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『また選挙』福岡2区ルポ
「小泉解散」の大波を受け、三カ月半前に補欠選挙があったばかりの衆院福岡2区でも、9・11投開票に向けて事実上の選挙戦が始まった。首相盟友の自民党実力者が女性問題でつまずいた次には、民主党若手議員が学歴詐称問題で辞職するというドタバタ劇が続いた同選挙区。今回の解散に有権者は「また選挙か」とため息を漏らしながらも、予想される接戦に関心を強めている。 (竹内洋一)
福岡市中心部の中央区のほか、南区、城南区からなる福岡2区。お盆休みを迎え、昼間の人通りは普段よりも少ない。だが、総選挙に向けた活動を展開する候補予定者には、真夏の日差しが容赦なく照りつけていた。
自民党前副総裁で前職の山崎拓氏(68)は、八月十一−十四日の間、初盆を迎える支持者宅を一軒ずつ回り、支援を求めて頭を下げた。まずは後援会組織や業界団体など、保守地盤固めを優先し、公示直前までは街頭演説や大規模集会は行わない方針だ。
対照的に民主党新人の平田正源氏(37)は、街頭演説に力を入れる。十九歳の時の交通事故で下半身まひの障害を負っているが、自ら乗用車を運転し、選挙区内を奔走する。十二日夕には、城南区のスーパー前に立ち、街行く市民に手を振り、当落のカギを握る無党派層への食い込みを図った。
福岡2区は、二〇〇三年秋の総選挙以来、揺れに揺れた。まずは現職自民党副総裁だった山崎氏が女性問題の影響で落選した。すると今度は、山崎氏を破って初当選した民主党の古賀潤一郎氏に学歴詐称疑惑が発覚。古賀氏は昨年九月に議員辞職し、今年四月二十四日の補選で山崎氏が返り咲いたばかりだ。
今回の選挙には、山崎、平田両氏のほか、共産党新人の山田博敏氏(43)、社民党新人の西村健志郎氏(46)も補選に続いて立候補する予定。同じ顔ぶれによるリターンマッチとなる選挙戦を有権者はどう受け止めているのか。
南区のタクシー運転手男性(56)は「正直なところ、また選挙かとも思う」と話すが、今回の総選挙に対する関心は高い。
■一連の不祥事は恥ずかしかった
「前回の補選は(福岡県西方沖)地震の後だったから、自民党の方が頼りになるし、一度落選して女性問題はみそぎが済んだと思ったから、拓さんに入れた。でも今回は、郵政民営化反対派に対抗馬を立てるような小泉さんのやり方を見ていると、弱い者いじめみたいで、すごく腹が立つ。女房とも、今回は自民党に入れるのはやめようと話し合っているんだ」
中央区の繁華街を帰宅途中の主婦(53)は、「山崎さんの女性問題はもうみんな忘れていると思う。でも、民主党の平田さんも、よく街頭で見かけるし、車いすで頑張っているよね」と、誰に投票するか決めかねている様子。「女性問題や学歴詐称が出たときは恥ずかしかったけど、今回はやっと普通の選挙になったという感じ」と話す。
■「疲れはあるがやるしかない」
補選からわずか三カ月半後の解散に、山崎陣営は「(補選の)疲れはあると言えばあるが、こうなった以上、やるしかない」(西村俊隆・山崎事務所長)と、短期決戦に臨む決意を固める。報道各社の世論調査では、「小泉解散」を受け、小泉内閣の支持率は上昇傾向。首相の盟友である山崎氏にとっても追い風であることは間違いない。
山崎氏は解散後、初めて地元入りした九日、後援会役員会で「争点は郵政民営化のみだ。選挙を通じ、より関心を持たれるだろう」と訴えた。盟友の小泉首相と歩調を合わせて争点を郵政民営化一本に絞り込み、「郵政解散」の勢いに乗ろうという戦略だ。山崎氏の選挙対策本部幹事長、石村一明福岡市議も「山崎さんは小泉さんと一体だと訴えていく」と話す。
だが、不安要素がないわけではない。補選では、麻生太郎総務相や古賀誠
元幹事長ら福岡県選出の有力議員の支援を受けて当選したが、今回はそこまでのバックアップは望むべくもない。加えて山崎氏は国政復帰直後に、衆院郵政民営化特別委員会の与党筆頭理事になったため、解散までの間、ほとんど地元に帰ることができず支持者には反発もくすぶっているという。
西村所長は「党全体の支援で補選に当選した新人は、七割が次の選挙で落ちると言われる。うちはこれまで長く選挙を戦ってきたので、その点はよく分かっている」と陣営を引き締める。さらに「補選後は本人が地元に戻れない分、スタッフが代わって支持者を回っていた。国政での仕事ぶりは理解してもらっていると思う」と強調する。
■公明協力するが「見返り求める」
補選で山崎氏を支援した公明党の動きはどうか。補選では、創価学会の婦人部に強い影響力を持つ参院議員、浜四津敏子代表代行が2区入りし、山崎氏への支持を訴えた。公明党福岡県本部関係者は「今回は一方通行の協力というわけにはいかない。当然、見返りを求める」と、比例代表での公明党への支援を要求。浜四津氏の2区入りも「無理だろう」と話す。
山崎陣営のある福岡市議は公明党との関係について、「今回はバーターでやる。小泉さんが『自公で過半数』と言っているから、それを合言葉に協力していきたい」と強調する。
対する平田陣営は、三カ月半での雪辱戦決定に「思ったより早く、びっくりしたが、絶好のチャンスだ」(弟で事務所スタッフの秀源氏)と意気込む。
平田氏は、前回補選での敗因は、知名度の低さだと分析。補選の翌日から毎朝夕、駅前などでの街頭演説を欠かさず行ってきた。「街を歩いていても、『平田さん』と声をかけてもらえるようになったし、補選への立候補を決めた昨年十二月よりは、よくなっている」と手応えを感じている。
街頭演説では、「郵政民営化をすると、みなさんの生活がすぐに良くなるのか。今なすべきことはほかにある。景気回復のためには、年金不安の解消が先決だ」と年金制度の改革の必要性を主張。さらに「政官業の癒着を続ける自民党か、癒着を断ち切る民主党を選ぶのかという政権選択の選挙になる」と政権交代を訴えている。
福岡市中央区の飲食店で夕食を取っていた会社員男性(30)は話す。「民主党に政権交代を実現してほしいと期待している。でも地元のことを考えると力があるのは山拓でしょ。どっちに入れるかは、これからですね」
有権者の関心は、スキャンダルに揺れた過去二回の選挙から一転して、国政の行方に向かっている。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20050815/mng_____tokuho__000.shtml
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