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「錬金術師」に有利な税制
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投稿者 外野 日時 2005 年 8 月 14 日 17:13:07: XZP4hFjFHTtWY
 

(回答先: 今の経済状況などは小泉内閣の政策の成果と言っているのは本人たち 投稿者 外野 日時 2005 年 8 月 14 日 16:32:50)

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                       朝日新聞 2005.05.21

「錬金術師」に有利な税制
           森永卓郎  経済アナリスト、獨協大学特任教授

 04年分の所得税の高額納税者の公示で、投資顧問会社の部長が1位になった
。今回の特徴は、健康食品、パチンコ関連業界、サラリーマン金融といった最近
の常連業種に加えて、投資ファンドの経営者や社員が急速に上位に入ってきたこ
とだ。
 60年の「長者番付」には、1位が石橋正二郎ブリヂストン社長、2位が松下
幸之助松下電器会長と、一般庶民も知っている大実業家がずらりと並んでいる。
額に汗して苦労を重ね、新しい商品の発明などで国民生活を改善し、社会に貢献
した人たちが、同時におカネをたくさん稼ぎ、税金をたくさん納めていた。至極
真っ当な社会だったといえる。
 それに対し、今回台頭してきたのは、カネを右から左に動かすだけで、庶民の
生活とまったく接点がない。何一つ付加価値を生み出さず、われわれの生活を何
一つ改善しない人たちだ。
 そういう人たちが高い所得を得る一方で、伝統的な技術の継承者、中小商店主
、タクシー運転手といった、まじめにこつこつ働いている人たちの処遇がどんど
ん悪くなってきている。そして、社会もそういった傾向に追随しがちだ。雑誌な
どではやっているのも「10万円を元手に株で大もうけ」とか「いきなり2倍に
なる投資テクニック」とかいうものばかりだ。
 ただ、今回1位の部長をはじめとして、高額納税者リストに載っているのは、
おカネを右から左に動かす「錬金術師」のなかでは正直な人たちだといえる。「
錬金術師」の多くは節税策を駆使して納税額を抑えており、実質的には相当な額
の所得を得ているのにリストに出てこない人がたくさんいるはずだからだ。
 自分で会社をつくって所得を分散させるというのがよくある手口だが、サラリ
ーマンの立場を維持したままでも、節税策はいろいろある。短期雇用が多い外資
では、退職金に対する税制の優遇を悪用し、報酬のかなりの部分を退職金という
名目でもらうことで、所得税を半分以下に抑える手法が多用されている。
 そもそも、株価の上昇などで巨大な利益を得ている長者たちは、きっちり課税
される「オモテの所得」はなるべく生みださないようにしている。たとえば孫正
義ソフトバンク社長の04年の納税額は3億円程度で、2兆円ともいわれる所有
株の含み益からみれば微々たるものだ。
 そして、何よりも問題なのは、税制の仕組み自体が、額に汗して一生懸命働い
ている人たちが報われず、「錬金術師」だけが栄える社会への変容を後押しして
いることだ。03年の税制改正で、株式投資に関する税金などを劇的に減らす一
方で、発泡酒やワインなどの大衆課税を強化したのがいい例だ。
 零細企業に税務調査に入り、ささいな過ちをとがめて追徴課税するより、使い
切れないほどのカネを稼いだ人から高率の税金をとるほうが、徴税効率もはるか
に良いはずだ。退職金の優遇に最低勤続年数などの条件をつけるといった悪用防
止策を急ぐべきだ。
 ところが、実際に政府がやっていることといえば、消費税率引き上げの準備を
内々に進める一方で、日本社会のあり方について考えるうえでこれだけ重要な情
報を与えてくれる高額納税者の公示を、「個人情報保護」を理由に、やめること
も含めて検討しているという。なにをかいわんやである。
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森永卓郎氏は今年1月の「週刊ポスト」で次のように書いている。

厚生労働省が04年7月に発表した「平成15年就業形態の多様化に関する総合実態調査」によると、パート、派遣、契約、嘱託などの「非正社員」が就業者全体に占める割合は4年前の調査では4人に1人だったのが、3人に1人へと拡大。しかも、こうした非正社員の約8割は月給20万円未満という低賃金で働いているのです。

こういう状況の時に「コイズミカイカク」がやったのは次のことである。
昨年3月1日に「改正職業安定法及び改正労働者派遣法」が施行され、派遣期間が1年から3年へ、また製造現場への派遣が解禁となった。今「派遣業」は大忙しである。

