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「特定郵便局長」という特権階級
泉幸男
■ No.1018 ■ H17.08.08 ■ 7,748 部 ■■■■■■■■■■■■
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国際派時事コラム「商社マンに技あり!」
http://www.f5.dion.ne.jp/~t-izumi/
第132号(平成17年8月1日発行)より転載
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もう時効になったろうから書いてもいいと思うが、商社の仕事
で一度だけ「郵便局」の世界に遭遇したことがある。
■ 謎の訪問者たち ■
プラントを輸出する企業なら、かならずお世話になる公的融資
機関がある。
東南アジアの○○国に発電所を建ててしばらくしてからのこと
だ。
この公的融資機関の人が申し訳なさそうに電話してきた。
「泉さん、○○国の◇◇発電所に 5名ほど訪問させていただき
たいのですが。お客さんの了解をとっていただけないでしょうか」
「お安いご用です。いつですか? 車をお出ししますよ。 邦人
の駐在員同行はちょっと無理ですが、現地社員を同行させましょ
う。万一何かのことが起こったときのために」
「いえ、泉さん、とんでもありません。すべて わたくしどもで
アレンジします。発電所の訪問許可だけ客先から取ってほしいの
ですが」
「そうですか。ご遠慮なさらなくていいんですけど。……とこ
ろで、訪問されるのは、どなたですか」
「それがね…… 郵便局の人たちなんですよ」
え? 何、それ?
■ 郵貯人間の物見遊山 ■
まだ郵政省があったころだと記憶するが、さだかでない。
それにしても、何で郵便局の人たちが海外の発電所を見に行く
のか。
プラント代金の大半をまかなう、日本からの公的融資の資金源
の少なからぬ部分が、郵便貯金から回りまわって来ているからだ、
というのだ。
郵便局からの資金が有効に使われていることを見せるために、
郵便局の人たちに○○国の◇◇発電所を訪問していただく、とい
うわけ。
へえ、特権階級だね、郵便局の人たちって。
どうせ物見遊山だろうよ。
発電所見てどうするんだい。
高い煙突の下で炭坑節でも踊って宴会かい?
と茶々を入れたくなった。
公的融資機関で働くわが友がかわいそうだった。
郵便局の皆様をご接待とはね。
郵便貯金が、普通の民間銀行になれば、こういう時代錯誤は金
輪際(こんりんざい)なくなるだろう。
郵便貯金の世界にいまも蔓延(まんえん)しているであろう特
権階級気分には、鉄槌(てっつい)を下さねばならぬ。
■ 庄屋さんが局長さんになった ■
全国津々浦々に約1万9千人いる特権階級。
(平成17年6月末の数字では 18,922名。)
「特定郵便局」の局長さんたちである。郵政民営化に激しく反
対している人たちだ。
激しく反対するということは、よほど旨みがあるのでしょうね、
と考えるところからスタートするのが常識というものだ。
特定郵便局って、何?
明治時代に郵便の制度を作るとき、江戸時代からの飛脚その他
の運送業者にうまく転業・転職してもらったことはよく知られて
いる。
だが、全国にネットワークを作るためには、それだけではすま
なかった。
全国の村々に郵便局を公費で一気に設置するのはたいへんだ。
そこで、庄屋(しょうや)さんのような町々村々の名士に、自
宅の一部を郵便局へと改造・転用してもらった。
これが特定郵便局。
庄屋さんが、特定郵便局長さんに生まれ変わった。
政府はこのご恩をしっかり忘れず、基本的に特定郵便局長の地
位は親から子へと世襲された。
現在では「公募制」になってはいるが、赤の他人が突然に特定
郵便局長になるということは、まずないそうだ。
■ 月々35万円のアブク銭 ■
国の事業のために自宅のスペースを供出するとは、簡単にでき
ることではない。
何と尊(たっと)い、無私の心をもった人たちなのでしょう、
特定郵便局長さんって!
