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郵貯、簡保については、他の金融機関とおなじように、金融監督庁の規制下に入ることを明示すべきである。
http://www.asyura2.com/0505/senkyo11/msg/376.html
投稿者 hou 日時 2005 年 8 月 11 日 23:30:49: HWYlsG4gs5FRk
 

http://www.21ppi.org/japanese/hitokoto/tanaka213.html

2005/4/8 郵政民営化実現に向けた大きな一歩 (RealPlayer再生)
 郵政民営化をめぐって、政府と自民党との間の交渉といいますか論点の打ち合わせが、大所にきています。私は今回政府が取りまとめた案は大変良かったというふうに思っています。理由は三点あります。一つは四分社化を明確にしたことです。二番目には政府保証が外れるということです。三番目は非公務員型になるということです。それぞれの意味について少し考えてみたいと思います。

 四分社化にこだわり、そして郵貯と簡保の後継会社を民営化するというこの案は、国際的な金融枠組みの中にやっと郵便局ネットワークを通じたお金が入ってくるということを意味すると思います。逆に言いますと、もし現在の三事業が実質上一体化のようになった案、これは自民党の一部にそうすべきだという議論が今日に至るまで根強いわけですが、もし三事業一体化に類したものになったとしたらどうかを考えてみると、四分社化が実現するという道筋は大変評価すべきものだということがわかります。

 私は三事業が実質上一体化と受け止められるならば、これはJPショックとでもいうべきものが起こったのではないかと思います。JPとは即ち「JapanPost」、郵便局ショックと言っても良いし、郵政公社ショックと言っても良いでしょう。どういうことかといいますと、三事業一体ということになりますと、家計が保有しています預貯金のおよそ四分の一が、金融監督当局の枠外で郵便事業と一体になったまま区分管理される、ということを意味いたします。これはどういうことかというと、日本の金融システムが統一の金融監督当局の下にはない、ということを意味するわけです。そしてここで保有されている国債をはじめとした有価証券の値決めということになりますと、これも金融監督当局の枠外にある、ということになるわけです。日本の資本市場の根底のところで、不明瞭さを残すわけです。三事業一体ということになれば、当然郵便もそれから銀行業務も保険業務も一体ということですから、これは現在の総務省郵政行政局が、いうならば責任をもって監督する、ということになるでしょう。

 しかし、金融はすべて金融庁の監督下に置かれるべきだというのは、これは世界の流れからいっても当然のことです。それぞれの国では、金融を全般的に見据える監督部局があり、そこでは金融の決済システムの安定性から始まり、決済の安定的なシステムを維持するために個々の金融機関の資産内容について厳しい分析を行う、監督を行う、検査を行う、ということが当然あるわけです。もしこの枠の外に日本の家計が保有する預貯金の四分の一が依存するということになりますと、一体日本の金融システムは全体としてどのような仕切りになっているのか、ということになります。

 現在の世界の金融システムは、決済システムの安定性にもし問題があるということになれば、それはもう決済システムからつまみ出すようにして是正を行わせる、それは世界の金融の安定のためだ、ということになっているわけです。BIS規制といわれる仕組みがあります。これは世界の有力な国々の金融システムを統一的に見るために、銀行の検査にあたっての基準とか、自己資本の比率などについて共通了解をつくろうとしてきたわけですが、こうしたBISを始めとした国際的な金融監視システムの枠外に、三事業一体化で巨大なものがあるということになると、日本の資本市場のあり様について世界中から疑義、あるいは猜疑心というものが生まれるでしょう。

 さらに言えば、日本の小泉改革はこうしたあいまいなものに対して、きちっとした監視システムとそして内部改善システムを用意する、それが改革の内容だ、と受け止めていたはずですから、それが実質上の三事業一体という案がもし政府と自民党との合意ということになれば、私はJPショックは避けられなかったのではないかと思います。どういうことかといいますと、海外のお金が日本に入ってくることはない、あるいは日本において価格形成原理が根底のところで誤っている以上、こうした市場からは次第に取引を引き上げたほうが良い、というふうに思う人が増えるというだけで、金融資産価格を考えてみますとこれは下落する、これが「ショック」として出てくるということです。四分社化を貫徹するのだという案は、このJPショックを回避するためには不可欠であった。逆に言いますと三事業は実質上一体でよいという議論は、現在の郵便局ネットワークをただ単に維持するために言われている話でありまして、21世紀の日本の金融のあり様ということについてほとんど考慮していない議論と言えるでしょう。そういう意味では、政府案が四分社化を堅持したということは極めて重要ではないかと思います。

 二番目に、政府保証が外れることです。民営化した郵貯そして簡保の後継会社に政府保証が外れるということになれば、他の民間金融機関と同様、倒産確率というものをまわりの人々がはじきだします。基本的に格付け会社がこうした仕事をするわけですが、政府保証が外れるということは、論理的には倒産の可能性はあり得るということを意味します。ですから、その資産内容や運営のあり方について、格付けがされるわけです。こうした格付けを前提とする経営ということになりますと、新たに投入されるであろう民間企業の経営者は、こうした民営化された郵貯、民営化された保険会社の運営にあたって、格付けという行為、あるいはその結果も手掛りにしながら企業の運営を行うということになります。これは他の民間金融機関でも同等のことが行われているわけですから当り前なのですが、こうしたことが行われることが今回明記されました。

