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http://www.nikkei.co.jp/seiji/20050730e001y21730.html
政治部 田中孝幸(8月1日)
民主党の安全保障政策論議がにわかに高まっている。岡田克也代表が昨年の代表選で公約した「集団安保に関する基本法案の今国会提出」。期限となる会期末が13日に迫り、法案作成を巡る議論が大詰めを迎えているからだ。岡田執行部と距離を置く小沢一郎副代表も論議の渦中に飛び込んできたことで、単なる政策論争とは思えない「きな臭さ」も漂ってきた。
「これが今までの議論をまとめたいわば折衷案です」。7月28日の党総合安全保障調査会役員会。安保分野では党内きっての政策通である前原誠司氏が「国連平和協力基本法案(集団安保基本法案)」の素案を示した。
折衷案――。それは岡田氏と小沢氏の意見対立を指す。論争が火を吹いたのは1年前だ。訪米した岡田氏が「憲法を改正し国連決議があれば海外での武力行使は可能」と発言。これに小沢氏は「憲法改正が当分難しいという現実を踏まえなければ無責任な議論になる」とかみついた。
小沢氏は現行憲法の下でも、自衛隊とは別に国際貢献に取り組む組織を新設すれば武力行使は可能とする「国連待機部隊構想」を持つ。憲法改正に慎重な党内リベラル勢力との連携もにらんだ戦略だ。
党代表戦を控えた1年前の対立は、岡田氏が代表戦公約で「国連待機部隊構想を積極的に検討する」として沈静化した。基本法案は岡田氏がいわば、論争の最終決着を先送りする形で公約に盛り込んだものだ。
「前原案」は小沢氏の構想がベースになっている。現行憲法の前文や第98条(条約順守)を根拠に、自衛隊とは別に新設する部隊が、国連平和維持活動や多国籍軍などに参加することを原則として認める。武力行使を全面否定はしないが、最初から武力行使を前提とした任務などは厳しく制約する内容だ。
岡田氏は今年に入っても「国際貢献は憲法に書き込むべきだ」と憲法改正の必要性を繰り返してきた。しかし7月下旬に「前原案」を携えて根回しに訪れた山岡賢次氏に「みんながまとまる内容であれば自分の意見は置いて、それに従います」と歩み寄りの姿勢を見せた。
公約としていた期限が近づいているからだけではない。郵政民営化法案の行方次第では、衆院解散・総選挙の可能性がある。このままでは選挙で重要政策での不一致を突かれるだけでなく、党内の結束にも支障がでる。小沢氏に近い山岡氏に伝えたのは「党内融和を最優先する」とのメッセージでもあった。
7月28日の党総合安保調査会役員会は前原案で一件落着するはずの会合だった。しかし肝心の小沢氏が「ノー」だった。国連のもとでの武力行使は憲法に抵触しないというのが小沢氏の持論。「武力行使の有無で国際貢献活動への参加の可否を判断するなんてナンセンスだ」と前原案を批判した。小沢氏は会合後、記者団に「党内でもっと議論すべきで法案作りを急ぐ必要はない」と強調。岡田氏は法案の今国会提出を断念せざるをえない雲行きだ。
小沢氏の狙いは何なのか。7月下旬。党総合安保調査会役員会に先だって岡田、小沢両氏は東京・赤坂の土佐料理店で4カ月ぶりに会談した。鳩山由紀夫、横路孝弘氏ら有力者らが顔をそろえるなか、「岡田氏を中心に政権をとろう!」と乾杯の音頭をとっていたのは小沢氏自身だ。それだけに憶測を呼んでいる。
「日本の国際貢献は岡田君が国会議員になる前から自分がリードしてきた問題」との自負が小沢氏にあるのは間違いない。岡田氏をかついで総選挙に臨む以外の選択肢が乏しい現状では、これから先、岡田氏を揺さぶるカードとして安保政策を利用する狙いもあるかもしれない。
「小沢氏は結局、自分の意向通りにならなければ承服しないだろう」。小沢氏とつきあいの長いある議員の予想だ。思い入れのあるテーマで「原理主義者」としての言動を強め始めると、歯止めが利かなくなる傾向がある。政党分裂を誘発し「壊し屋」と呼ばれてきた小沢氏の動きから目が離せないのは、そのためだ。
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