係の明確化
新株予約権を利用したライツプランが有効に機能するためには、平時(敵対的買収者登場前にライツプランを導入する局面)、有事(敵対的買収者登場後ライツプランが発動する局面)を通じて、一般株主に関する課税関係を明確化する必要があります。
この点に関する検討を通じて、平時においては原則として課税関係は生じないこと、有事においては、買収者の新株予約権を行使可能な第三者に譲渡できるよう設計すれば、一般株主への経済的価値の移転は生じないと考えられることから、原則として、新株予約権の付与時または行使時において一般株主に対する課税関係は生じないことが明確化されたところであり、今後その旨の周知を図ります。
[4] 過剰防衛の抑止など投資家保護を踏まえた証券取引所における適切なルール形成
経済産業省と法務省が策定した買収防衛策に関する指針は、適法性と合理性の観点から過剰防衛とならない買収防衛策の要件を提示しており、買収防衛策の導入にあたり、企業はこれに準拠した対応をとる可能性が高くなります。
一方、投資家保護の観点から、証券取引所による上場規則の整備も予定されているが、その際には、指針の内容等を踏まえて整合性のあるルールを形成することが重要です。
(4)公正な競争政策の実施
市場における自由競争の徹底と企業活動の規律強化が求められる中で、改正独占禁止法等を厳正かつ適切に執行することが喫緊の課題です。中でも、特に国民生活に影響の大きいカルテル・入札談合事件のほか、中小企業等に不当な不利益を与える不当廉売、優越的地位の濫用等の不公正な取引方法や消費者を誤認させる不当表示に厳正に対処する方針です。これらを担保するためにも、公正取引委員会の法曹を含む人員を増強するなど、その体制を質・量ともに抜本的に強化します。
同時に、改正独禁法の見直し規定に従い、課徴金のあり方、公正取引委員会における審査・審判手続きのあり方等について抜本的に見直し2年以内に結論を出して国会に提出します。
2.科学技術創造立国
資源に乏しい我が国にとって、繁栄の原動力たる科学技術への投資は極めて重要です。そのため、第3期科学技術基本計画において研究開発投資の確保(例えば対GDP1%)の確保を目指します。
また重点四分野に加えて、国際競争力の急速な回復を要する分野としてスーパーコンピュータ、宇宙輸送システムなど「国家基幹技術プロジェクト」として推進します。
(1)わが国の国力を発展させるための科学技術関係人材の養成・確保
わが国唯一の資源である「人」の力を向上させ、世界に勝てる人材を育成・確保するため、初中教育における理数系の基礎学力向上、大学院の教育研究の抜本的強化、ものづくり人材の育成等を進めます。
(2)世界最高水準を目指した基礎研究の充実
基礎研究は、科学の発展とイノベーションの創出の源泉であり、国立大学運営費交付金や施設整備費補助金、私学助成などの大学の基盤的研究経費をしっかり確保し、科学研究費補助金など
の競争的資金を拡充するなど、多様性を確保して基礎研究を強力に推進し、世界最高の科学水準を目指します。
(3)イノベーションの創出
世界大競争の下で日本の競争力を持続的に確保していくためには、知の創造から活用までを切れ目なく支援し、わが国オリジナルの研究成果を社会的・経済的な価値の創造へしっかりつなげ、優れたイノベーションの創出を図ってまいります。
(4)本格的な産学官連携の実現
国際競争力を強化するために、産学官が研究課題設定の段階から共同研究を進めるとともに、大学院生の企業研修等人材交流の活発化、大学の教育研究や公的研究機関の研究開発と企業ニーズのミスマッチの解消、守秘義務に対する大学側の認識強化、産学官連携に対する研究者の意識啓発など大学・公的研究機関等と企業の相互理解を深め、パートナーシップに基づく本格的な連携を促進します。
(5)科学技術駆動型の地域経済活性化の推進
地域産業活性化や産業構造改革に直結した研究開発を進めるとともに、知的クラスターと産業クラスターの拡充強化、地域における公的研究機関の活用などを推進します。
(6)科学技術活動の基盤を整備・充実する
世界一流の人材を育て、惹きつけることを目指し、科学技術活動の基盤となる教育・研究施設について整備・充実します。民間企業の研究開発投資を促進する観点から、平成15年度に抜本的に拡充された研究開発促進税制を引き続き検討します。
3. 知的財産
(1)「知的財産立国」の実現
[1] アジアにおけるわが国製品の偽物被害に対応するため、FTAやODAを活用して、侵害国政府に強力に働きかけます。
[2] 映画やアニメなどのコンテンツを育成するため、高等教育機関へのコンテンツ学科設置促進、放送コンテンツ流通における取引慣行の是正、東京国際映画祭の拡充を行います。
[3] 大学等が保有する特許の効果的な活用を図るため、技術移転機関や大学の知的財産本部の機能を高めるとともに、すべての法科大学院に知的財産に関する講座設置を促します。
(2)知的財産推進施策
[1] 模倣品・海賊版対策の抜本的強化
ア)模倣品・海賊版の輸出・通過の禁止や犯罪収益の没収を核とする拡散防止条約を提唱し、実現を目指します。
イ)インターネットオークションを通じた模倣品・海賊版の被害を防止するため、特定商取引法の運用を強化し、業界の自主規制ルールを整備します。
[2] 世界をリードする知財制度の構築
ア)世界特許の実現に向け、米、欧特許庁と重複的なサーチ(従来技術文献調査)を行わずに特許審査を進めるシステムを構築します。
イ)特許出願による技術の海外流出問題が深刻化しており、自己の技術を防衛する制度を整備します。
[3] 中小・ベンチャー企業を支援
ア)中小・ベンチャー企業の知的財産を守ります。
○弁護士、弁理士の情報提供・相談を強化
○産業界による中小・ベンチャー企業の知財を尊重する知財憲章の策定の促進
○企業による知財侵害から中小・ベンチャー企業を守るための「知財駆け込み寺」を整備
○地域の知的財産戦略を支援
[4] 官民による戦略的な国際標準化活動
ア)国際標準化に不可欠な特許技術の共同利用について、独禁法上の扱いを明確化し、特許技術の共同利用を促進します。
イ)国際標準化に逆行する動きを阻止するため、WTO違反の恐れのある外国の国内規格策定の動きに対して改善を要請するなど、官民による対応を強化します。
[5] 文化創造国家づくり
ア)日本ブランドを振興します。
○食・地域ブランド・ファッションなどのライフスタイルを日本ブランドとして振興
○観光や文化外交と連携しながら、海外に発信
イ)コンテンツ流通大国を実現します。
○世界最高速のインターネット環境の活用により、映画や放送コンテンツの流通を飛躍的 に拡大
○業界の近代化・合理化を促進
[6] 知財人材育成の総合戦略の推進
ア)知財に強い弁護士や国際性を備えた弁理士の育成、法科大学院における知財教育を推進します。
イ)知財人材の質の向上を図り、10年で人材を倍増します。
○多彩なスキルを持ち国際的に通用する知的人材を、10年間で倍増
○技術に強い法曹人材を育成
ウ)理系人材の知財分野への参入を支援します。
[7] 産学官連携の加速化
ア)研究における特許技術の使用を円滑化します。
イ)産学官連携の体制やルールを整備します。
ウ)産学官連携の契約を弾力化します。
4.情報通信
(1)いつでも、どこでも、何でも、誰でもITを活用できる社会の構築
2005年、これまでわが党が進めてきたe−Japan戦略により、日本の高速インターネットサービスは速さ・安さとも世界最先端レベルに達しました。
この流れをさらに推進し、少子高齢化等における様々な社会的課題を解決するため、情報通信技術(ICT)を活用することによって、より一層、誰でも簡単・便利にそして安全にネットワークに簡単につながる社会=「ユビキタスネット社会」の実現を目指します。
