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(回答先: 森田実の時代を斬る リンクURL 投稿者 てんさい(い) 日時 2005 年 8 月 11 日 23:23:11)
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C02020.HTML
2005.7.25
政治マスコミのあり方――政治権力と全マスコミとの癒着一体化の恐ろしさ。とくに反中国キャンペーンの醜悪さ
「あらゆる物事の初めは些細なことである」(キケロ)
おそらくマスコミで働いている真面目な人々は、自分たちが政治権力の手先として
反国民的な役割を果たしていることを知らないのではないかと思う。知らず知らずの
うちに深い谷底に落ちて行っているのではないかと思う。
初めは些細なことで批判精神を鈍らせたのではないか。それからだんだんと非批判
主義に深入りしたのではないか。気がついたら巨大な政治権力の手先になっていた―
―というのがおそらく真実なのだろう。しかし、マスコミが政治権力と合体するのは
許されない。それは罪悪である。
私は毎日のように全国各地で講演している。ほとんど毎日、東京と地方を往復する。
この間、多くの人々と会う。驚くべきことに、多くの人の見方が同じなのである。考
え方が画一的であり、金太郎飴のごとしである。
一例をあげる。小泉構造改革の評価だ。ほとんどの人が「うまくいった」と考えて
いる。私は小泉構造改革は失敗に終わったと考えているが、私のような考えの人は少
ない。「構造改革」とは「善なるもの」と解釈されている。
貧富の差の拡大も、地方と中小企業の切り捨ても、自殺者の増加も、あまり意識さ
れないのだ。
もう一つ、米国のブッシュ政権の評価だ。ブッシュ政権はアフガン戦争とイラク戦
争を行っており、米軍は数多くの他民族を殺害し傷つけている。それなのに日本人の
多くはブッシュ大統領を「善なる者」と見ている。私は米国政治批判をかなりやって
いるが、一般の人々のなかには納得できないという空気が根強い。皆、ブッシュ政権
を頼りにし、信じている。日本人の意識においてはブッシュ政権は依然として「善」
の代表的存在なのである。納得できないことだ。
小泉首相についても同じことが言える。小泉首相は「善」の代表的存在である。小
泉首相に反対する者は「悪」にされてしまっている。私は小泉政治を批判しつづけて
いるが、テレビの仕事も新聞の仕事もほとんどなくなった。「小泉さんはいい人。小
泉さんを批判する人は悪い人」という感じが一般の人々の間に根強いのである。
この原因は明らかである。この4年数カ月間、マスコミがこぞって小泉首相を褒め
上げてきたからである。マスコミは反小泉の主張はほとんど報道しない。小泉支持一
色である。これが4年以上もつづくと、国民意識のなかに小泉批判を受けつけない空
気が固まってしまうのだ。天皇や軍部を批判する者を「非国民」として社会から排除
した天皇制下の戦前の日本と同じである。
それにマスコミ自体が政治主義に偏向している。小泉首相を支持し、郵政民営化法
案を応援している。あるデスクは「小泉首相がつぶれたら、小泉政権を支持してきた
われわれが危うくなる。だから小泉批判者は許さない」と語った。
実は、いま私が最も憂慮しているのは、これから始まる反中国キャンペーンである。
テレ ビ朝日の「サンデープロジェクト」は、外交評論家の岡崎久彦氏(元外務官
僚)をメインの解説者にしているが、岡崎氏は米国一辺倒の人。すべて米国の言うと
おりやれとの主張の持ち主だ。そして、悪いのは中国だ、と中国を公然とののしる。
日本遺族会が、小泉首相に靖国神社参拝について慎重にしてほしいと声明を出すと、
岡崎氏は「中国の日本分断工作に乗せられた」という(6月12日)。しかもテレビ朝
日の解説者の多くが岡崎発言に異を唱えない(一人だけ異論を述べていた)。
実は、おそろしいのは、多くの人が「米国は善い国、中国は悪い国」と言い始めた
ことだ。
私は日中友好論者だが、それを講演のなかで述べると、とたんに講演会場の空気が
冷ややかなものになる。質問になると、新聞やテレビで伝えられる中国に関するネガ
ティブな情報を述べて、どう思うか詰問してくる。中国の話になると皆がいきり立ち、
「中国が悪い」と合唱するような空気になる。
昨夜、ある著名な週刊誌の記者から電話がかかってきた。「今週、中国を支持しゴ
マをすっている政治家を取り上げるので、採点してほしい。小泉さんの靖国参拝に反
対し中国を支持するような政治家は徹底的に叩きのめすのが、わが編集部の方針。協
力してほしい」という。何となく態度が乱暴なのが気になった。「私は小泉首相の靖
国参拝には反対です。私に頼むのはあなたのミスキャスト。私は協力できない」と断
ったが、魔女狩りをするような編集者の態度に危ないものを感じた。マスコミが危な
い。
【以上は電機連合の機関誌『電機ジャーナル』7月号の「SCOPE政治」欄に掲載された小論です】
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