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以前にも投稿したことがあるが、憲法改正は多くの人が考えているようなかたちでは実現できない。
憲法改正は、「各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成」で行うことができると思われている。
しかし、それは、米国のような「修正条項型」(追加条項型)の改正の場合のみ有効で、自民党などが考えている「全面改正型」(新憲法型)の改正には通用しない。
現行憲法からダイレクトに「新憲法」に移行するのは“違憲”行為である。
なぜなら、憲法の改正を規定した憲法第九十六条は、2項から成り、2項目に「憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する」と定められているからである。
第九十六条第2項のポイントは、「この憲法と一体を成すものとして」という表現である。現行憲法は、現行憲法条文をチャラにしてまっさらの状態から新たな憲法条文を作成することを予定(許)していないのである。
言うなら、米国と同じように、新たな憲法規定は修正条項として付加されなければならず、削除できるのも修正条項のみという改正方式なのである。(あの禁酒法も、修正条項として付加され、修正条項の削除により消えていった)
このようなことから、現行憲法にある条文を削除したり内容を変えるような“新憲法”を公布するためには、まずもって、「全面改正型」で憲法改正が可能なかたちに憲法を改正しなければならない。
そして、そのときも、現行憲法との論理矛盾(競合)を避けなければならないから、国民投票で51%以上の賛成が得られたときは「全面改正型」で改正ができるなどといった規定にする必要があるだろう。
(現行憲法の第96条第1項と同じ手続きであれば、「この憲法と一体を成すもの」なのだから、修正条項と競合する(齟齬をきたす)。憲法第9条が残っていながら、国防軍を保持するという「追加条項」が公布された状態を思い浮かべてもらえばわかりやすいと思う)
憲法改正方法に関する憲法改正を行い、その規定に基づいて「全面改正」を行わなければ成らない。(その「全面改正」で憲法改正手続きを新たに規定すれば、現行憲法第九十六条第1項の内容で次々と「全面改正」を行うことができる)
このような論をバカバカしいとお思いかもしれないが、国家機関や政治勢力の恣意的な動きを抑制する要諦は憲法を頂点とした法規定を遵守させることにあるから、ないがしろにすることはできない。
敗戦後に日本の占領統治を行っていた米国支配層は、現行憲法を押し付けただけではなく、その後の改正にもタガを嵌めていたのである。
現在及び将来の米国支配層は、日本が自分たちの意向に沿った政治動向をする政治勢力で統治されているときは“違憲”型の憲法改正を容認するとしても、そうでない場合は現行憲法第九十六条第2項を指摘して牽制する可能性もある。
<参考憲法条文>
第九章 改正 【憲法改正の発議、国民投票及び公布】
第九十六条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。
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