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いつも綿貫民輔のweb-siteに多数のメールをお寄せ頂き、ありがとうございます。
ここに頂いたご意見の一部を紹介させていただきます。
お名前:S・Kさん(送信日時:7/6水曜日19:43)
●メッセージ
郵政民営化の件でお伺いしたいと思います。綿貫議員は、反対派の先頭に立って反対の旨主張されていますが、その反対される原因つまり主張の内容はどのようなものなのでしょうか。自分は富山県民ですので、県の代表者たる議員の意見を知りたいと思い、色々探してはみたのですが、本ホームページにもその旨の記載がなく、また、テレビや新聞を見ましても主張内容が記載されていないので直接お尋ねしようと思いメールをいたしました。その内容が納得できるものでしたら、今までのように県民の代表として支持したいと思っております。私の周りでもそのような意見を持っている人が多いこともありますし、是非ホームページ上でその内容を記載し、多くの人が閲覧できる状態にしてください。富山県の住人の一人として、今後の投票にもかかわりますし是非内容をお教えください。宜しくお願い致します。
蛇足とは思いますが、小泉政権のやり方を批判する意味を込めて反対されているのではないと思っておりますので、あくまでも郵政民営化を反対することの意味という点に絞ってご回答ください。それでは、失礼いたします。
●綿貫民輔からの回答
郵政民営化に関しまして、毎日多くの方から感想メールをお寄せ頂きます。 特に衆議院において同法案が可決されました今週は、サイトへのアクセス数が3日間で10000hitを突破し、この問題の関心の高さに大変驚いております。またメールも賛成・反対の立場から様々な内容のご感想を頂きます。私はこの問題に関して主に5つの点において反対の立場を取っています。
第一に平成17年3月〜4月に全国47都道府県の全県議会が、郵政民営化反対、または慎重にやるべきだという意見書を総理大臣と関係大臣に提出しています。民営化に賛成の県は一つもなかったという事実はマスコミも総理大臣も国民に知らせていません。また共同通信社が平成17年6月18・19日に実施した全国電話世論調査の結果
「民営化を進める必要はない」
「この国会にこだわらず議論をすべきだ」が合わせて72.1%で
「この国会で成立させるべきだ」の21.7%を大きく上回っています。(平成17年6月21日 佐賀新聞)
小泉総理の仰る「国民の理解」は得られていない様に見受けられます。
第二に「官は官に、民は民に」の主張に関して疑問を持ちます。その具体的な例が旧国鉄の民営化です。国鉄は実に28兆円の赤字を抱えていました。ストライキが頻発し、国民の足として機能していなかった頃の話です。しかし、郵政業務は現在黒字を計上しています。同様に郵便局にストライキは、この20年の間起きていません。
更に具体的な例を申し上げますと、日本が民営化のモデルとしているドイツでは所謂「ドイツポスト」が巨大な赤字とストライキの連発で、民営化せざるを得なかった背景があります。但しこの場合注目すべきは、巨大な赤字とストライキがドイツの民営化の背景にあったという事です。民営化した元郵政大臣のベーチェ氏は「日本の郵政3事業は黒字でストもないのに何故民営化しなければいけないのですか。」と述べておられました。
第三に、仮に民営化されたと仮定した場合の利益追求に関してです。この事は国会の委員会審議等で国民の皆様も何度も耳にされていると思います。私自身、長年民間の企業において経営者の視点から利益を追求してきましたが、民間企業の最大の目的は株主への利益の配当です。この目的を達成しない経営者は市場で「落第」の判定を下されます。この原則の前において、赤字経営になると予想される郵便局はどうするのか、果たして赤字経営は市場の原理と共存出来るのでしょうか?
