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首相 いつ靖国参拝
『郵政決着』後か
小泉純一郎首相にとって、今年の夏は、例年になく暑くなりそうだ。政治生命をかける郵政民営化関連法案の成否とともに、もう一つの「Y」である靖国神社参拝に内外の関心が集まっているからだ。中国、韓国などの中止要請に反して、首相は参拝継続の姿勢を崩していない。終戦記念日の八月十五日が近づく中、むしろ、秒読み段階に入ったとの見方も。参拝の「Xデー」はいつか−。 (政治部・田畑豊)
■解決済み
「これはもう『適切に判断する』としか言わないことにしている。何回聞かれても…」
首相は先に、靖国参拝の可能性を尋ねる記者団にこう答えた。「適切に判断」は、今や首相の口癖だ。首相周辺によると「判断」の対象は、参拝の可否ではない。首相の頭にははなから自粛の選択肢はなく、年一回の参拝を前提に、その時期を適切に判断しているのだ、と解説する。
実際、首相サイドは、昨年十一月にチリで開催された中国の胡錦濤国家主席との首脳会談に先立ち、「首相は二〇〇五年も参拝する。それでも不都合がなければ、会談を受ける」との意向を中国側に通告。結局、会談が実現したことから、中国との間では、今年の靖国参拝は“解決済み”との認識だ。
足元の自民党では、首相の靖国参拝を支持する若手議員の会が先月末に発足。約六十人が出席したのを知って、首相は「大勢集まったな」と笑みを見せた。首相は今、参拝実行に向け、さらに自信を深めているようだ。
■火に油
焦点となるのは参拝時期だ。
首相は就任一年目の二〇〇一年、自民党総裁選で公約した終戦記念日の参拝を前倒しして、八月十三日に参拝。翌年からは、春季例大祭の四月二十一日(〇二年)→一月十四日(〇三年)→一月一日(〇四年)と、徐々に日を早めてきた。今年は、正月や例大祭のタイミングを見送っており、次に考えられるのは、もともと公約していた八月十五日の参拝だ。
しかし、中国にとって「抗日戦争勝利六十周年」の戦勝記念日でもある同日に、A級戦犯が合祀(ごうし)される靖国神社に首相が参拝することは、中国側の「怒りの火」に油を注ぐことになりかねない。首相の盟友である山崎拓・前自民党副総裁も「十五日参拝」には否定的だ。
■解散でも
となると、八月十五日の「前」か「後」か−。首相官邸内では「前」とみる向きが多い。
首相サイドは、十五日という節目の日までの参拝を見送った場合、「歴史問題の『圧力カード』を手放さない中国側に首相が譲歩したとの印象を与え、外交上、かえってマイナスになる」と懸念している。
官邸関係者によれば、中国側からは、九月の愛・地球博(愛知万博)閉幕式への温家宝首相出席と引き換えに、暗に首相の参拝自粛を求める働きかけがあるという。そうした「圧力」が余計、首相の態度をかたくなにさせる可能性もある。
そこで、もっか有力視されているのが、郵政民営化法案が八月上旬に参院で採決された時点から、十四日までの間。首相としては、悲願の法案を可決で成立させた後、靖国に向かうのがベストシナリオ。仮に否決され衆院解散に踏み切った場合でも、重要案件の区切りを受け、参拝することに変わりはないだろう。
一部では「解散せずに参拝後、電撃辞任」といった説も取りざたされているが、首相は「政権を投げ出すことはない」と、あくまで強気の姿勢。自民、公明両党内に根強い慎重論も首相の耳には届かず、「Xデー」は確実に近づきつつあるようだ。
「首相は『この日に行く』と予告はしない。直前に決めて、ぱっと行く」−。首相周辺は、こう予測している。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20050717/mng_____kakushin000.shtml
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