そのため、2010年までに、[1]ユビキタスネットワークの整備、[2]ICT利用の高度化(コンテンツ流通の促進や人材の育成)[3]安心・安全の確保等を柱とした「u−Japan政策」を推進し、世界を先導する最先端のICT国家を目指します。
(2)情報セキュリティの確保
国民がICTの利便性を十分に享受し、安心して安全にネットワークを利活用し様々な社会活動・経済活動ができるよう、年々複雑化・巧妙化するコンピュータウイルスや不正アクセスをはじめとするサイバー攻撃等による被害を最小限とする取組みを進めます。
具体的には、セキュリティ基盤技術の推進、専門家の育成、情報セキュリティ文化の普及を推進するほか、サイバー犯罪条約の早期締結に向け、国内法の整備の推進に努めます。
(3)携帯電話やブロードバンド等の整備によるデジタルディバイド(情報格差)の解消
デジタルディバイド(情報格差)を放置することは、地域社会・経済の活性化や電子自治体の進展の妨げとなります。このため、2010年におけるデジタルディバイド解消を目指したブロードバンド基盤の全国整備を推進するとともに、携帯電話の通話エリア拡大、地域公共ネットワークなど地域のICT基盤の整備を推進すること等を通じ、地理的格差の是正に取り組みます。具体的には、ブロードバンド基盤の整備を行う民間事業者に対する投資インセンティブを強化するとともに、地方公共団体の創意工夫や自主的取組等を促進するために必要な支援を実施します。また、高齢者・障害者を含む誰もがICTの活用を通じて社会参加できるような社会を実現するため、情報バリアフリー環境の整備を推進します。
(4)放送のデジタル化の推進
国民一人一人に広く普及している地上テレビ放送をはじめ、2011年までの放送デジタル完全移行を確実に実現することによって、各家庭のテレビをIT社会への入口として利用できるようにします。
具体的には、2011年までのデジタル化のスケジュールの明確化と、その周知・広報を推進するとともに、デジタル化に必要な施設等に対する支援等の施策に積極的に取り組みます。
(5)インターネット時代の新たな競争環境の整備
世界に先駆けてこれまでの電話網からインターネットの方式(IP)による通信網への円滑な移行を支援するため、公正競争に関するルール等を整備するとともに、インターネットの通信量の爆発的な増大に対応するための研究開発等を推進し、一層の料金の低廉化やサービスの多様化を図ります。
(6)電波の有効活用等、電波資源拡大の推進
世界最先端のワイヤレスブロードバンド環境を整備するため、超高速のデータ通信が可能な次世代の携帯電話(第4世代移動通信システム)や無線による自由なインターネット接続を可能とするシステム(無線アクセスシステム)など将来のニーズに応えるための周波数利用の抜本的な見直しを進めるとともに、電波のより効率的な利用を図ることにより電波資源拡大に資するための研究開発を推進します。
(7)電子投票制度の導入の検討
一部の自治体で既に導入している電子投票制度について、国政選挙における導入を検討する。
四、安心・安全の国づくりを進めます
1.災害対策
(1)災害に強い安全な国土づくり
災害から国民の生命、財産を守り、社会経済活動の安全性を確保するため、台風等による風水害対策、土砂災害対策、高潮・津波対策、地震・火山対策、地下空間の火災対策等の防災対策をハード・ソフト両面から総合的に推進するとともに、監視・観測・情報伝達体制を強化します。
特に、昨年の全国各地での甚大な水害・土砂災害をはじめとして、近年の気候変動の影響による集中豪雨等の増加を踏まえ、人命被害や深刻な被害を防ぐための床上浸水対策等を緊急的に実施するとともに、著しい都市水害地域での河川・下水道の一体的な対策、既存施設の徹底した治水機能向上対策を実施します。
また、首都直下地震、東海地震、東南海・南海地震等の大規模地震対策や津波対策については、数値目標を設定し、戦略的に施策を推進します。具体的には、住宅・建築物等や公共施設の耐震化、危険な密集市街地の緊急整備や防災公園の整備、緊急輸送道路等の橋梁の耐震補強、耐震強化岸壁の整備、がけ崩れ対策、避難者や帰宅困難者等の対策を推進します。
さらに、災害発生時に的確かつ迅速な対応が図られるよう、ITを活用した防災体制の整備を推進するとともに、住民避難や被災地の復旧・復興の基盤となる防災拠点を整備します。
加えて、地域ぐるみで防災力を高めるため、国民一人一人が災害への「備え」を実践する国民運動を推進します。その一環として市町村の避難勧告等の発令や個人の避難行動の判断に役立つよう、避難の目安となる水位情報や画像情報等のわかりやすい情報を提供するとともに、水害、土砂災害等のハザードマップをすべての主要な河川に緊急整備します。また、市町村から的確に避難勧告等が出されるように、判断・伝達マニュアル作成への取組を促進します。特に、高齢者や障害者等、災害時に援護を必要とする方が早期に避難を開始できるように、避難準備情報等の伝達体制及び避難支援体制の整備を推進します。
(2)防災体制の確立
近年、大規模災害が相次ぎ、大規模地震やNBC災害等の発生が懸念されている中で、国民の安心・安全の確保はわが国の最重要課題の一つであるとともに、経済活性化の基盤です。
このため、官民各々において安心・安全の総点検を行うとともに、わが国の総力を結集して防災対策を積極的に行います。
[1] 安心・安全の総点検
ア)大規模災害、テロ、有事等に迅速かつ的確な対応を図るため、国の防災・危機管理体制を大幅に強化・拡充します。
イ)地域の防災・危機管理体制がより実効的なものとなるよう総点検を行い、その体制整備を進めます。
[2] 世界最先端の災害緊急情報伝達・収集ネットワークの構築
ア)世界最先端の災害情報ネットワークを構築するため、国において災害情報を瞬時に伝達するシステムを構築します。
イ)災害の初動時における被災地の情報収集体制を強化します。
[3] 高度消防・救急救助体制の全国的整備
ア)頻発する大規模災害、多様化する事故等に対応し、「特別高度救助隊」の創設、緊急消防援助隊の大幅な増強等、高度消防・救急救助体制を構築します。
イ)ロボット、ナノテク、ICT等、先端技術を活用した消防防災科学技術開発を一層推進し、危機管理機能を強化します。
[4] 地域防災力の強化及び火災予防対策の推進
ア)常備消防・消防団・自主防災組織・住民等と連携した地域防災力の強化を図り、平時・災害時における地域の安心・安全を確保します。
イ)防災拠点となる公共施設等の耐震化を強力に促進します。
ウ)地域住民や関係機関と連携した住宅防火対策や放火防止対策を強力に推進します。
2.犯罪・治安対策
昨年の刑法犯の認知件数は256万件と、昭和期の約2倍の水準にあります。内閣府の世論調査では、治安の良さを日本の誇りとする者が激減する一方、治安を悪い方向に向かっている分野として挙げた者が最も多く、景気や国の財政を上回りました。
わが党は、昨年6月に「治安回復のための7つの宣言」を公表し、振り込め詐欺対策のため、議員立法で金融機関本人確認法を改正し、携帯電話不正利用防止法を制定したほか、住民、市町村、警察等が協力する安全で安心なまちづくりを促進するため、「歌舞伎町刷新プラン」の全国展開を図るなど、多様な犯罪対策を推進しています。また、新たな水際対策や在留管理施策を提言し、その実現に向けた取組を進めています。
今後も、検挙件数・人員共に過去最悪を記録した来日外国人犯罪のほか、多発急増する侵入犯罪・街頭犯罪、子どもを狙った凶悪犯罪、高齢者を狙った振り込め詐欺・悪徳商法、インターネットを悪用するサイバー犯罪等の対策を強化します。そして平成20年までに、治安の危機的状況を脱却し、日本を「世界一安全な国」にします。