これまでも高齢化や人口の減少に悩む地域においては、郵便局は単なる郵便事業の窓口という役割を超えて存在してきました。これからもその図式は変わらないと思います。市場の原理を超えた、ある種の地域コミュニティーの様な存在が赤字という市場の判定のみで消滅していく事は悲しむべき事です。
第四に小泉総理や竹中担当大臣を始めとした日本政府は同法案作成にあたり、17回にわたってアメリカ政府と交渉されてきました。この点に関しましてアメリカ政府から主に6つの点において要望が出されたと聞きます。この要望を簡単に表にしてみました。
米国政府対日要望→郵政民営化法案
1. 郵便貯金・簡易保険は民間企業と完全同一競争条件とすること→郵便貯金は民間銀行、簡易保険は生命保険会社に変更
2. 民間と同じ法案を起用すること→郵便法・簡易保健法を廃止し、銀行法・保険業務法を適用
3. (株式会社化した後)政府の保有する株式は完全売却すること→10年間で株式を完全売却
4. (完全売却までの間)暗黙の政府保証の防止策をとること→暗黙の政府保証を防止する為、業務・子会社保有を制限
5. 郵便貯金・簡易保険と他の業務との会計完全分離を目指すこと→4分社化し、会計は完全分離
6. 民間との競争状況を調査する独立の委員会を設置すること→民営化を検証するため、内閣に民営化委員会を設置
国内問題であるにも関わらず、アメリカからの要望が非常に多い事に驚きます。6月22日付けの夕刊フジでUFJ総合研究所主任研究員である森永卓郎氏はご自身のコラム「サラリーマン塾」で次の様に述べておられます。
「(前略)恐らく米国が最後に期待をかけているのが、郵政民営化なのだろう。民営化で売り出される株式を買い占めて一定の経営権を握れば、郵貯・簡保資金を米国に振り向ける事が出来る。350兆円の郵貯・簡保資金は好都合な事に米国の経常収支赤字の4年分にも相当する。アメリカの海外投資を復活させるのに十分な額だ。結局郵政民営化で起こる事は、国民の資産を米国による日本買い占め資金に回すだけなのではないか。」
(6月22日(水)夕刊フジ 森永卓郎「サラリーマン塾」より)
本来極めてドメスティックな事柄である筈の郵政民営化に関し、これだけ大きな米国の意思が働いている事に非常に驚かされます。
第五に実際に民営化した国々のその後の具体例に関してです。先に挙げたドイツを含む、イギリス、ニュージーランド等の国では、民営化に際し郵便料金が上がっている事実があります。
国会において、民営化後郵便料金は上がるのではないか、との野党の質問に対し総理や竹中大臣が、やってみなければ分からないと答えておられましたが、視察した国々の郵便料金が上がっている事を本当にご存知ないのでしょうか。ドイツは全国に約3万局の郵便局があり、すべて直営でしたが、民営化後は1万3千局に減少し、かつ直営の郵便局はわずか5千局となりました。これが社会問題となり、政府は郵便局を1万2千局以下にしてはならない、との政令(ただし国会承認が必要)を作らざるを得なくなりました。2分割した郵便事業のドイツポストは、ドイツポストバンクが85%の郵便局からの離脱を示唆し、それでは赤字になってしまう事から、ドイツポストバンクと再び合併せざるを得なくなりました。ポストは民営化しましたが、100グラム以下の郵便に関しては現在でも政府による同社への独占権が認められています。
イギリスでは政府経営のRoyal-mailの民営化後、過疎地域における郵便局の財源確保の為にブレア首相が昨年に1250億円の政府支援を決めました。ロンドン、マンチェスター、リバプールなどの都会では、市内のコンビニエンスストア形式の個人経営による雑貨店が郵便局の窓口としてライセンス契約に基づき郵便事業を取り扱っていますが、これは大都市圏のみに見られる特徴で、地方では難しいとの指摘があります。
アメリカの郵政公社(U.S.P.S)のラニオン総裁にお会いした時、(同社は70万人の国家公務員を抱えておられますが)、ラニオン氏は「広いアメリカのハワイからフロリダまで、ニューヨークからワシントンまで、どこへ出すにも同一料金(30円ほど)で出せる郵便はがきの仕組みは、公営でなければ維持出来ない」と指摘されています。また同氏は「アメリカ人は歴史的に民営化が好きだが、郵便を民営化するべきだ、との声は聞こえてこない。大切な事は公営で質のよいサービスを提供し、経営の効率化を図る事ではないか。」と述べておられます。また3年前に大統領の諸問委員会は「郵便は引き続き公営、公務員で運営する事が米国にとって有益である」との結論を出しています。また前述のドイツ、イギリスを除く、フランスなどのヨーロッパ先進諸国でも公法人形態を第一に維持している国が多いのが現状です。これらの郵政事業の民営化の具体例を参考にする事は大変有益であると考えます。
以上の5つの点が、郵政民営化に反対する私の論拠です。
2005年07/14記
http://www.watanuki.ne.jp/contents/news.html
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