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社説:視点 解散・総選挙 (毎日新聞): 「刺客」は帽子の中からハトが飛び出す手品---今回社説はリベラルが執筆!?
http://www.asyura2.com/0505/senkyo12/msg/120.html
投稿者 竹中半兵衛 日時 2005 年 8 月 21 日 10:47:15: 0iYhrg5rK5QpI
 

社説:視点 解散・総選挙  石原進(論説委員)

毎日新聞 8月21日
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/feature/news/20050821k0000m070127000c.html

 これはマジックの世界ではないのか。「古い自民党をぶっ壊して、新しい自民党をつくる」。小泉純一郎首相の掛け声とともに、女性官僚など話題性のある「刺客」が続々と登場してきた。さながら帽子の中からハトが飛び出す手品を見ているようだ。

 小泉首相は今回の解散を郵政民営化の是非を問う「郵政解散」だと強調している。自民党内の郵政民営化反対派を抵抗勢力、郵政民営化賛成派を改革勢力に色分けし、民主党など野党も「抵抗勢力」だと決めつけて一気に勝負をつける作戦とみられる。

 「賛成か反対かを国民にはっきり問いたい」と「刺客」を郵政民営化反対派の選挙区にどっと送り込む戦術で、総選挙を「郵政選挙」一色に塗り込めようとしているようだ。小泉マジックで「郵政の風」を吹かせたいのか。

 しかし、少子高齢化時代の社会保障のあり方や在日米軍の再編、自衛隊のイラク派遣問題、停滞したアジア外交など課題が山積している。国民の関心が高い年金や介護問題は、多くの課題を抱えたままだ。衆院解散で廃案となった障害者自立支援法案の行方を心配する人もいる。沖縄では在日米軍の再編が全県的な関心事だ。拉致問題も忘れてはならない。それぞれが郵政民営化にもまして選挙の重要なテーマである。.

 小泉首相は「郵政民営化ができないで、どんな大改革ができるのか」と主張するが、首相の言う「大改革」とはどんな改革なのか。

 大改革であるはずの財政改革の大方針だった国債発行30兆円枠を取っ払い、批判を受けた小泉首相は「この程度の約束は守れなくても大したことはない」と言ってのけた。国と地方合わせた債務残高は1000兆円に達する。本気で財政改革をやろうというなら、あの時「殺されても30兆円枠は守る」と言うべきだった。首相には「30兆円枠を守れなくて、どんな大改革ができるのか」を聞きたい。

 小泉首相が再三口にする「官から民へ」「民間にできることは民間に」といった言葉は、小泉マジックのキーワードだ。抽象的なスローガンを繰り返すことで問題を単純化し、その裏にある本質をぼかしてしまう。あの道路公団民営化が「官から民へ」の成功例だというなら、どこがどう改善されたかを具体的に語ってほしい。

 郵政民営化の旗を掲げた「仁義なき戦い」の刺客作戦は、世間の目を引きつけるという点では有効な選挙戦術かもしれない。

 だが、その手法が多くの重要な政治課題を問うべき選挙のあり方としてふさわしいかは大いに疑問だ。定着しつつある各党のマニフェスト(政権公約)選挙の動きに逆行する流れのように見える。

 「刺客」に目を奪われ、惑わされてはならない。日本の将来にとってより重要な課題は何かをそれぞれが考える選挙にしたい。

毎日新聞 2005年8月21日 0時08分

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