このために、警察官をはじめとする治安関係職員の増員を図り、同時に刑務所など矯正施設の過剰収容を解消します。
(1)不法滞在者を五年間で半減
平成16年中の来日外国人による犯罪は、検挙件数、人員ともに過去最高を記録し、20年前と比較して、検挙件数で約9倍に増加していますが、この検挙人員のうち約56%を不法滞在外国人が占めています。
わが党では、政権公約2003において、不法滞在外国人を5年間で半減することを掲げ、その後、不法滞在者半減は政府の方針となりましたが、これら不法滞在外国人の摘発に当たる入国管理局職員は、2,841人に過ぎません。諸外国の入国管理局職員と在留外国人数を比較すると、わが国においては、アメリカの3分の2、イギリスの3分の1以下の職員で対応しています。
わが党は、厳正な入国管理と摘発体制の強化のため、入国管理局職員の大幅な増員を行い、併
せて、入国審査時に外国人から指紋等のバイオメトリクス(生体情報)を取得するための制度と体制を整備し、不法滞在外国人を5年間で半減させる計画を達成します。
(2)組織犯罪・サイバー犯罪対策、少年犯罪対策を充実強化します
暴力団等による組織犯罪やコンピュータ・ネットワークを悪用したサイバー犯罪が頻発し、わが国の治安悪化の要因になっています。そして、容易に国境を越えて行われるこれらの犯罪には、国際社会と協力して対処する必要があります。
また、少年非行は、低年齢の少年による凶悪重大な事件が発生しているなど深刻な状況にあります。わが党は、このような組織犯罪・サイバー犯罪、少年犯罪の現状に適切に対処できるようにするため、所要の法案を提出し、その早期成立を図ります。
(3)薬物・銃器等の水際対策と取締体制の強化
第3次覚せい剤乱用期と言われるように薬物問題が深刻化し、また、銃器問題も引き続き社会の大きな課題となっています。このため、水際における取締りを徹底強化し、覚せい剤・麻薬・銃器等のいわゆる社会悪物品の国内流入の阻止に努めます。
同時に、国内における薬物・銃器等の取締体制を強化し、さらに暮らしの安全確保に努めます。特に麻薬・覚せい剤等の薬物については、乱用者の低年齢化に着目し、薬物取引等の取締りを強化するとともに、薬物乱用防止の普及啓発を積極的に推進します。
(4)海上の治安確保
わが国海洋権益の確保、九州南西海域における工作船事件などの不審船事案、米国同時多発テロ以降の世界的なテロの続発により発生が懸念される重要施設等に対するテロ及び薬物・銃器の密輸、密航等の海上犯罪などに的確に対応できるよう運用態勢・装備の充実、海上保安官の確保等、海上保安体制を充実強化し、引き続き国民の安全と安心の確保に万全を期すこととします。
また、改正SOLAS条約(海上人命安全条約)に対応した、国際船舶・港湾保安法(平成16年7月施行)に基づき、入港規制の実施を含む船舶及び国際港湾施設の保安対策を的確に実施するとともに、ノンストップゲートの導入など出入管理の高度化や必要な体制・人員の確保を図ります。さらに、国際基準を満たさない船舶を排除し、海上航行の安全及び海洋環境を保護するため、外国船舶に対する監督(ポートステートコントロール)体制を強化するとともに、良好な海洋環境を守るために、油の回収や船舶の撤去などの放置座礁船対策を推進します。
(5)更生保護の充実強化による再犯防止
国民の誰もが願う安全・安心の社会を実現するためには、再犯の防止と地域における犯罪抑止力の強化が不可欠です。
このため「犯罪に強い社会の実現のための行動計画」を着実に実施するとともに、保護観察を強化し、また、犯罪前歴者等の更生の拠点となる更生保護施設の整備を推進するほか、保護観察官等を増員し、保護観察体制の大幅な充実・強化に強力に取り組んでいきます。
わが国の保護司制度は、地域における犯罪抑止の原動力でもあることから、保護司適任者の確保とその活動基盤の充実を図っていきます。
(6)犯罪被害者の救済
平成16年12月、わが党の主導により、議員立法で、犯罪被害者等基本法を成立させました。これを受けて、犯罪被害者等の尊厳を守り、それぞれの事情に応じたきめ細かい支援・保護等を行っていくための施策をとりまとめて、本年中に犯罪被害者等基本計画を作ります。
また、この計画に盛り込んだ施策をひとつひとつ確実に実施するために必要な人的・物的体制をしっかりと整備していきます。
(7)人権救済制度の確立
「人権の世紀」と呼ばれる21世紀にふさわしい、人権が尊重され、人権侵害が発生しない社会を築いていくためには、人権教育・啓発の取組みを推進するとともに、差別や虐待等の人権侵害の被害者の救済制度を整備する必要があります。このため、差別や虐待の被害者等人権を自ら守ることができない人々を、簡易・迅速な手続きで救済する人権救済制度の確立を目指します。
3.テロ対策
平成13年9月11日の米国における同時多発テロ事件以降、各国政府がテロ対策を強化しているにもかかわらず、本年7月には英国・ロンドンで同時多発テロ事件が発生するなど、国際テロの脅威は、諸国民の平穏な生活を脅かしています。
わが党は、このような緊迫する国際テロ情勢に的確に対応し、国民の安全を守るため、テロの未然防止と対処能力の強化に努めます。具体的には、出入国管理やハイジャック対策、爆弾テロ・NBCテロ対策の強化、重要施設や鉄道等の警戒警備等の徹底を図るほか、警察の特殊部隊SATを充実させます。
また、平成16年12月に政府の国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部で決定された「テロの未然防止に関する行動計画」を着実に推進し、先進諸国の法制も参考にしながら、テロの未然防止のための国内法の整備を進めます。
4.交通事故対策
近年、交通死亡事故は減少傾向にあるものの、今なお、年間の死者数は7千人を超えています。また、負傷者数はいまだ増加傾向に歯止めがかからず、年間で120万人近くにも達しています。
わが党では、死者数をさらに減少させるとともに、負傷者数も減少に転じさせるため、悪質違反の取締り、道路交通環境の整備、交通安全思想の普及徹底、車両の安全性の向上といった総合的な交通安全対策を充実させ、国民の切実な願いであり、かつ、道路交通安全の究極の目標である、「交通事故のない社会」の実現を目指します。
少子高齢化の進展を踏まえると、人と車が共存できる道路交通環境を創出し、交通事故の惨禍から子どもや高齢者を守ることが特に重要となります。そのため、住宅街や商店街等の地域では道路標識の高輝度化・大型化、信号灯器のLED化等を、事故発生の危険性が高い箇所では信号機の新設、改良等を、集中的に実施します。また、高齢歩行者等の横断を支援する機能を付加した、バリアフリー対応型信号機の整備等を推進します。
さらに、高度情報通信技術(IT)を積極的に活用し、信号機の制御や交通情報の提供を行う交通管制システムの機能を向上させるなど、高度道路交通システム(ITS)の整備を推進し、安全で快適な道路交通環境を実現します。
5.健康・医療
(1)アスベスト問題対策の迅速な実施
アスベストによる健康被害が発生する中、国民の健康を守り、その不安を解消することは、喫緊の課題です。このため、アスベストが使用された建築物・学校施設等対策の徹底、アスベスト製品製造等の早期全面禁止、健康相談窓口の開設等による労働者・退職者の適切な健康管理の促進、迅速・的確な労災補償、中皮腫等に関する研究の実施等を推進します。また、労災補償を受けずに死亡した労働者、家族及び周辺住民の被害へ的確に対応するための新規立法を行います。
(2)がん対策の推進