……てなことが、世の中にあるわけないでしょ。
そんなみごとなボランティアが、世襲で1世紀以上も続くわけ
がないでしょう。
特定郵便局長さんは、公務員扱いで給料が支払われる。
まあ、これは当然です。
それに加えて、特定郵便局長さんが郵便事業のために提供する
自宅スペースには、潤沢な賃貸料が支払われている。
全国1万9千ヶ所の特定局長さんの自宅スペース借上げのため
に、年間総額どれだけのお金が支払われているでしょうか。
何と、800億円を超える金額が賃貸料として支払われている。
単純に割り算しても、局長さん1人あたり毎年421万円が、
公務員としての給料とは別に支払われているわけだ。
取りっぱぐれのない月々の家賃収入35万円なり、ということ
になる。
■ たかる人々は、公私の区別を忘れ ■
とうに減価償却しきっている敷地と家屋だろう。
大都市圏を除けば、特定郵便局のすぐ近くに空き家、空き地が
ごろごろあるはずだ。
断言してよいが、民間企業にやらせればタダ同然で手ごろな空
き地を借りて、耐震・耐火・安普請の局舎をつくり、ウン百億円
の経費削減ができるだろう。
特定郵便局長という世襲の特権階級が得ている報酬は、少なく
とも賃貸料部分はアブク銭だ。
アブク銭あるところ、必ずこれにたかるのが代議士さんである。
自民党の野中広務(ひろむ)が、特定郵便局長を集めて自民党
への選挙協力を公然と要請する風景が、テレビニュースになって
いたことがある。
せめてコソコソやってくれよな、と言いたかった。
ただでさえ忙しい(はずの)特定郵便局長を自民党の選挙奴隷
としてこき使うという公私混同の極み。
そういう社会の恥部を堂々とテレビニュースにさせて恥じるこ
とのない、郵政(=放送行政)のドン、野中広務。
公と私を分かつ座標軸が、完全に狂っているではないか。
野中代議士は特定郵便局長を前に何と講釈を垂れたのか。
おおかた、
「自民党が負けたら、てめぇらがもらっているアブク銭も、もら
えなくなるかもしれねぇんだぞ。わかってるだろうな」
というようなことを、京都弁でしゃべっていたのだろうか。
■ 「特定郵便局」を「簡易郵便局」に統合せよ ■
郵便局には、大きく分けて3つの種類がある。
数がいちばん多いのが、今回槍玉にあげている「特定郵便局」。
平成17年6月末現在で全国で 18,922 ヶ所あった。
局舎を公費で建て、局長の人事異動がある普通の郵便局、すな
わち「普通郵便局」。
これが全国に1,308ヶ所ある。
残りが「簡易郵便局」で、全国に4,447ヶ所。
ほら、スーパーマーケットや大学構内にある郵便局。
あるいは、市町村役場の支所や農協などに同居している郵便局。
民間人や地方公共団体に業務委託している郵便局だ。
さて、民営化後の郵便局のあり方。
それは「特定郵便局」を全て「簡易郵便局」にし、特定郵便局
長をただの会社員にすることから始めるべきである。
■ カネの動きの合理化で日本の活力を維持 ■
ふつうの民間企業では、転勤可能な人は転勤不可の人より高い
給料をもらうのが当たり前だ。
これまで特定郵便局長という特権階級だった人も、明日からは
ただの郵便会社の幹部社員だ。
転勤が嫌なら、それもけっこう。
しかし給料はそのぶん、下げさせてもらう。
国費で借り上げていた局舎の賃貸料も、その土地土地の相場に
合わせて見直しが必要だ。
もし、安い物件が他にあるのに、「特定郵便局長」が自宅スペ
ースの賃貸料値下げに応じなければ、どうするか。
郵便会社としては局長さんに一定のリフォーム代を「さよなら
賃」として支払って、安い物件を利用した新局舎を設けるべきだ。
郵便貯金や郵便保険も、場所によっては地方銀行に業務委託す
る、といったことをやってもいいと思う。
郵政民営化によって、カネの動きの合理化が促進されることを
願ってやまない。
それが、少子高齢化のなか、日本の活力を維持することにつな
がるからだ。
だから、国会の中国奴隷たちが、郵政民営化に反対するわけだ。
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