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 『週刊エコノミスト』 2005.05.31

 娘、息子の悲惨な職場
 この10年で拡大した「格差」

 正社員年収はフリーターの3.8倍

 1993年から2003年までの10年間で、15〜34歳の正社員(男性)の平均年収は409万7000円から394万7000円へ3.7%滅少した。これに対して、フリーターの一部である、15〜34歳のパート・アルバイト(男性)の平均年収は122万1000円から102万7000円へと実に15.9%も滅少している(厚生労働省「賃金構造基本統計調査」から試算、以下同)。
正社員の給料を景気の変動に応じて柔軟に変更することは難しいが、パート・アルバイトの給料は原材料や部品などと同じ「変動費」になっており、柔軟に調整することができる。その結果、両者の年収格差は3.4倍から3.8倍に開いた。フリーターの間に「不平等感」と、頑張っても仕方ないという「あきらめ」の雰囲気が高まっている。
 年収の格差は、税金と保険料を差し引いた可処分所得(自由に使えるお金)の格差をもたらす。15〜34歳の正社員(男性)の可処分所得は333万5000円から322万7000円と3.2%の滅少にとどまっている。が、15〜34歳のパート・アルバイト(男性)の可処分所得は102万7000円から86万2000円へと16.0%も減少。フリーターの経済的自立はますます難しくなっており、親に寄生(パラサイト)する若者が後を絶たない。


 2極社会
 非正社員と正社員の「格差」
 過去10年、今後10年

 丸山俊 まるやましゅん (UFJ総合研究所研究員)

 この10年、正社員の待遇も厳しくなったが、非正社員のそれは正社員以上に厳しくなっている。ならば、今後10年はどうか。明るい未来はなさそうである。

 ■拡大する一方の賃金格差

 内閣府「国民生活白書」によると、1991年に182万人だったフリーター(パート・アルバイト、派遣社員や契約社員など)は、2001年には417万人に増加した。そのうち、91年に96万人だったパート・アルバイトが01年には244万人に増加した。
 つまり、91年から01年までの10年間にフリーターは235万人増加したのだが、そのうち148万人はパート・アルバイトなど非正社員の増加によるものなのである。
一般的に、フリーター増加の主因ともなっているパート・アルバイトの仕事は単純作業が多く、専門知識をあまり必要としないため賃金水準が低く、また、短期的な需要の変動に応じて労働時間や時給が柔軟に調整されるため収入も不安定である。
そこで厚生労働省「賃金構造基本統計調査」を用い、93年から03年までの10年間に、男性のパート・アルバイトと正社員の平均時給(所定内給与額と賞与の合計を所定内実労働時間で割った1時間当たりの賃金)がどう変わったか、あるいは変わらなかったのかを見ると、パート・アルバイトの時給が1007円から923円に10年間で8・3%低下したのに対し、正社員の時給は1860円から1749円と6・O%低下にとどまった。正社員の場合、所定内給与はほとんど低下していないことから、業績に応じて大きく変動する賞与が減ったことが時給の低下に影響していると考えられる。一方、パート・アルバイトの場合、賞与は支給されないか、支給されてもウエートは小さいことから、正社員の所定内給与にあたる時給そのものが低下している。 その結果、正社員とパート・アルバイトの賃金格差は1・8倍から1・9倍へとわずかに拡大している。
 さらに、年功賃金カーブがフラット化し、年功序列型の賃金制度が綻びを見せているとはいえ、正社員の時給は、20代前半の1380円から40〜50代の3000円台まで年齢(勤続年数)が上がるにつれて増えている。一方、非正社員の時給は、20代前半の935円から最も高くなる30代でも1200円台にとどまり、その後は、年齢が上がるにつれて減っている。単純作業の多い非正社員の仕事は技能の習得・蓄積が難しく、相対的に低賃金の若年や主婦のパートなどと代替可能なことが、賃金が上昇しない理由と考えられる。