国民が最も不安を感じている疾病であるがんについて、罹患率と死亡率の激減を目指し、革新的な診断・治療法の開発などの「がん研究の推進」やがん検診の充実などの「がん予防の推進」に取り組むとともに、全国どこでも良質ながん医療が受けられるよう、がん医療の提供体制の整備やがん専門医の育成、がんに関する情報の収集・提供体制の整備を進めるなど、患者・国民の視点に立って、がん対策を総合的に推進します。
(3)自殺予防対策の推進
自殺死亡者数は、ここ数年3万人を超える高い水準で推移し、毎年百数十万人の人々が自殺問題に苦しんでいると言われています。このため、先の国会(参議院厚生労働委員会)において我が党のイニシアティブの下、自殺予防を社会全体の問題として取り組むべきとする国会決議を行ったところであり、これに基づき、「自殺予防総合対策センター(仮称)」の設置や、産業保健と地域保健の連携による心の健康づくり、職場におけるメンタルヘルス対策の推進など総合的な自殺予防対策を推進します。
(4)感染症・疾病対策の推進(新興・再興感染症、難病対策)
近年、SARSがアジアを中心に発生し、また、高病原性鳥インフルエンザを契機とする新型インフルエンザの発生が懸念される中で、新興・再興感染症への対策が重要となっています。こうした感染症の発生及びまん延を防止するため、病原性微生物等に関する適正な管理体制の確立、最新の知見に基づいた医療を提供できる体制の整備など感染症対策の一層の充実・強化を図ります。
また、難病患者に対する総合的な保健医療福祉施策等を充実するため、難病の原因の究明や治療法の確立を推進するとともに、難病相談・支援センターの充実を図ります。
(5)医療安全対策
医療安全対策は、わが国の医療政策における最重要課題の一つであり、国民が安心して医療を受けられるようにし、国民の医療に対する信頼を高めるため、医療事故の事例等の収集・分析による再発防止対策の周知徹底や相談機能の強化等医療安全対策を充実し、患者の視点を尊重した医療を推進します。
(6)医薬品・医療機器の安全対策
健康に対する国民の意識の高まりや医療の高度化にも対応しつつ、医薬品・医療機器の安全対策を充実します。また、治験環境の充実等について総合的な施策を推進し、患者の生活の質の向上等に寄与する画期的な医薬品・医療機器の提供を実現します。さらに、患者がジェネリック医薬品を選択しやすくするための環境整備を行い、ジェネリック医薬品の使用促進を図ります。
6.障害者支援
(1)障害者の自立支援の推進
従来の障害保健福祉サービスには、サービスの提供体制や利用状況に地域差が大きいこと、精神障害者のサービスの整備が遅れていることなど、解決すべき課題も多くあります。先の国会に提出した「障害者自立支援法案」は、これらの課題を解決し、従来の障害保健福祉施策をより安定的かつ効率的なものへと変えていくために必要不可欠なものです。
この法案では、障害者の自立した地域生活を支援するため、すべての障害者が必要なサービスを受けられるよう、地域偏在の解消を図りつつ、遅れている精神障害者の保健福祉施策を含めハード・ソフトの基盤を抜本的に充実強化することとしています。
また、サービスの利用者に対して利用料と所得に着目した費用負担を求めることとしていますが、負担感が過度にならないために、低所得者へのきめ細やかな配慮を講ずるとともに、就労支援を含めた障害者の所得の確保の施策の在り方について検討を行います。
わが党は、与党の責任において、この「障害者自立支援法案」の早期成立を目指します。
(2)障害者に対する雇用・就労支援や職業能力開発の推進
障害者の社会参加の進展、就業意欲の高まりを踏まえ、今通常国会において成立した改正障害者雇用促進法に基づき、障害者雇用対策の充実強化を図ってまいります。特に精神障害者については、雇用率への算入とあわせて事業主・障害者双方への支援を強化し、雇用の促進を図ります。また、雇用と福祉の連携を一層強化し、福祉的就労から雇用への移行を促進するとともに、在宅就業支援の促進など多様な形態による障害者の就業機会の拡大、障害者の態様に応じた職業能力開発の推進を図ります。
7.消費者の安全
(1)消費者団体訴訟制度の導入
商品・サービスの契約・解約に関する消費者被害が増加しています。こうした消費者被害は、同じような被害が多くの消費者に発生するという特徴があり、被害が広がる前に事業者の不当な行為を抑止する必要があります。一定の消費者団体に、事業者の不当な行為を差し止める権利を認める消費者団体訴訟制度を導入するため、平成18年通常国会で法整備を行います。
(2)悪質住宅リフォーム対策
悪質な住宅リフォームの被害が高齢者を中心に広がっているため、悪質な業者の取締りや高齢者等への呼びかけの強化、成年後見制度の活用等の対策を推進します。
(3)消費者契約法の見直し
消費者契約法施行後の状況について分析・検討するとともに、高齢者や若者など消費者の特性に応じた勧誘ルール、取引を希望していない消費者に対する勧誘の規制等について幅広く検討し、消費者契約法の見直しを行います。
8.雇用対策
(1)各世代に応じた職業能力開発基盤の整備
人口減少社会において、日本社会の活力維持・向上を図るためには、働く人すべてが働く能力を高め、十分に発揮する必要があります。
このため、若者の教育訓練に取り組む企業への支援、職業能力開発休暇の普及、労働者のキャリア形成促進などの措置を法的整備も含めて講ずることにより、各世代に必要とされる職業能力の開発・向上を促進します。
(2)団塊の世代の高齢化(2007年問題)に伴う技能継承の支援
2007年には、これまで日本を支えてきた団塊の世代が引退過程に入ることから、この世代が有する熟練技能を次の世代に円滑に引き継ぐことが、いわゆる「2007年問題」への対応として喫緊の課題とされています。
このため、熟練技能を多く保有している中小企業において技能の円滑な継承が図られるよう助成措置の拡充をする等により各企業における技能継承を支援し、我が国に蓄積された世界に誇るべき熟練技能の円滑な継承を図り、我が国の活力を維持します。
(3)非正規労働者対策の充実
女性や高齢者が活き活きと働き社会に貢献できる機会を拡げるために、短時間正社員制度の導入促進、パートタイム労働者の処遇の改善、正社員への転換制度の普及・定着など、パートタイム労働対策を充実・強化します。
(4)雇用ミスマッチ解消に向けた雇用対策の推進
ハローワークにおける個々の求職者の状況に応じた個別総合的なサービスの提供と求人充足に向けた求人者サービスの充実、シルバー人材センター事業の拡充等によるいくつになっても働ける社会の実現のための施策の推進、雇用情勢が厳しい地域における創業支援の充実などこれらの地域に重点化した雇用対策の実施等により、雇用のミスマッチを解消します。
9.食育・食の安全
(1)食育の推進
国民の食生活をめぐっては、栄養の偏り、不規則な食事、肥満や生活習慣病の増加等様々な問題が生じています。このため、食育を知育、徳育及び体育の基礎となるべきものと位置づけるとともに、様々な経験を通じて食に関する知識と食を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てる食育を推進することが必要になっています。
そこで、国民が生涯にわたって健全な心身を培い、豊かな人間性をはぐくむため、食育基本法に基づき、食育推進基本計画を作成するとともに、食育を国民運動として総合的かつ計画的に推進します。
(2)食品安全対策
