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社説:改憲要綱 自民色は薄まったけれど…
自民党新憲法起草委員会は7日、改憲要綱をまとめた。4月に出した党小委員会の改憲原案で両論併記や検討事項になっていた部分を、一本に絞り込んだり不必要なものを整理した。手続き的には半歩進んだといえる。
しかし、自主憲法制定を党是とする「自民党らしさ」を無理して抑えこんだ感じは否めない。改憲の理念よりも改憲発議の要件である「国会議員の3分の2以上の賛成」を意識して独自色を薄めざるを得なかったのが実情らしい。
要綱では、前文に「日本史上、初めて国民自ら主体的に憲法を定める時期に到達した」と明記する、としている。だが、なぜ今新憲法なのかについて、こんな素っ気ない表現で共感を示す人は少ないのではないか。簡潔にして要を得た説明があるべきだ。
前文に盛り込むかどうかで両論のあった「天皇」部分は「国民統合の象徴たる天皇と共に歴史を刻んできた」という文言が入る。一部には「元首」とすべきだとの主張もあったが、復古主義的な色合いを薄めようとする党内の流れに抗し切れなかった。
安全保障面では「自衛軍」の保持をはっきりうたい、軍の目的を「自衛」とすることで集団的自衛権の行使を間接的に認めた。しかし、武力行使の範囲は新憲法に記さず、安全保障基本法などで規定する迂回(うかい)手法が採られる。
形の上では「了承」となった7日の会議でも、中曽根康弘元首相が「自衛軍が武力行使できる文言が必要だ」と述べたのに対し、宮沢喜一元首相は「海外での武力行使はだめだ」と反論した。結局、国論を二分するテーマは、あえて真正面からの提示を避け通した。肩透かしにあった感じだ。
4月原案で、国民に向かって説教調すぎると批判の出た「国民の権利及び義務」は今回、自民党らしさの残滓(ざんし)と他党への気配りが混在した。義務よりは穏やかな「責務」という概念を設け、現行憲法にはない国防、社会的費用の負担、家庭の保護など国民の責務として掲げていたものは「さらに議論すべき項目」に格下げされた。
憲法改正の発議要件は国会議員の「3分の2」から「過半数」へと緩和した。将来は他党に遠慮せず改正したいという狙いが見え見えだ。国の根本規範は、時の与党のご都合主義で変更可能になる危険性をはらんでいる。
両翼に保守派とリベラル派を抱える自民党が、憲法改正でとりあえず最大公約数を取りまとめてみたというのが、要綱を読んだ偽らざる印象だ。そのせいなのか、この要綱から改憲へのエネルギーが沸き、賛同の輪が広がるとはとても思えない。
自民党は4月中にも条文化した改憲案を示すはずだったが、いまだに要綱の域にとどまっている。論議も郵政政局に振り回されて失速、当初の見込みより周回遅れの状態は解消していない。
最近は憲法改正を口にする国会議員も減った。自民党の改憲作業は熱意のうせた消化試合の様相を帯びてきたように見える。
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20050709k0000m070153000c.html
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