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   全国特定郵便局長  聞いてびっくり(実質的に)世襲制なのです。    〜民営化で何が変わるか? 〜
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投稿者 hou 日時 2005 年 8 月 19 日 21:33:37: HWYlsG4gs5FRk
 

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首相になる前、あるいはなった直後も今も「小泉と言っても、具体的な政策は郵便事業の民営化だけじゃないか」という声があります。一般的には「郵便事業は、橋本派(経世会)の郵政族(その代表が野中氏)の基盤であり、小泉首相が郵便事業の民営化に執着するのは経世会を憎む清和会の伝統ゆえだ」と評する向きもありますし、そうゆう面もあるでしょう。しかし、本当にそれだけなのでしょうか。小泉首相は何故に民営化に執念を燃やすのか、民営化で何が変わるのでしょうか。私なりに検証してみましょう。


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- 郵便制度の歴史

地侍

地侍とは、言ってみれば地方豪族でしょう。歴史を溯れば中世、時には源平時代まで溯る事ができるのだそうです。そうした地侍/地方豪族が日本の郵便制度と関係があるのかと言えば、実は大有りなのです。

戦国時代には「地侍」「地方豪族」として半農半兵の有力者が全国にいました。生産的には小規模な農場地主であり、多くの小作農を隷属させている場合がほとんどでした。普段は農作業に従事しているのですが、なにせ戦国時代の事ですから大名の陣触れ、他者から襲撃されたり他者を襲撃する時には武装して戦う者達であり、自分のの農場を保護してくれさえすれば上は誰でもよく、大名への忠誠心は必ずしも高くありませんでした。

しかし豊臣秀吉は検地・刀狩りによって地侍という中間支配層を弾圧・武装解除し、農民を自作農として自立させ、その上で直接、年貢を徴集する方法を採ったのです。しかし不満を持つ彼等をそのまま放置しておいては遺恨が残ります。江戸時代、そうしたかつての地侍から名主(庄屋)が選出され、ある程度の特権が付与されたのです。地方の有力者を支配体制の一翼として組み込み利用する事、それは幕府にとってもメリットがあったという事ですね。江戸時代、名主(庄屋)の身分は士農工商で言う農なのですが、苗字帯刀を許され、しかもその経済力は下手な藩士より数段上であり、屋敷も立派な物を構えていたそうです。

特定郵便局

そして明治維新を迎え、かつての地侍層は郵便事業へと組込まれるのです。明治政府の官僚に、越後出身で自身も地侍と似たような階層の出身であった「前島密」がいます。最初は税制を担当し、次に郵便制度の創立を担当するのですが、維新後4年で全国に郵便ネットワークを展開した仕掛けが「特定郵便局(当時は、郵便取扱所)」なのです。早急に全国に郵便ネットワークを整備するには既存のインフラを利用した方が良い。そこで地方の名士に、彼等の持つ屋敷の一角にて郵便局を開設してもらったのです。郵便事業に参加した旧名主(庄屋)層には、江戸時代の彼等がそうであったように、わずかながら報酬も出たそうです。

江戸時代には特権を有していた彼等としても、犠牲が大きかったそうですが「お上の為に」というノブレスオブリージェゆえに進んで協力した者が多かったそうですし、政府の方でも彼等の名誉欲をくすぐるため、報酬を昔ながらの石高表示したり、郵便事業は公務であり局長は官吏に準ずるとして礼遇しました。郵便事業の創設時、旧名主(庄屋)層でも特定郵便局に参加したのは、公共心の強い者達だったのです。現在の全国特定郵便局長会(以下、全特)に、その面影はありません。


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- 全特(通称:「大樹の会」)

現在、全国にある特定郵便局は18800程度です。現在でも自宅兼用である場合が多く、つまり郵便局舎は私有物なのですが、聞いてびっくり(実質的に)世襲制なのです。アルカイーダについて「実体のある組織ではない。あちこちにあるイスラム過激派組織のネットワークこそがアルカイーダ。アルカイーダとはネットワークその物なのだ」とも言われます。全特についても似たような面はあるでしょう。戦後、農地改革や財閥解体を実施した GHQも、全特には手付かずです。それは、全特とは個々の特定郵便局を結ぶ「ネットワークその物」であったからなのかもしれません。