食品は人々の生活において重要な位置を占めており、食品の安全に対する国民の関心はますます高まっております。このような国民の要請に応えるため、残留農薬等の規制を強化するとともに、輸入食品の監視指導を強化することにより、食品の安全に万全を期し、国民の信頼確保を図ります。また、BSE(牛海綿状脳症)や鳥インフルエンザなどの食の安全・安心を揺るがす問題への適切な対応や、生産・加工・流通等の各段階で食品とその情報が追跡・遡及できるトレーサビリティ・システムの導入促進、食品表示の充実・適正化等を一層推進します。
(3)安全な水の確保
国民が安心して利用できる安全で良質な水道水の供給を確保できるよう水質管理の強化、水道施設の計画的な整備・更新や広域化を行うとともに、水道施設における地震・渇水対策を強化します。
10.エネルギー
(1)核燃料サイクル確立の推進
資源小国であるわが国にとって、エネルギー安定供給、地球温暖化防止等の観点から、原子力発電の重要性は言うまでもなく、ウランの利用効率を飛躍的に高めることになる核燃料サイクルの確立は、わが国原子力政策の基本をなすものです。このためわが党としては、高速増殖原型炉「もんじゅ」を中心とした核燃料サイクル技術の研究開発を推進します。
わが党は、地元関係者や国民の理解を得るため最大限努力するとともに、核燃料サイクルの技術開発、実用化を目指します。
(2)ITER計画等の核融合研究開発の推進
核融合エネルギーは、[1]海水中に存在するほぼ無限の燃料、[2]安全対策が比較的容易、[3]二酸化炭素の発生が少なく、放射性廃棄物も低レベルのものしか発生しない等の特長を持ち、実現すれば世界のエネルギー問題を一挙に解決できる可能性を有しています。
わが党としては、現在国際協力で進められているITER計画を始め、人類究極のエネルギー源である核融合エネルギーの実用化に向けて、核融合研究開発を推進します。
(3)柔軟で強靱なエネルギー需給構造の構築
[1] 省エネルギー・新エネルギーの一層の推進
改正省エネ法の着実な施行や予算・税制の有効活用等により、技術開発、設備導入等に資する省エネ対策を強化します。支援措置の重点的実施、RPS法(電気事業者の新エネ利用法)の着実な運用等により、新エネルギーの導入を促進します。
[2] 安全確保を大前提とした原子力の推進等
資源・環境制約の強まる中、電力の安定供給体制を確立するため、安全確保を大前提に原子力を基軸電源に位置づけるとともに、安全レベルを維持向上しつつ設備利用率の向上を図ります。
また、立地地域との共生政策の充実、原子力エネルギー教育の拡充を推進します。高速増殖炉の開発、核燃料サイクルシステムの確立、ITER等核融合研究開発事業を着実に推進します。
[3] 運輸部門における燃料多様化の推進
運輸部門の燃料として、バイオマス由来燃料、天然ガス等を起源とする合成液体燃料(GTL:Gas To Liquid 等)、水素等について、中長期的視点から利用環境の整備や技術開発・実証等に取り組みます。
[4] 資源燃料確保戦略の強化等による安定供給の確保
石油・天然ガスについて、ロシア等戦略的地域における自主開発の推進と供給源の多様化、東シナ海等我が国における権益の保全、産油国との関係強化、メタンハイドレートの研究開発の促進等の総合的な資源戦略を展開します。上記の他、石油備蓄の更なる充実、環境調和的・効率的な利用促進、国内石油産業の経営基盤強化等を総合的に推進します。
[5] アジア地域でのエネルギー環境政策の推進
アジア地域におけるエネルギー需要拡大等を踏まえ、アジア地域諸国における石油備蓄制度の導入・強化、クリーン・コール・テクノロジー、省エネルギー・環境対策等に向けた取組強化を進めます。
(4)世界に先駆けての持続可能な資源循環システムの構築
[1] 戦略的資源政策の構築
産業競争力上不可欠な資源の安定供給を確保するため、資源採取から利用・廃棄・リサイクルに至る実態の把握を行うとともに、資源外交の強化、探鉱開発の推進、備蓄制度の見直し、有用資源の回収・リサイクルによる供給ルートの構築等を図ります。
[2] 環境配慮情報を活用した競争力向上
資源有効利用促進法等を活用し、環境配慮設計やライフサイクルの各段階での環境配慮情報の管理等を推進します。
[3] 容器包装リサイクルシステムの高度化
容器包装リサイクル制度について、システム全体の効率性や分別収集の質の向上、容器包装のさらなる使用削減等に向けた見直しを行います。
11.環境
(1)京都議定書の削減約束達成と地球環境保全に向けたリーダーシップ
京都議定書目標達成計画に基づき、京都議定書の削減約束を達成するためのあらゆる対策・施策を推進します。このため、太陽光発電などの面的導入への支援を始めとする再生可能エネルギーの導入を促進するほか、京都メカニズムのクレジット調達制度の導入、業務用冷凍空調機器からのフロン回収対策の強化、バイオ燃料など地球温暖化対策技術の実用化に向けた重点的な技術開発を推進します。その他、自主参加型の国内排出量取引制度や京都メカニズムの本格活用を推進するとともに、事業者の温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度を適切に実施します。脱温暖化に向けた国民運動を盛り上げ、ライフスタイルの転換を訴えていきます。
また、米国や途上国等が参加する実効ある国際枠組みの構築へ向けて国際的議論をリードします。
(2)3Rの推進と不法投棄の撲滅
廃棄物の発生抑制(リデュース)、再使用(リユース)、再利用(リサイクル)の「3R」を推進し、不法投棄を撲滅することによって、ゴミゼロ社会の実現を目指します。このため、拡大生産者責任を踏まえた容器包装リサイクル法の見直しを含め、各種リサイクル法の強化を図るほか、ひとりでも多くの皆さんのレジ袋削減・マイバッグ利用を訴えていきます。
また、わが国の提唱により開始された3Rイニシアティブを国際的に推進するため、アジア等を中心として、政策対話や技術移転を進めるとともに、不法輸出入防止や研究推進のための国際ネットワークづくり等を進めます。
循環型社会形成推進交付金により、国と地方が一体となって廃棄物・リサイクル施設の整備など循環型の地域づくりを着実に進めるほか、浄化槽の整備、PCB廃棄物の処理施設の整備を促進します。
不法投棄対策と適正処理を推進するため、不法投棄監視体制の強化、産業廃棄物処理業者の優良化、電子マニフェストの普及促進等に取り組みます。
(3)環境を軸とした豊かな経済社会の創出
環境と経済、社会が一体となった発展を目指し、第三次環境基本計画を策定するほか、2050年頃を見通した環境政策の超長期ビジョンの策定や、環境と経済の好循環を生みだすためのまちづくりのモデル事業の推進、環境統計等の環境データの整備利用体制の充実・強化を図ります。
国や自治体におけるグリーン調達、企業の社会的責任(CSR)に基づく環境保全活動の普及推進を図ります。
ナノテクノロジーの活用など、先進的な環境研究・技術開発への重点的な投資を行います。
地域における環境教育・パートナーシップの促進を全国的に展開します。
(4)生物多様性保全と自然との共生の推進
知床が平成17年7月に世界自然遺産に登録されましたが、その保護と適正な利用を進めるための調査等や施設整備を行います。
魅力的な国立公園づくりを進めるため、アクティブ・レンジャーやグリーンワーカーの活用や地域関係者の参加・協力による運営体制づくりを進めます。また、国立公園におけるエコツーリズムや自然とのふれあいの場の整備を進めます。
ジャワマングースやオオクチバスなどの特定外来生物について、国による防除事業等を進めるほか、輸入規制のための水際体制の確立を進めます。
農業や人への被害が問題となっている野生鳥獣について、保護管理対策を強化します。また、改正動物愛護管理法に基づく基本指針の策定、個体識別措置の推進等の充実・強化を行うほか、トキなどの希少種の野生復帰を進めます。
