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(回答先: NHK番組改変問題2―取材の総括 投稿者 月読 日時 2005 年 7 月 25 日 06:47:56)
NHK番組改変問題3―検証・番組改変の経緯
2005年07月25日06時01分
今年1月の記事に対して、掲載後、当事者らが取材時の発言や記事内容を否定したため、NHKや総務省、自民党議員ら150人以上に取材をし、番組をめぐって何があったのかを改めて調べました。その結果、政治家の意向がNHK幹部を通じて制作現場に伝わり、放送直前に番組が大幅に改変されたという流れが改めて浮かび上がりました。(肩書・団体名は当時)
番組が放送された01年1月は、NHKの01年度予算案の国会審議を控えた時期と重なった。
NHKによると、国会対策担当の総合企画室職員らが1月中旬から与党議員のうち250人程度に予算説明を始めた。NHKの海老沢勝二会長が予算案を片山総務相に提出したのは放送5日前の同月25日。2月上旬に同会長も出席する自民党の部会などが予定されていた。
NHKでは1月中旬、吉岡民夫・教養番組部長や永田浩三チーフプロデューサー(CP)らが制作会社が編集中の番組を試写し、「内容が女性国際戦犯法廷の主催者団体の主張に近すぎる」と指摘。1月24日に編集作業を制作会社からNHKが引き取り、直接番組作りを進めることにした。
●第1段階=44分版 批判対策、議員が助言
1月下旬、放送予定を知った自民党の「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」のメンバーの間で番組の批判が出ていた。
同会は97年に設立された。放送当時、代表は中川昭一衆院議員。安倍晋三衆院議員は前事務局長で、2人は会の中心だった。「新しい歴史教科書をつくる会」とともに中学歴史教科書から慰安婦に関する記述の削除を求めていた。当時は「つくる会」主導で編集された教科書の初めての検定をめぐり議論が起きていた。
監督官庁の総務省関係者によると、自民党議員から番組内容の問い合わせを受けたNHK側が同党内の情報を集めていたという。
NHKによると、25〜26日、総合企画室職員が「若手議員の会」所属の古屋圭司衆院議員らを訪れた際に、「法廷を特集すると聞いているがどうなっているのか」「予算説明の際に説明できるように用意しておいた方が良い」などと示唆された。
ある自民党議員は、放送前に中川議員ら「若手議員の会」の中の動きを知って、NHK側にきちんと対応するようにアドバイスをした、と話す。
同会の運営に協力するシンクタンク「日本政策研究センター」(伊藤哲夫所長)がNHKに放送中止を求めた。運動団体「日本会議」の小田村四郎・副会長らも1月26日、片山総務相に面会し、番組内容のチェックを申し入れた。
このころ、伊東律子・番組制作局長は若手議員の会編集の本『歴史教科書への疑問』を吉岡部長らに示した。伊東局長が本を開き、中川、安倍両議員らが載っている同会所属議員の名簿を指すなどして、「この人たちなの」「苦労している」と話した、と証言するスタッフもいる。
26日、編集途中の番組の試写が行われ、伊東局長は吉岡部長や永田CPらに編集方針の説明を求めた。松尾武・放送総局長と国会担当の野島直樹・担当局長が同席した。
野島担当局長は元政治部記者。総合企画室で国会議員や総務省との対応に携わり、番組制作とは関係のない立場だった。
関係者によると、試写した番組の内容について、この程度なら大丈夫だという雰囲気だったという。ただ、意見の対立するテーマなので反対派の主張も採り入れるよう注文があり、修正方針を決めた。
法廷に批判的な日本大学の秦郁彦教授のインタビューを28日に収録するなどして本来の時間枠の44分版を作成。その夜に吉岡部長がOKを出し、スタッフはこの時点で「完成版」と受け止めた。
総務省幹部によると、28日、NHK側から同省側に「中川、安倍両議員らが騒いでいるが、反対意見を入れるなど工夫した」などとの連絡があったという。
●第2段階=43分版 国会担当の幹部主導
27、28日に右翼団体がNHKに押しかけた。番組をめぐる騒ぎは海老沢会長に伝えられた。
NHKによると、28日ごろに官房副長官の安倍議員に面会を申し込み、29日午後4時ごろ、松尾総局長と野島担当局長が首相官邸を訪ね、番組について説明した。安倍議員は慰安婦問題の難しさなど持論を語り、公平公正な番組にするべきだと述べた。中川議員は、当初の取材で29日の面会を認めたが、その後、「2月2日」と修正した。
政治部出身のあるNHK幹部は「普通、予算説明の中で特別な番組の説明はしない。野島氏の立場で一番の目的は予算を通すことで、事前にリスク要因を排除することだった」と話す。