選挙活動

全特とは「最強の集票マシン」でもあります。地方の影響力ある有力者、つまり政治的には保守的であり、まさに地方農村を基盤とする自民党にとっては絶好の集票マシンとして機能してきました。実質的に「選挙運動の拠点」として郵便局の店鋪が使用されてきたという実態もあるようですし、その選挙費用の賄い方によっては公職選挙法違反という犯罪である可能性が発生します。集票の見返りは「政治工作」、つまり全国の特定局長が地元選出の国会議員に郵政省(現総務省)が出す法案の支持を陳情したり、予算の増額を要請して来ました。

しかしそうした全特と政治家・郵政官僚がもたれ合う構図に挑戦したのが 1992年に郵政大臣(現首相)に就任し民営化をぶち上げた小泉氏です。民営化を唱える小泉政権の誕生に対する危機感は強く、政治力や集票力を維持しようと焦るあまり、2001年の総選挙では高祖派が強引な選挙運動によって選挙違反をやらかし、逮捕者を出しています。

渡切費

2001年の高祖憲治派の選挙違反事件において露呈したのが渡切費の不正使用です。渡切費とは、光熱費や備品などを賄うために特定局長に支給される経費であり、2000年度の支給額は普通局と合わせて 912億円だそうです。そのうち、光熱費などに充てる渡切費は100万円前後であり、全て特定局長に支給されていました。金額的にも小さく、自由になる分はほとんどありません。一方、全国に 240人ほどいる地区会長には地域サービスの向上を名目に渡切費が上乗せされています。この分については、使途が不透明なのです。政治家や官僚への接待、政治家のパーティー券の購入に充てられていてもおかしくないのです。

2002年、批判を受けて局長の自由裁量で使える渡切費は廃止されました。

1物2価、切手で購入

渡切費は廃止されても、依然として公金搾取疑惑は晴れていません。郵政には、郵政ワールドだけで通用する通貨が存在します。切手です。ギフトを郵便局に納入する業者に対する決済通貨として、切手が利用されているのです。郵便局としては、ノルマを果たすために切手を通貨換りに決済する誘惑があります。そして切手を現金化する時、10%ほど割引きされるので、その分20%ほど上乗せした金額が設定されています。つまり国民が100円で購入する切手は、納入業者には 2割引で販売している事と同じであり、1物2価になっているのです。現状、郵政の特別会計には、郵便物の送料として使用されていない架空の切手の売上げが計上されている事になるのです。

今では切手購入を禁止する地域が増えてきました。しかし「支払われた現金の一部で切手を購入するよう取決める。その分を見込んで上乗せした現金を支払う」といったより巧妙は手口を採っている場合もあるようです。その際、特定郵便局の局長がその地方の名士であるという事が圧力となるであろう事は言うまでもありません。

組織の封建性

地方の名士を起源としているだけに、全特という組織は封建的であり上意下達のビラミッド型の命令系統を持っています。地位が上がる毎に金と権力が増大するわけであり、そのような階段を登る事を希望する者が上に対して異を唱える事などできるわけがありません。自浄能力など無いに等しいのです。また、局長という国家公務員資格が金で取引されている疑いもあります。私立ではないのであり、国家公務員の資格が金で売買されて良いわけがありません。

経理の不透明性

これは特定郵便局だけではなく普通局の話ですが、郵便貯金や簡易保険(簡保)の加入者に配るギフトを購入しています。その代金支払いシステムが不透明その物なのです。なんと、物品を納入して代金を受け取った業者に、受領書が残らないシステムなのです。そして、郵便局には税務署の査察が入りません。

 

郵便事業がいかに私物化されているか、と憤っても仕方ありません。当初、元名主(庄屋)の中でも公共心の高い者が名乗り出て創設された郵便ネットワーク、その歴史の中で腐敗し堕ちる所まで堕ちてしまっていても何の不思議もないのです。郵便事業は、そもそも地方の名士に私物を提供して貰う事から始まったのであり、特定郵便局とは私物、個人経営の店鋪であると解釈する事も可能なのです。私物と言って語弊があるなら、半官半民という所でしょうか。私物であるならやりたい放題やっても人から文句を言われる筋合いはありません。「国民の為の郵便事業」という美辞麗句を唄い民営化に反対する者達、しかしその実体は「郵政関係者の、関係者による、関係者のための郵便事業」というのが実態なのです。

民営化、それはこうした公金の横領を阻止する事であり、違法性の高い郵便局を拠点とした選挙活動を阻止する事であり、郵政官僚や郵政族議員とのもたれ合いに歯止めを掛ける事なのです。