(5)生活の保全
都市における環境対策として近年顕著になっているヒートアイランド現象の解消に向けて、環境等への影響調査を行うとともに、打ち水大作戦など国民の皆さんと一緒に対策に取り組みます。また、自動車NOx・PM総量削減対策の点検、低公害車の普及・促進、持続可能な交通体系の構築などの交通環境対策を進めます。
水環境の目標や効果的な監視方法など水環境保全施策の枠組みの再構築と健全な水循環の確保を図ります。また、流出水対策など改正湖沼法に基づく施策、世界の水環境問題の解決に向けた国際貢献、地域の方々と連携した水環境保全活動を推進します。また、汚染土壌対策や優良な土壌環境事業の普及促進などを進めます。
化学物質対策については、国際的動向を踏まえ、平成20年度までに一定量以上の既存化学物質について安全性点検を行うとともに、地域におけるリスクコミュニケーションの支援をはじめ一層の強化を図ります。
平成18年5月に公式確認から50年の節目を迎える水俣病対策について医療対策等の一層の充実等に取り組むなど、公害健康被害対策を推進します。
国内における毒ガス問題について、環境調査や情報収集、茨城県神栖市における健康影響に係る緊急措置事業など必要な対策を引き続き推進します。
五、日本の未来を担う人材を育成します
1.教育基本法
社会の大きな変化の中で、わが国が力強く発展していくためには、新しい時代を切り拓く個性と創造力を持ち、国際社会の中で、我が国の歴史や伝統、文化に誇りをもつ、心豊かでたくましい日本人を育てることが重要です。しかし、依然として子どもたちの心の荒廃、青少年犯罪、家庭の崩壊など、様々な深刻な問題を抱えております。このような問題への具体的な対応のみならず、教育を根本から見直し、思い切った改革を行うことが不可欠となっています。
このため、教育基本法を改正し、豊かな情操と道徳心にあふれ、正義と責任を重んじ、伝統文化を尊重し、郷土や国を愛する心や公共の精神が身に付く教育、また、家庭や地域の教育力の回復を実現します。教育振興基本計画を策定し、わが国の目指すべき教育を進めます。
2.青少年健全育成・教育
(1)青少年健全育成の推進
児童虐待や青少年が被害者となる犯罪の頻発、青少年の非行等の深刻化など青少年をめぐる厳しい現状を踏まえ、「青少年育成施策大綱」に基づく施策を総合的かつ効果的に推進します。特に、いわゆる「ニート」と呼ばれる若者の増加など、新たな課題となっている若者の自立の遅れに対しては、地域の相談・支援機能の充実など取組を強化します。
最近の少年の非行や犯罪被害の情勢を見ると、刑法犯少年の検挙人員は減少していますが、人口当たりの検挙人員でみると、少年は成人の約7倍で、戦後最悪の昭和50年代後半に近い水準で推移しており、また、児童虐待については、検挙件数が急増しており、痛ましい事件が相次いでいます。
本年1月に内閣府が実施した「少年非行等に関する世論調査」でも、少年による重大な事件が以前に比べ「かなり増えている」と感じている者の数が約7割となるなど、少年非行等の深刻化に対する国民の憂慮がうかがわれます。
このような少年問題の深刻化の背景には、新宿歌舞伎町に代表される歓楽街の風俗環境の悪化、家庭・学校における教育機能の低下、簡単にインターネットで暴力や性に関する情報を入手できる情報化の進展、社会の規範意識の希薄化、地域社会の連帯機能の低下等が指摘されています。
わが党は、このように厳しさを増す少年の非行や犯罪被害等の情勢に対応し、子どもが健やかに育つことができる社会を目指して、「地域の子どもは、地域で守り育てる」を合い言葉に、警察・学校・児童相談所等の関係機関の連携枠組みを確立し、専門的な支援体制の充実を図るとともに、これらの問題を抱える少年の立直り支援、街頭補導活動等の地域に密着したボランティアの活動の活性化、インターネット上の有害コンテンツ対策の推進等の少年を取り巻く有害環境の浄化を推進するなど、家庭・学校・地域社会が一体となって非行や犯罪被害から子どもを守るための政策を着実に実行します。
(2)新しい時代を切り拓く日本人の育成と教育・文化・スポーツの振興
[1]“確かな学力”と“豊かな心”の育成
ア)子どもたちが切磋琢磨し、新世紀を力強く生き抜く力を身に付けることができるよう、人間力向上のための教育改革を推進します。
イ)基礎・基本を徹底し、自ら考える力などの“確かな学力”を育成するため、学習指導要領全体の見直しを進めます。
ウ)少人数授業や習熟度別指導など個に応じたきめ細かな指導を推進し、授業がわからない子どもゼロを目指します。
エ)子どもたちの主体的な学習活動や豊かな感性などを育むため、学校における読書活動を推進します。
オ)家庭・学校・地域社会が一丸となった“豊かな心”の育成を進めます。社会の規範や公共心、他人を思いやる心、人の命を大切にする心をしっかりと身に付けるよう道徳教育を徹底します。
カ)知育、徳育、体育に加え、心身の健康に重要な食生活の大切さを教える「食育」を推進します。
キ)子どもたちが、望ましい食習慣を身に付けられるよう、栄養教諭制度を活用した指導体制の整備など学校における食育を推進します。
ク)環境教育を推進するとともに、すべての子どもたちが、奉仕活動・体験活動を体験できるようにします。
ケ)教育の原点である家庭教育に対する支援を充実し、さらに、地域における大人の力を結集して子どもの居場所づくりを推進し、社会全体で子どもを育む環境を整備します。
(3)優れた教員の確保・配置と信頼される特色ある学校づくり
教員免許更新制の導入や教員養成のための専門職大学院制度の創設、新たな教員評価制度の確立などにより、教える専門家としての使命感と能力を備えた優れた教員を確保します。また、親や住民の信頼に応え、地域に開かれた学校づくりを進めるため、学校における情報公開と自己評価を推進するとともに各地域におけるコミュニティ・スクールの設置に向けた取組を支援します。また、義務教育の質的向上のため、国による学校評価ガイドラインの策定をはじめ、外部評価システムの導入を進めます。生徒や保護者が中高一貫教育校を選択することができるよう、その設置を促進します。さらに、すべての学校の授業でコンピュータを活用できる環境を整備します。
(4)確固とした教育条件の整備と財源の確保
義務教育の充実を国家戦略として位置づけ、必要な財源を確保します。各学校が地域に根差した教育を展開できるような確固とした教育条件を整備します。特に国の責任の下、全国どこでも一定水準の義務教育が受けられるよう、義務教育の質の向上を図ります。
(5)国家戦略としての幼児教育政策の展開
子どもの視点に立ち、全ての子どもが力強く生きる力を幼児期から育成するために「幼児教育重視の国家戦略」を展開します。このため、親の経済的負担を軽減し、全ての子どもが十分な幼児教育を受ける機会が実質的に保障されるよう、保育園・幼稚園の幼児教育機能の充実を図るとともに、幼児教育の無償化を目指します。子育てを通じて、親としての喜びや生きがいが実感できるよう、親としての育ちを支援します。経済社会全体の中で子どもの育ちを支え、子どもの「人間力向上」のための政策を総合的に展開するため、教育政策と児童福祉政策、労働政策などとの連携を一層進めていきます。
また、就学前の教育・保育を一体として捉えた一貫した総合施設については、18年度からの本格実施を目指して、しっかりと取組を進めていきます。
(6)学校施設の耐震化とアスベスト対策の推進等、安全で安心して学べる環境の整備
子どもたちが安心して学ぶことができるよう、学校施設の耐震化、アスベスト対策、防犯設備の拡充を推進します。
(7)個性輝く大学づくりの推進