 ■正社員採用意欲は回復したが

 04年以降、企業業績の改善と将来の労働力不足を見越した人材確保の動きが相まって、企業の正社員採用意欲が高まっている。厚生労働省「労働経済動向調査」によると、04年5月調査で正社員の雇用過不足DI(「不足」-「過剰」)が98年2月調査以来となるプラス(不足超)に転じ、その後の調査でも正社員に対する雇用不足感が一段と強まっている(図2)。
 実際、05年春の新規学卒者の就職率は、企業業績の改善と、団塊世代の大量離職に伴う労働力不足を見通した人材確保の動きから、2年連続して上昇した見込みであるほか、新卒採用抑制のあおりを受けて不本意な就職をした入社後2〜3年の若者が、希望していた業界・企業に就職し直すケースが増えていると聞く。また、これまでの職務経験を活かし、よりよい条件を求めて企業を渡り歩く転職者も増えている。
 ただ、現実問題として、定型的業務や単純作業の経験しかない人は、それだけ技能の習得・蓄積も遅れていると考えられ、正社員の職を得ることは難しい。企業が中途採用者に求めているのは、これまでの職務経験のなかで培ってきた高い技能であり、即戦力である。すでに非正社員でいる期間が長い人は、新卒者でなければ、第二新卒(学卒後1〜2年で25歳前後)でもなく、中途採用者と同じ土俵で勝負しなければならない。
 もっとも、企業は自社の中核的業務を担う正社員に対しては職業訓練や能力開発に積極的だが、あまり重要でない仕事を任される非正社員が仕事を通して技能を身に付けるのは難しいであろう。とりあえずのつもりでアルバイトや派遣社員になった人が、そのうち就職したくても就職できなくなり、低コストの労働力から脱け出せなくなってしまう可能性は高い。
 景気の回復や、団塊世代の引退に伴う労働力不足などによって雇用環境が改善する陰で、その恩恵を受けることのできる人とそうでない人の2極化が生じている。

 ■非正社員は制度面でも不利に

 現在のさまざまな社会保障制度は正社員(特に男性)を念頭につくられていることから、パートタイマーやアルバイトなどのフリーターなどが増えている現状では、十分な保障を受けられない人が大勢出てくるし、制度自体も成り立たなくなってきている。
 例えば、公的年金には20歳以上の国民すべてが加入を義務付けられている国民年金と、民間企業に勤めるサラリーマンが加入する厚生年金がある。正社員の場合、1階部分の国民年金に加えて、2階部分の厚生年金、さらに企業によっては3階部分に企業年金が上乗せされており、老後の生活が支えられている。それに対して、短時間のパートタイマーや短期契約の派遣社員、アルバイトなどの非正社員は1階部分の国民年金だけで、最低限の生活をするのに必要な資金がなんとか確保されているにすぎない(図3)。老後の生活を充実したものにするには、安心して住める家と豊かな生活を支える年金や貯蓄があることが望ましい。しかし、非正社員の貯蓄(金融資産)や持ち家(固定資産)は、正社員として働いている人のそれとは大きく違うであろうことは想像に難くない。
 現在、短時間のパートタイマーも2階部分の厚生年金に加入できるようにするべきだとの議論があるが、パート従業員の多い卸売・小売業やサービス業、飲食店などを中心に企業の強い反対もあって実現していない。
 また、職業訓練やハローワーク(公共職業安定所)・サービスの充実、失業者に対する失業保険給付などを事業の柱とする雇用保険は、労働者を雇用する企業すべてに加入が義務付けられている。しかし、短時間のパートタイマーやアルバイト、雇用期問4ヵ月以内の日雇い・臨時労働者には適用されないことから、例えば、フリーターがスキルを身に付けようと思っても教育訓練給付金(しかも、支給条件は勤続3年以上)を利用することはできない。

 ■非正社員の「夢」

 92年から02年までの10年間に正社員が358万人減少する一方、非正社員が487万人増加した(総務省「就業構造基本調査」)。その原因となった企業の人件費削減は、デフレ経済と低成長によるところが大きいが、人件費を削減でき、柔軟な雇用調整も行える労働者の非正社員化は企業の合理的な行動ともいえる。通常、企業が正社員を1人雇おうとすると、毎月の給料に加えて賞与、福利厚生費、退職金などさまざまなコストがかかる。しかも、年功的な賃金体系を維持している企業では、社員の年齢構成が高齢化するに伴って人件費が右肩上がりで増えていく宿命を負っている。
 従業員の高齢化や、厳しい競争環境、株主の圧力などを受けて、経営者はコストを引き下げることが重要な課題となっている。企業業績の改善によってリストラは一服しているものの、コスト削減姿勢は変わらず、労働者の非正社員化の流れは止まらないだろう。
 冒頭で見たように、一般的にパート・アルバイトなど非正社員の仕事は単純作業が多く、専門知識をあまり必要としないため賃金水準は低く、また、短期的な需要の変動に応じて労働時間や時給が柔軟に調整されるため収入は不安定である。厚生労働省「賃金構造基本統計調査」で正社員と非正社員の平均年収の推移を見ると、正社員は比較的高水準の年収を維持しているのに対して、非正社員は水準が大きく切り下がっているうえに、年ごとの変動も大きい(図1)。いまや、非正社員の人件費は原材料や部品などと同じ「変動費」になってきている。
 非正社員を増やす理由として、人件費削減や雇用調整の容易さを挙げる企業の割合は圧倒的に多い。ゆえに、企業側から見ると、基本的に非正社員化は人件費削減を目的としている。ゆえに、今後も、非正社員の待遇が良くなることはあまり期待できないのではないか。