松尾総局長らが国会議員に面会していた29日夕、NHK内では伊東局長、吉岡部長、永田CP、長井暁デスクらが44分版の試写に集まった。伊東局長が「もうすぐ(松尾、野島両氏が)永田町から戻る」と述べた。「この時期にNHKは政治と戦えない。天皇有罪とかは一切なしにして。番組尺が短くなったらミニ番組で埋めるよう手配して」と話すのも、スタッフの一人は聞いた。
2人が戻った午後5時半ごろから試写を開始。関係者によると、26日の方針に基づき修正した内容だったが、野島担当局長の「これでは全然だめだ」の一声で見直しが始まった。具体的な発言は野島担当局長が多かったという。
あるスタッフの台本には、「アベ」などと自民党の議員とみられる3人の名前が書き込まれていた。この検討会でスタッフが聞いたままをメモしたとみられる。
関係者によると、野島担当局長はその後、待機していた永田CPに指示。修正作業は2人きりで行われた。野島担当局長は、慰安婦をビジネスだったことにできないかとの趣旨で発言。(1)法廷への積極的評価を避ける(2)慰安婦制度への日本軍の関与を薄める(3)「天皇有罪」の結論を放送しない、などを指示した。「若手議員の会」の本に書かれた主張に沿った「根本的な修正だった」とスタッフの一人。
NHKは、番組制作に関係のない野島担当局長が指示した理由を「判然としない」としている。
こうして、法廷支持の米カリフォルニア大の米山リサ準教授の話など約4分間分を削り、法廷に批判的な秦教授の話など約3分間分を加えた43分版が完成。翌30日未明に試写をした。松尾総局長は当初の取材に「これでOKだと思った」と話した。
●第3段階=40分版 面談の会長「慎重に」
放送日の30日、伊東局長は海老沢会長と面会した。NHKによると、午後4時ごろ、秘書室から伊東局長に「苦労されているようですね。会長の予定があいています」と電話があり、会長室を訪問。会長は「いろいろ意見があるから、何しろ慎重にお願いしますよ」と話した。伊東局長は松尾総局長と相談した。
午後4時半ごろ、松尾総局長が吉岡部長を呼んだ。関係者によると、松尾総局長の台本に中国人被害者や元日本兵の加害証言などの個所に印があり、さらに削るよう指示。吉岡部長は反対したが、「経営判断だ。議論しているひまはない」などと退け、制作現場への指示を命じた。その後、永田CPは総局長室を訪ね「NHKが根本的な傷を負いかねない」と主張したが、その場にいた野島担当局長も「一生懸命なのはわかるが、決まったことだ」と話した。
結局、さらに3分間削り、午後10時から本来の時間枠より4分短い40分で放送された。
NHKによると、放送日の30日から2月1日の間に中川議員に面会を申し込んだ。関係者によると、野島担当局長の指示だった。同月2日、野島担当局長と伊東局長が訪れて番組の説明をした。
しかし中川議員は、同月7日の自民党通信懇話会で「公共放送のNHKが放送するのはおかしい。公平性に欠ける」と予算案了承の延期を主張。9日の同党総務部会・電気通信問題調査会合同会議でも批判した。
総務省幹部は9日の同会議後、NHK幹部から「放送前から中川議員が騒いでいたことは知っていた。番組内容は直したが、まだ騒いでいる」と聞いたという。
◇
朝日新聞は中川、安倍両議員に再取材を申し込んだが、今年1月の記事に関する自民党プロジェクトチームが「紙面で『検証記事』として掲載されるのはフェアとは言えず、公開討論会への出席要請をもって回答とする」との書面を寄せた。
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《NHK番組改変問題》朝日新聞は今年1月12日付朝刊で、00年12月に開かれた「女性国際戦犯法廷」を素材にしたNHKの特集番組をめぐり、中川昭一、安倍晋三両衆院議員が放送前日の01年1月29日にNHK幹部を呼んで、内容の偏りを指摘し、NHKが内容を変えて同月30日に放送した、とする記事を掲載した。番組は、NHK教育テレビで放送されたETV2001「戦争をどう裁くか」(4夜シリーズ)の2回目で「問われる戦時性暴力」。
《女性国際戦犯法廷》旧日本軍慰安婦制度の責任者らを市民の手で裁こうと、女性人権団体などが00年12月に東京で開いた民衆法廷。法的強制力はない。判事団には国連の旧ユーゴ国際戦犯法廷の元所長らが就き、64人の元慰安婦らが証言。「判決」は制度が人身売買禁止条約などに違反するとして「日本の国家責任」を認め、昭和天皇と軍・政府高官に対し、上官責任などで「有罪」とした。
http://www.asahi.com/national/update/0725/TKY200507250003.html
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