「知の創造と承継の拠点」である大学・大学院の教育研究機能の向上や国際競争力の強化を図り、わが国の知的基盤を充実します。国公私立大学を通じた競争的環境の中で個性輝く大学づくりを目指すとともに、国立大学の法人化等により進みつつある各大学の改革を確実に支えていきます。このため、多元的できめ細やかな財政支援システムの構築を目指します。
また、創造的な研究人材を育成する世界最高水準の大学院や法科大学院など高度専門職業人を育成する大学院の支援を強力に進めます。
(8)奨学制度の拡充による学生支援
学生の自立を促し、意欲と能力ある者が経済的理由によって勉学の機会を失わないよう、18歳以上の奨学金希望者全員への貸与を引き続き目指し、奨学金の抜本的な充実に努めることにより学生支援を進めます。
特に、親の失職や倒産等により家計が急変し、緊急に奨学金が必要となった者に対する緊急採用奨学金制度により、経済的理由で学業を断念することのないようにします。
(9)私学教育の振興と特色ある教育の推進
建学の精神に基づき特色ある教育研究を展開している私立学校の振興を図り、生徒や保護者の負担を軽減できるよう、私学助成の充実に努めます。
また、多様な教育を展開する専修学校や各種学校の振興に努めます。
(10)国内外の人々を魅了する「文化力」の向上
活力ある地域の再生を目指し、伝統文化の活性化や地域の文化芸術活動の振興を図ります。特に、子どもたちに伝統文化を継承する取組を推進します。文化財の保存・活用の推進や、国民が文化ボランティアなどにより文化芸術活動に参加し、文化芸術を創造できる環境を整備します。また、最高水準の文化芸術活動の創造、世界に羽ばたく新進芸術家の育成や日本映画の振興を図ります。さらに、日本文化の海外への発信を推進します。これらを通じ、文化芸術をいかした豊かな国づくりを進めます。
(11)豊かなスポーツ環境づくりの推進
子どもたちがたくましく生きるための体力を培い、体・徳・知の均衡のとれた成長を促すため、学校における体育の充実を図ります。総合スポーツクラブの育成など、誰もが身近にスポーツに親しむことのできる「生涯スポーツ社会」の実現のため、地域におけるスポーツ環境の整備を図ります。また、ナショナルトレーニングセンター中核拠点の整備などにより、国民に夢と希望を与え、世界で活躍する選手を育成します。
(12)学校の安全確保
学校における事件・事故が大きな問題となっている近年の状況を踏まえ、子どもたちが安心して教育を受けることができるよう、学校、家庭、関係機関等の連携の下で、学校の安全管理の徹底を図ります。
3.少子化対策
来年をピークに我が国の人口は減少に転ずることが予測されており、深刻な少子化の進行に歯止めをかけ、若い世代が将来への希望と子育てへの夢を持てるよう、包括的かつ抜本的に次世代育成支援対策を充実させることが喫緊の課題です。
このためわが党は、家庭や地域のつながりを大切にし、家庭で過ごす時間を十分確保できるようにして、生命の大切さと子育ての喜びを国民全体で共有できる社会を創ることを基本に据えて、7月に「新たな子育て支援対策の展開について(中間とりまとめ)」を取りまとめました。これを踏まえ、子育て期の経済的負担の軽減を図るため、集中的に取り組むことが重要です。
(1)子育て期の経済的負担の軽減
児童手当・育児休業中などの所得保障の拡充や税制における子育て支援について合わせて検討を行い、欧州で出生率が回復・安定している国における、社会全体で負担を分かち合うとの考え方を念頭に、子育て期の経済的負担を軽減させます。
(2)地域子育て支援対策の充実、待機児童ゼロ作戦の実現
全国どの地域でも子育て環境の変化を実感できるよう、地方公共団体の次世代育成支援行動計画を着実に推進します。
すべての子どもとすべての家庭へ支援が行き届くよう、地域の総合的なネットワークを構築するなど、子どもを育む家族や地域のつながりを強め、子育てを支え合う体制を確立します。
「待機児童ゼロ作戦」の継続と、一時預かりなど、誰もが利用できる保育サービスの充実を図ります。
(3)家庭を築き、家族と一緒に過ごす時間を確保できる働き方の実現
男女ともに子育てしながら安心して働き続けることができるように、育児休業取得や育児期の短時間勤務制度の導入を推進します。特に、希望者すべてが育児休業を取得できるように、中小企業に対して重点的に負担軽減のための支援を行います。
また、出産・育児で離職した女性が再チャレンジできるよう再就職・再就業支援事業を拡充します。
さらに、年次有給休暇の取得促進や長時間にわたる時間外労働の是正など、育児をはじめ個々人の生活に配慮した労働時間や休暇の設定に向けた労使の自主的取組を促進するため、早急に法整備を行います。
(4)児童虐待防止と支援
児童虐待を防止するための地域ネットワークの全国整備や児童相談体制の充実などを図るとともに、小規模ケアの推進や里親制度の充実などにより虐待を受けた子どもへの支援を強化します。
(5)小児科・産科医療の確保と負担の軽減(母子保健医療の充実)
子どもの生命を守るために、輪番制や小児救急電話相談(ダイヤル「#8000」番)の実施などにより小児救急医療体制の整備を進めるとともに、医師の確保対策、小児医療の診療報酬上の評価等により、地域における小児医療・産科医療を確保します。分娩の費用の見直しなど、出産・小児医療に係る負担軽減を図ります。
4.フリーター・ニート対策
フリーターやニートの増加をはじめとする若者の自立や雇用をめぐる現状を踏まえ、「若者の自立・挑戦のためのアクションプラン」を強化・推進します。
具体的には、フリーターの増加傾向を反転させるため、ハローワークにおける就職支援体制の強化やトライアル雇用事業の拡充など、「フリーター25万人常用雇用化プラン」を推進するとともに、ニートの自立を図るための地域における支援体制の構築や若者の就業をめぐる悩みに対する専門的相談体制の整備、若者自立塾の拡充、学び直しの機会の提供などニート対策を強化します。
さらに、ニート、フリーターになることを防ぐため、職場見学や中学校における5日以上の職場体験、主体性や社会性を育む体験活動の実施などを通じ、子供たちの勤労観・職業観を育成するキャリア教育等を推進します。
六、国民を守る平和外交と安全保障施策を進めます
1.外交政策
(1)揺ぎない日米同盟を基軸とした国際協調による平和外交の推進
わが国は、世界の平和と繁栄のために、日米関係をさらに強化するとともに、国連を中心とする国際協調により、平和外交を積極的に推進します。
(2)「人間の安全保障」の推進による積極的なODAの活用
国家安全保障の考え方だけでなく、一人ひとりの人間の生存・尊厳に着目する「人間の安全保障」の考え方を推進しつつ、積極的にODAを活用し、環境・貧困・感染症など地球規模の課題に取り組みます。
(3)中国・韓国等近隣諸国との関係の改善強化とアジア「共同体」構想の推進
中国・韓国との未来志向型の連携強化を進めることによって、アジアにおける「共同体」構築を推進します。
(4)WTOドーハラウンド交渉の推進とEPA(経済連携協定)等の推進
多角的な貿易自由化や通商ルールの整備等を実現するため、2006年末合意を目指して、WTOドーハラウンドを積極的に推進します。
また、モノ、サービス、人、資本等の移動をより自由化するため、大枠合意に至ったタイや、現在交渉中のインドネシア、韓国、ASEAN全体等とのEPA交渉を推進し、早期の協定締結を目指します。
(5)「査証WAN」の拡充と「IC旅券」の導入
テロリストを含む問題外国人の入国をビザ発給段階で精査するための総合オンラインシステム「査証WAN」を拡充するとともに、バイオメトリクス(顔情報)を搭載したICパスポートを導入し、厳格かつ適正な出入国管理に努めます。
