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『亜空間通信』1061号(2005/07/24)
【NHKは戦時謀略放送協力を姑息な手段で素知らぬ顔:『放送五十年史』隠蔽工作を証言する元職員】
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転送、転載、引用、訳出、大歓迎!
目下、新著『放送メディアの歴史と理論』完成間近であるが、資料を整理し直したら、またまた、NHKのエセ紳士振りの典型的事実を発掘した。以下は、同書の草稿の一項目の抜粋である。
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《『放送五十年史』は謀略放送への関与を隠蔽と証言する元NHK職員
旧著『NHK腐蝕研究』の「第四章」は「NHK《神殿》偽りの歴史」である。
この章に、「“富国強兵”から“東洋大放送局”への大風呂敷」の項を設けて、概略、以下のように記した。
《“大風呂敷”のアダ名を持つ後藤は、就任早々、“大東洋放送局”の計画まで、ぶち上げていたのである。
後藤の計画は、そのまま実現はしなかった。しかし、のちのNHKマンは“果敢”にも、つぎつぎと“占領地放送局”を建設しつづけたのである》。
ところが、この旧著の発行は一九八一年であるが、その数年後に、古書店で、その翌年の一一九八二年七月一五日に発行されていた単行本、『謀略放送と一人の男(副題・元NHK職員の証言)』(増岡敏和著、日中出版刊)を入手した。
典型的な小出版社の刊行であり、電網(インターネット)の書名検索では、次の一例しか発見できなかった。
《「ラジオフライ」「戦時下放送」文献・増岡敏和「謀略放送と一人の男 元NHK職員の証言」(一九八二)》
つまり、資料としては、その存在が、ごく一部の放送関係者には知られているが、このアナウンサーなどを歴任した長笠原栄風(ルビ・ながさわら・えいふう)こと、「元NHK職員」の「証言」の通りに、NHKが軍の謀略放送との関わりを、できる限り隠蔽し、軍の仕事としてしか記録してこなかったから、一般には、知られていないということなのである。
右の「ごく一部の放送関係者」のなかには、やはり元NHK職員の小中陽太郎が含まれるようである。この本の「まえがき」には、次のように記されている。
《作家の小中陽太郎が『世界』(一九八一年八月号)の「開戦前夜」というルポルタージュのなかで、「長笠原の生き方は、参謀本部の国策に翻弄された一人の男の数奇な運命そのものだった」と書いたが、それは戦後における黙殺のされ方も加わってさらに「数奇な運命」をもたらされたように思ったからである》。
『世界』(一九八一年八月号)を図書館から借り出して該当の記事を読むと、長笠原栄風自身が、この記事の前に、『綜合ジャーナリズム研究』(一九八〇年秋期号)に「手記を発表」とある。
この四六判で二一六頁の単行本の内容を要約して紹介するのは、不可能である。本書では、同じく、その「まえがき」から、以下、そのごく一部のみの抜粋を要約し、NHKの歴史隠蔽体質の参考とするにとどめる。
《放送開始五十年に当たる一九七五年に、日本放送協会では五十年史編輯室を設け、その編輯室の堀健次氏が「大東亜戦争史を調べていたら南方戦線において放送が使われたのを発見した」と人を介してかれを訪ねてきた。
しかし、日本放送協会編『放送五十年史』ではそのかれらの話をもとにまとめず、]戦史叢書『蘭印攻略作戦』(一九六七年刊)からの引用にとどめるだけにしていた。
『放送五十年史』の転載記事では、あくまでこの謀略放送が軍だけの仕業であることを強調してか、この文章につづいて「仏印地区はほかの占領地区と異なり、放送管理局は置かれず、当初は南方総軍の管理下に置かれ、総軍がシンガポールに進出した後は、現地軍の報道部で管理された」という事実を念を押してつけ加えている。
長笠原氏らの活動は日本放送協会の関与さざることのようにも読めば読める。
確かに長笠原氏らは軍の嘱託として徴用され、日本放送協会は求職扱いとなっていた。しかし、その行動は日本放送協会の最高幹部がふかく関与しており、徴用後の求職期間の給料も日本放送協会が支払つづけていたが、そのような関係はついぞなくあるいはそ知らぬかたちで済ましていると思われるような、あまりにも客観的すぎる記述である》。
なお、以上のような『放送五十年史』の歴史記述は、同書の一五二頁から一五八頁の「戦う放送」の項に含まれている。日系二世の戸栗郁子がアメリカで反逆罪に問われた「東京ローズ」に関する記述もある》。
[後略]
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以上。
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