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- 財政投融資

全特や渡切費の問題は、郵政事業の予算の使われ方の問題です。一方、財政投融資の問題は、国民の預けた郵便貯金がどのように使われているのかという問題です。郵貯や簡保は一度、財務省所管の資金運用部に集められ、そこから「第2の予算」と言われる財政投融資制度を介して地方自治体、特殊法人や第三セクターに投下されています。そして、恐く全国で不良債権と化して腐臭を放っているはずです。銀行の不良債権処理の遅れが言われますが、より問題なのはこうした公的部門の隠れ不良債権です。国の借金うんぬんを言うのなら、一般予算の数倍の規模であるこうした特別会計(特殊法人会計)について失念してはなりません。

郵貯と簡保を合わせた金額は 350兆円を超え、まさにスーパーパワーです。2003年4月に公社化しても急に運用能力が付くわけもありません。特殊法人改革が進めば、財政投融資の投下先としては国債となる可能性が高いでしょう。事実、郵政が保有している債権の評価方法を時価評価から償却原価方に変更しています。これは、金利が急騰した時でも評価損の計上を回避しする事により、さらに国債を買込むためだと推定されます。現在でも郵貯・簡保は国債や地方債を大量に買込み、公的部門の借金を支えています。そして金利が急騰し、債権価格が暴落すれば、郵便貯金はたやすく実質債務超過に陥ってしまう危険があるのです。日本人は「お上」に弱いと言われます。「お上のやっている郵便貯金なら安心だ」と思っていると、実は大間違いなのです。

郵便事業の民営化、それは特殊法人や国債に投下されて不良債権化し、腐臭を放っているであろう国民の大切な資産を、国民の手に取り戻す事なのです。


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- 民営化の本質

小泉首相の「郵貯・簡保の民営化自体が「構造改革」だ」という主張には無理があります。民営化した後の内容こそが問題でしょう。しかし民営化自体は必要であり、構造改革の入り口である事は間違いないと考えます。郵便事業の民営化を突破口に、特殊法人や第3セクター改革までを攻略して始めて意味があるのです。

民間金融機関になれば、株主利益の極大化を目指す事になります。そして民間企業は、財務諸表により、経営・財務内容を明らかにする事が義務付けら、金融機関においては特に自己資本比率をクリアする事が必要となります。簡易保険については、一般の保険会社として、ソルベンシー・マージン比率をクリアせねばなりません。特殊法人や第3セクターに投下され不良債権化した物をそのまま引き継いで民営化すれば、金融庁による検査によって債務超過が明らかになり、国有化や公的資金注入が必要となる可能性も否定できません(出来の悪い喜劇です)。さらに、民営化されれば、法人税等の税金の支払い義務も発生します。民営化する前に、処理しなければならない問題が山積しているのです。やはり「郵便事業の民営化自体が構造改革」という主張には無理があります。

ところで、郵貯に資金が集まる最大の理由について;

全国に張巡らされた郵便局網により利便性が高かった事
金融自由化以前、金利が民間銀行よりも有利であった事
などなど、合理的な理由はもっともらしく響きますが、本当の理由は「お上に弱い」という日本人の国民性であろうと見ています。郵便事業には法律によって国の元本・利回り保証があったため、国民は競うように郵便局に預金を持ち込んだのです。1990年 → 2001年に家計が保有する郵貯・簡保・年金は 270 → 516兆円へと急増し、この巨額資金は、国債・財投債・地方債へと投下されました。郵貯・簡保・年金の国債等保有額は 1990 → 2001年に218 → 370兆円と急増しています。同じ間に、民間金融機関の国債等保有額も130 → 278兆円に増えています。バブル崩壊後の資産デフレにおいて、家計だけでなく民間金融機関もリスク回避姿勢を強めた事を表しています。

そして実質破綻状態にある日本の財政は、バブル後の不況において政府が国債を通じて集めた資金によるバラマキによって景気を浮上させようとした財政政策が失敗した結果なのです。そして、郵便局に貯金し続ける事によって政府にバラマキの原資を供給してきたのは国民であり、やはり結局は国民の責任でもあるのです。

民営化後は国による元本・利子の支払い保証は撤廃され、貯金者は自分のお金を守る為、預金先の経営・財務内容をチェックする事を自己責任として要求されます。「お上」への甘えは許されず、仮に安易な国債投資と国債暴落で資産が目減りしたり、ペイオフ解禁によって1000万円を超える貯金を失っても文句は言えなくなります。構造改革とは、単に経済構造を変え非効率的な部分をリストラする事だけではありません。小さな政府の実現により、国民の甘えを排除し自己責任を認識させる事なのです。その入り口として、郵便事業の民営化は不可欠なのです。


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* 参考:司馬遼太郎著「この国のかたち:風景」

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