(6)情報発信力の拡充と情報収集・分析機能の抜本的強化
人や文化の交流、文化協力などソフト・パワー外交を強化するとともに、わが国の考え方など政策広報を積極的に展開します。また、外交の基本である各種情報を的確に収集・分析する機能を抜本的に強化します。
(7)国連改革の推進
国連の果たすべき役割はますます拡大しており、その機能を強化するため安保理改革や行財政改革など国連改革を断行します。また、国際機関における邦人職員の増員を目指します。
(8)領土問題の解決への努力
北方四島と竹島は、現在でもロシア・韓国に不法に占拠されており、国家の主権にかかわる最大の課題となっています。わが党はその解決に向け、粘り強く外交努力を重ねます。
(9)海洋権益の確保
海洋国家のわが国にとって、海洋権益を確保することは、国益に直結する課題であり、各省庁横断的な政策判断に基づく政府あげての取り組みが不可欠です。
わが党は、すでに「海洋権益を守るための9つの提言」を発表しており、今後ともこの問題について、政府とともに積極的に取組んで行きます。
喫緊の課題としては、東シナ海における海洋資源の試掘に向けた環境整備を進めるとともに、太平洋における大陸棚調査を国家プロジェクトとして位置づけて積極的に推進します。
(10)拉致問題の解決に向けたさらなる努力
拉致問題の解決を含む核問題・ミサイル問題が包括的に解決されなければ、北朝鮮との国交正常化はありえません。この基本を改めて確認し、経済制裁の発動を含め、拉致問題の解決に今後とも全力を傾注します。
2.安全保障政策
(1)防衛力の整備・強化と防衛庁の「省」への実現
国及び国民の平和と安全を守る国防は、国民に対する最高の福祉であり、かつ、国の最も重要な任務です。
冷戦終結後、9.11テロ事件を経て、わが国では、有事・平時を問わず、国の内外において自衛隊の任務が増大し、国民の多くが国防の重要性を認識し、防衛体制の整備・強化を強く望んでいます。これに責任をもって応えるためには、昨年策定した新防衛計画の大綱に沿って、防衛体制を整備し、自衛隊の統合運用や機能強化を図るなど、現在の組織や装備を新たな脅威にも対応できるように見直し、実効性の向上を図っていく必要があります。
そのためにも、防衛力の整備・強化を図るとともに、わが党で作成した「防衛省設置法案」を国会で成立させ、国の独立と平和のために働く自衛官に国民が敬意と感謝の念を持つべく努めます。
新たな時代に対応するために、防衛参事官制度の見直しや国際化への対応や地方との連携強化のための防衛庁の組織改編を行います。なお、わが党は海外での自衛隊の活動については、民主党のように自衛隊とは別組織の国連待機部隊「国際平和協力隊(仮称)」は作りません。それは、新たな人員や装備が必要となり予算が増大するためです。自衛隊の中で、これらの機能を強化します。
今後は、国防戦略の基本となり得る安全保障基本法(国防基本法)についても検討を行います。
(2)日米安保体制の強化
わが国の防衛は、自衛隊と日米安保条約に基づく米国との協力によって担保されています。今後も、わが国の安全及びアジア・太平洋地域、世界の平和と安定のために、日米安保体制のより一層の信頼性の向上を図り、日米同盟関係を強化していきます。
米軍再編を通じ、日米防衛協力を強化すると同時に、沖縄をはじめとする基地の地元負担を軽減します。
なお、ガイドラインの実効性確保のため、米国との計画検討作業や共同演習・訓練の強化などを積極的に行い、テロとの闘いにおける協力、弾道ミサイル防衛の推進等を通じ、日米安保体制がより有効に機能するよう引き続き努力していきます。
(3)国民の安全確保のための自衛隊の機能強化
自衛隊は国防という本来の任務のほかに、大規模地震や原子力事故への対処など国民の安全を確保する役割があります。このため、自衛隊による災害対処体制を一層充実するとともに、不審船や武装工作員といった事案に対応するための運用態勢の整備等を推進し、装備を強化し、自衛隊と海上保安庁・警察等との共同訓練をきめ細かく実施するなど連携の強化に努めます。
また、弾道ミサイル防衛システムの配備を行い、NBC(核、生物・化学)兵器及びテロ・ゲリラ対策を強化し、サイバー攻撃対策への危機対処能力の強化策の対応にも万全を期します。
(4)緊急事態における国民保護の体制の強化
国民の安心・安全を確保するために、武力攻撃事態対処関連法、とりわけ国民保護法の制定を受け、危機への備えを徹底し、国民の安全確保が図られるようにします。
なお、武力攻撃事態以外のテロ・工作船対策等の法制上の問題点の整理など想定される各種緊急事態への対応態勢の充実・強化に努めます。
また、新たに緊急事態基本法(仮称)を成立させます。
(5)国際協力と信頼醸成
自衛隊には、わが国を守るという役割に加え、国際社会の安定と繁栄のための新たな任務があります。今後は、PKOなど国際協力に関連する自衛隊の活動を、本来任務として位置づけるために自衛隊法を改正します。
わが国は、テロ対策特措法に従って、基本計画に基づき、米軍等に対する給油活動や物資輸送などの協力支援活動等を行い、国際テロ根絶への取り組みを積極的かつ主体的に継続しています。テロ対策特措法の期限が今年の11月にきます。現在、わが党では法律の延長についての議論を行っています。
イラク人道復興支援特措法に基づく自衛隊の海外派遣は、サマワの陸上自衛隊などがイラクで高い評価を受けています。今後のイラクへの自衛隊派遣の継続については、現地情勢の把握に努め、自衛隊員の安全に十分配慮しながら検討していきます。その際、日本の国際的責任を果たすべく国際協調、国際テロ撲滅活動やイラクの現状、諸外国の支援状況や日本の国益を十分に勘案して行います。
イラクへの自衛隊派遣については、民主党の言うような国際協調を考えない無責任な即時撤退はいたしません。
わが国としては、国際社会に貢献するため、PKF本体業務の凍結解除を行いましたが、今後は、テロ対策特措法やイラク人道復興支援特措法といった国際協力のための限時法(特別立法)ではなく、国際協力に関する一般法(国際協力基本法)を制定するなど、迅速な対応が可能となるよう検討します。
また、各レベルでの安全保障対話を推進し、多国間の信頼醸成に努め、地域と世界の安全保障の確立に努力します。
(6)憲法に自衛隊を軍隊として明記
憲法第9条を改正し、自衛隊の位置づけと国際協力における役割、集団的自衛権の行使を可能とすることなどを明確化します。今後、憲法改正に伴う防衛関連法制の整備を進めます。
(7)安全保障体制に関する内閣の機能強化
内閣総理大臣の安全保障・緊急事態担当補佐官を設置し、内閣官房(安全保障・危機管理担当)の機能強化を図ります。
(8)情報収集能力の向上と秘密保全の強化
国家の情報収集・分析能力の強化を図り、情報を活用して国民の安全を守ります。なお、秘密保全の強化策にも取り組みます。
(9)国の安全保障のための防衛産業・技術基盤の維持
諸外国においても、国の安全保障体制を維持する観点から国内の防衛産業を育成しています。わが国でも防衛政策上の観点から、国内の防衛産業・技術基盤を維持・発展させます。
(10)基地周辺住民への負担軽減の推進
基地周辺住民の皆様に様々なご負担をかけていることを踏まえつつ、沖縄における米軍基地の整理・統合・縮小をはじめ、基地周辺住民の皆様の負担軽減や生活環境の整備などの諸施策を推進します。特に、新たな負担を被る関係自治体には特別な配慮・施策を講じます。
わが党は、国民の期待に応え、わが国の防衛体制をより強固なものにしていきます。
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