 この数年、日本の金融機関についていろいろ噂が出ました。こうした中で、クレジット・デリバティブというマーケットが日本の金融機関の格付けをした上で倒産確率をはじき、そしてリスクを回避する、という行為があったわけです。どういうことかといいますと、メガバンクに対しても例えば生保をはじめとして巨額な投資持ち分を持っているところがあります。そうしますと、このクレジット・デリバティブというのはどういうことかといいますと、例えばメガバンクに対して劣後ローンを持っているといたします。そうすると、そのメガバンクがもし倒産したとしますと、例えば生命保険会社が持っています劣後ローンは当然大幅に毀損するわけです。そのリスクを回避するためにクレジット・デリバティブのマーケットにおいて保険を買う、という行為が行われていたわけです。保険を買う、一方では保険を売る人たちが投資家の側にあったわけです。○○銀行がそんな状態に追い込まれる可能性はない、世間で言われているほど悪くはない、われわれはそういうデータを十分分析しきっているのだ、ということになれば、この保険の売り手に回ることができるわけです。このクレジット・デリバティブのマーケットでは、このようにメガバンクの倒産確率を前提にして保険の売買が行われていた、という事実があります。これは今日でもこうしたクレジット・デリバティブのマーケットはあるわけです。

 民営化された銀行、民営化された保険会社、これは現在の郵貯・簡保の後継体制ですが、そこでは当然こうした枠組みの中に入るわけです。もちろんそれぞれについて言えば、今のところ貸倒引当金を大幅に積み増さなければいけないような、そうした資産は少ないと思われます。従いまして、破綻という心配は確率的にみて非常に小さいことは明らかですが、しかし政府保証が外れるというのは、そういうことも含めて金融実務の中に落とされることになりますし、そして新たな民営化された金融機関の経営者は、こうした市場でついた倒産確率とでもいうべきものを片手にしながら、自らの責任において経営の革新に入る、ということになるわけです。政府保証が外れるということは、この分野に規律が戻ってくるということを意味するわけです。

 三番目に、公務員ではないかたちでこの民営化会社の運営がなされるということです。民にできることは民に、という原則の下において、国家公務員が行う仕事ではないという認定が政府によってなされたわけです。このことは民営化した会社をとってみますと、従来に比べて大幅に柔軟な経営がかなうということであります。民間金融機関はこの間、それぞれにリストラと言われる選択と集中の結果として、いろいろな事業部門の本格的な見直しを行ったわけですが、この民営化された郵貯・簡保もまた選択と集中というかたちで本格的な作業に入らざるを得ません。そのために、公務員資格が外されるということになれば、生首を出さないこと自体が大目的になっている公務員セクターとはまったく違う原理で動くことが、今後予想されるわけです。このことは、投入されるであろう民間経営者に対して、マネジメント上のゆとりといいますか自由度を与えることになります。

 このように考えてみますと、今回の政府案は大変大きな流れを外すことのない案であったと私は評価したいと思っています。もちろん、この仕組みが万全だというわけではありません。例えば暗黙の政府保証は残るのではないか、という議論があります。それは、一旦民営化した後もこの四分社相互の間で株式をまた持ち合いに入ることも可能になるのではないか、その上に国が株式を持っているホールディングカンパニーがあるということになりますと、暗黙の政府保証は民営化と言いつつも残ってしまうのではないか、という懸念を表明される方があります。もちろん論理的にはこの問題はあります。ただし、2007年4月以降に予定されるこの民営化の道筋において、現在民間で起用されている選りすぐった人びとがこの新たに民営化された会社に入る、そこでマネジメントを行う、ということになりますと、暗黙の政府保証を実質上持ち込むような手段を彼らがとるのか、という問題があります。彼らにとって主戦場が一体どういう所なのか、それを十分自覚した人がマネジメントの責任者として送り込まれるでしょうから、彼らが再び政府保証、暗黙の政府保証を求めて画策するというようなことは一体あり得るのかという問題です。逆に言えば、そんなタイプの人をまさか送り込むわけではないでしょうね、ということが政府に対する要請としてあると思います。

 これまで官業として、そして国家公務員が行ってきた郵政三事業が、本格的な民営化会社として立ち上がろうとしているとき、もちろん過去は本当に払拭できるのかというテーマは常に残っていますし、そしていわゆる自民党守旧派との妥協と言われるものの中で、いくつか気になる点は確かにあります。しかし私は、新たな経営者が投入された後の民営化会社の経営において、今懸念されているようなことが表面化する可能性はないし、もしそんなことが、そんな懸念が表面化するようなことがあれば、それはもう完全にこの民営化の試みは失敗だったということになるわけですが、そうはならないかたちの経営者の選任と、その後の、全体としてのシステムの監視が重要ではないかと思います。

 いずれにしろ、今回政府案の基本が決まることによって、私は郵政民営化問題について、随分長く引っぱってきましたが、大きな第一歩が始まった、ついに始まった、というふうに評価しています。

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