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社説:視点・解散・総選挙 反主流許さぬ怖さ
毎日新聞 8月18日
http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/shasetsu/news/20050818k0000m070140000c.html
自民党の派閥が息絶え絶えだ。
反小泉の急先ぽう、亀井静香氏が派閥会長辞任に追い込まれ離党した。党内第1派閥の旧橋本派は会長不在が久しく、牙城だった参院も団結のほころびを露呈した。旧堀内派も会長不在だし、小里派の会長は今期限りで引退する。
一枚岩を保っているように見える第2派閥の森派にしても、会長の森喜朗前首相は小泉純一郎首相に解散を思いとどまらせることが出来ずにさじを投げた。
自民党政治を裏で動かしてきた派閥は完全に機能不全に陥った。
派閥の衰弱はかなり前から始まっていた。国会議員にとって、派閥の効用は、領袖の力を頼りに選挙で党の公認を得ること、資金の面倒をみてもらうこと、政府・党の要職に就かせてもらうこと、などだった。
しかし、選挙制度が小選挙区比例代表並立制に変わり、政党助成法が導入されたことで、「選挙」と「金」をコントロールする力は党執行部に移った。
派閥所属議員に最後に残された「ポスト」獲得のうまみも、派閥順送り人事廃止を公約した小泉首相の登場でなくなった。すでにひん死状態だった派閥にとどめを刺したのが、郵政法案反対派に対立候補を立てるという小泉流の「刺客」作戦だ。
大平正芳元首相は「3人寄れば必ず2派をつくる」と言った。人間社会について当を得た言葉だ。派閥にも政策勉強や情報交換の場として、それなりの効能はあった。しかし、いまだに断ち切れない政官業の癒着に象徴されるように、“党中党”として政治をゆがめる弊害の方が目立ってきた。
政にとっての「票と利権」、官にとっての「既得権維持と保身」、業にとっての「商売」という三つの“うまみ”で結びついたトライアングルを支えてきたのが族議員だ。その族議員を育て政治を操ってきたのが全盛期の派閥だった。その意味で、派閥崩壊はこの党を透明度の高い近代政党に脱皮させる好機だと思う。
小泉首相は「古い自民党をぶっ壊して新しい自民党を作る」と言う。問題は、「新しい自民党」が何を目指すのか、だ。
改革推進に異論はない。だが、4年余の「小泉改革」をみると、少子高齢社会への対応策は手付かずだし、道路公団改革も中途半端だ。再挑戦すると言っている郵政改革にしても中身は不十分だ。
政策が違う者は排除するという“純化路線”はわかりやすく、有権者にも訴えやすい。だが、すべての政策について、すべての議員が同じ考えを持つというのは、国民政党を標榜(ひょうぼう)する自民党では考えにくい。
既成派閥は消滅したが、その後に「小泉派」という一大派閥が誕生して「新しい自民党」を一色に染め上げる。そんなことを想像すると、怖さも感じる。(論説委員 森嶋幹夫)
毎日新聞 2005年8月18日 0時51分
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