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 私たちはなぜ、正社員になれないのか
 小林美希 (編集部)

 …(略)…
 ■未来への希望

 大卒の就職率は04年春で68・1%と3年ぶりに改善した。高卒も、02、03年を底に上昇に転じた。しかし、若者の雇用情勢は依然、厳しいといわざるを得ない。内閣府によれば、15〜34歳のパート・アルバイト、派遣、契約社員などのフリーターは、1990年の182万人(同世代に占める割合10・4%)から、01年は417万人(同21・2%)と右肩上がりに増えている。しかも、中学から大学を出てまもなくの15〜24歳の完全失業率は高く、04年で9・5%(総務省)。若者の10人に1人が失業している。同じ年の全体の完全失業率が4・7%だったことからすると、若者の失業率は倍である。
この背景につき、派遣大手のリクルートスタッフィングのキャリアカウンセラーである佐藤淑子氏は、若者の大手企業志向が強く影響していると指摘する。
「この4〜5年、新卒採用で正社員になるのが難しいと考えている学生が着実に増えている。ただ、難しいがゆえに、できれば、”大手企業に落ち着きたい”と考えている学生が少なくない。世の中の動きを見ると、大手なら安泰とはいえなくなっていることを頭では分かっていても、相対的にみれば、”大手企業が安心”と考えてしまうようだ」。なおのこと、正社員への扉は厳しいものに。そして、正社員になれないとしても、「大手企業なら、派遣でもいいと考える傾向がある。しかし、いざ会社に入ってみると、”派遣”という肩書にコンプレックスを感じたり、どのタイミングで正社員になったらいいか悩み始める。24〜25歳で”何のために働くのか”という壁にぶつかる。それが、早期離職につながっている」と、佐藤氏は分析する。
 信金中央金庫総合研究所が05年4月にまとめた雇用動向調査を見てみると、企業の雇用の非正規化が進んでいることが分かる。この調査では、将来的に人手不足が生じた時の対応につき、大企業を除く1万4045社から得た回答をまとめている。
「パート・アルバイトや派遣社員を優先して採用する」と答えた企業が半数を超える55・3%。「正社員を採用する」は、わずか21・4%であった。調査対象が中小企業とはいえ、人手不足になっても、非正社員で対応する流れは変わらないようだ。
 バブル経済崩壊後の急激な採用絞り込みの反動で、このところ、大手企業は採用数を増やしているが、あくまで「絞り込みの修正」である。景気がよくなったからといって、誰もが正社員になれる道は、確実に狭まっているのだ。
 あるメーカーの人事部長はこう言い切った。「派遣を入れるのは、人件費が安いからに決まっている。それ以外に、理由なんてない。若い社員なら、なおさら安く雇いやすい」。また、ある証券アナリストは企業の人件費について、こんな見方をする。「投資家にとっては利益がすべて。上場企業にはまず、人件費削減を要求する。正社員比率を下げた企業は、リポートでも評価する。株価を上げたい経営陣は、人件費削減にすぐ反応する」。
 厳しい扉をこじ開け、何とか正社員になったとしても、生活が明るくなるとは限らない。継続的なリストラで多くの職場は「少数精鋭」。少数正社員の長時間労働が当たり前になっている。
 就職活動中の、別の男子学生(22歳)の言葉が忘れられない。
「政治家にとって、外交問題は大事かもしれない。でも、若い人が安心して働くことができる社会や、安心して子供を産める社会を作ることも大事なのではないか。だから、私は、自分が公務員になってそれを実現したい」
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