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http://www.ehime-np.co.jp/shasetsu/shtsu20050801.html
陸上自衛隊が駐留するイラク南部サマワの不穏な情勢が連日のように伝えられる。自衛隊が攻撃され、デモでは反日感情がむき出しになったりする。隊員が危害を受けないか心配だ。
六月には走行中の陸自車両の近くで爆発があり、ガラスにひびが入った。宿営地外での被害は初めてだ。自衛隊を狙ったとみられる砲撃は続き、先月も宿営地内外に着弾した。
犯人の特定や再発防止は地元警察などに任せるしかない。ただ、自衛隊を狙っているのが大規模な組織だとすると、再発防止は容易でない。しかも攻撃はエスカレートしており、いつ人的被害が発生してもおかしくない。隊員の被害防止に万全を期さなければならない。
気がかりなのは市民感情の悪化が指摘されていることだ。サマワでは電力や安心できる飲料水の不足が改善されず、市民の不満が高まっている。
デモなどで反日感情をむき出しにしているのは、主に反米指導者サドル師の支持者だろう。しかし、一般市民からも「自衛隊は出て行け」「もう必要ない」との声が聞かれ、これまでと様変わりしているという。深刻な事態だ。どの程度の市民がそういう感情を持っているかは分からないが、変化が起きつつあるのは確かに違いない。
サマワ市民が期待したほど復興が進んでいないのが、変化の要因である。自衛隊への期待が過剰だったこともあるが、市民が満足できる支援の水準にはほど遠いのが現実だ。
特に不満が集中しているのは電力不足。イラク十八州の中で発電所がないのは、サマワを州都とするムサンナ州だけだ。このため市民は昨年一月の自衛隊派遣当初から、安定した電力供給を切望していた。
日本政府も六万キロワット級の火力発電所建設を約束。二〇〇七年夏の稼働を目指し今夏にも着工する予定だったが、治安などの関係で遅れている。日本だけの責任ではないにせよ、取り組みを強める必要がある。
サマワ市民の感情は、まだ決定的に悪化しているわけではなさそうだ。しかし、自衛隊が宿営地にほとんど閉じこもったような状況が続けば、さらなる悪化は避けられないし、何をしにイラクへ行っているのか、ということになる。
そもそもイラクへの自衛隊派遣は、海外での武力行使を禁じた憲法に抵触しかねない行為である。その上、復興支援で市民の理解が得られないなら、派遣の意味はなくなる。
イラクに駐留している米軍など多国籍軍に関しては、来年中にも大幅削減する案が検討されている。それなら、なおさら自衛隊がとどまる理由はない。予定通り十二月で撤退すべきだ。治安状況にもよるが、政府開発援助(ODA)を軸にした支援に切り替えるべきだろう。
今年五月に、「サマワで一番の脅威」を問われた陸自幹部は「イラク人の心が離れていくこと」と答えている。政府は、まさに現実になりかけている脅威を直視しなければならない。
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