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総務省情報フロンティア研究会報告書:他律から自律へ
http://www.asyura2.com/0505/senkyo10/msg/286.html
投稿者 へなちょこ 日時 2005 年 7 月 01 日 23:46:48: Ll6.QZOjNOr.w
 

(回答先: 【意図的な誤報?】実名でのネット活用促す 総務省「悪の温床」化防止 投稿者 へなちょこ 日時 2005 年 7 月 01 日 23:38:11)

http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050626

総務省情報フロンティア研究会報告書:他律から自律へ

総務省の「情報フロンティア研究会」が報告書案をとりまとめました。

一部マスメディアが「悪の温床化防止」という、誤報に近い表現で釣り報道をしたため、世間の注目を集めると同時に世間に誤解を与えているようです。

「情報フロンティア研究会」の報告書案を読んでいただければわかると思いますが、「悪の温床化」などという言葉は一言も書いてありませんし、「匿名性を排除する」などということもどこにも書いていません。

インターネットの自由を希求する立場から見ると、報告書は、報道されていることとはかなり違う内容の、画期的な内容となっています。

総務省のやっている活動のすべてが好ましいものだと私は考えているわけではありません。むしろその逆。(たとえば有害情報規制など。後日報告。) 「情報フロンティア研究会」は数少ない総務省の良心のようなもの。であるだけに、一部から誤解を受けている状況は残念に思います。

 

総務省情報フロンティア研究会報告書案

http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/chousa/info_frontier/pdf/050614_2_3.pdf

これまで大きな情報処理能力を有することで市場競争力や社会的影響力等を保持してきた各活動主体が昨今では自律・分散・協調的な連携を行うことで社会経済に活性化をもたらしている、と言い換えることができる。従来の情報通信ネットワークシステムは、強固なサーバの下で整然と端末が管理される集中管理型が一般的であった。しかし、情報通信機器の能力向上・価格低下により、個人が自分の情報端末からネットワークに接続して自由に自己実現を図る傾向が強まっている。携帯電話のメール友達を何十件・何百件も登録するように、個人が情報通信ネットワークを通じて広範囲の知人と広く浅く交友することもかなり一般化した。こういったICTの発展と社会システムの変化との関係に着目せずにICTの今後の利活用方策を語るのは、議論の本質を見誤ったものとなる可能性が高い。

 

情報フロンティア研究会の報告書全体を貫く思想は、上記で示される自律・分散・協調的な連携をネットワークを通じて社会化することです。「私的自治の原則」という言葉もありますが、中央政府がなにもかも決定するのではなく、自分で決めて対応できることは自分で決めさせる、ということ。

家庭内のゴタゴタをお上が裁定せず通常は家庭内で収めるように、インターネットのコミュニティも、産業も、政府が官僚や警察を使ってなにもかも統治するのではなくて、それぞれのコミュニティの中でそのコミュニティにふさわしいやり方で統治した方が、全体としてはうまく機能するという総務省情報フロンティア研究会の思想には、私は共感できます。

 

http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/chousa/info_frontier/pdf/050614_2_3.pdf

世間では、情報はわざわざ買わなくてもネット検索すればただで手に入る、という意識が一般化しつつある。その一方で、金銭やビジネスを目的とせず、自らがネット社会で評価されるために活動する人が大勢存在しており、今後ネット社会が進展していくと、積極的にボランティア活動をするという方向に個人の行動様式が変わっていくことが想定される。

そのような行動様式には、個々人のユニークな価値観が確立され、己の価値観に従って行動できるという「個人の自律」が伴う。ネット社会においては、期せずしてそのような価値観の確立と、それに伴った自己実現の追求が進んでいるように見受けられる。この傾向を肯定的に評価し、個人の自己実現を促すために、金銭的なインセンティブはなく地位や名誉を得るわけではなくとも、個人が自主的にネット社会や社会システム全体に貢献したくなるような仕組みや環境づくり・ルールづくりに、今後は意味が出てくると考えられる。

 

こうした情報フロンティア研究会の姿勢は、「バーチャルリアリティは悪である」などという滑稽な発言まで飛び出した森内閣の「教育改革国民会議」的なICT認識とは正反対でしょう。

「教育改革国民会議」的な、なにからなにもで政府が価値判断して決定するような社会を反転させ、決定権が個人にあるという前提での社会システムの方が、全体としてけむしろうまくいくという新思考が情報フロンティア研究会の報告書には含まれています。

たとえば、P2Pについては、「P2Pを用いた個人間での大量の(違法なものも含めた)情報交換や、Wikiを利用した個人用HPの更新」がされる例のように「高度なコンテンツの作成、発信が個人にも可能になった」ことは「イノベーションを起こしやすい環境が醸成された」と、情報フロンティア研究会は肯定的に評価しています。

 
以下略
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050626

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