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記者の情報源秘匿認めず、米メディア「失望」 米最高裁決定 (産経新聞)…”匿名”議論に関連して
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投稿者 外野 日時 2005 年 6 月 29 日 22:17:53: XZP4hFjFHTtWY
 


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050629-00000013-san-int

記者の情報源秘匿認めず、米メディア「失望」 米最高裁決定

報道の自由“後退”を非難
 【ワシントン=樫山幸夫】ニュース・ソース(情報源)秘匿を目的とした記者の証言拒否を認めない−という米最高裁の決定が波紋を広げている。法廷侮辱罪に問われた二人の記者、所属各社はもちろん、ジャーナリストの団体などが決定を強く非難。「報道の自由の先進国」米国での決定だけに、メディア全体の失望感、危機感は強く、議会で審議中の情報源保護に関する法案審議の行方に影響を与える可能性も少なくない。
 上告を棄却されたニューヨーク・タイムズ紙のジュディス・ミラー記者は最高裁の決定後、「ジャーナリストは身分を明かされたくない情報源への接触なくしては、活動はできない」と述べ、「大きな失望感」を表明。同紙のサルツバーグ会長も「世界の四十九カ国で記者活動への保護があるというのに、この決定には実に失望させられた」として情報源秘匿に関する米国の“後進性”を指摘した。
 もうひとりの当事者であるタイム誌のマシュー・クーパー記者と同誌も、事件がワシントンの連邦地裁に差し戻されることになったことを念頭に「最終的な決着がついたわけではない」として、法廷でなお争う構えをみせている。
 ナショナル・プレス・クラブのリック・ドゥンハム理事長や、報道の自由・記者委員会のルーシー・ダルギッシュ理事長も声明を発表、同様に決定を強く非難した。
 最高裁はこの日、理由を明らかにせず、決定だけを公表したため、どのような見解によって決定を下したかは明らかではない。事件は今後、最初に審理されたワシントンの連邦地裁に差し戻され、二記者に対する禁固刑の量刑など審理が始まる。刑はいずれも最高で一年半の禁固だが、実際にはそれを下回ると予想されている。両記者とも、あらたな地裁での審理で、別の証拠を提出するなどして証言拒否の是非をなお争う構えをみせており、判事の決定次第では、再び事実審理が行われる可能性もある。
 一方、議会で審議されている情報源保護の法案は、上下両院に提出され、現在それぞれの司法委員会で審議中。今回の決定を受けてクローズアップされ、審議が促進される可能性もある。
 法案の柱は両院ともほぼ同様で、司法省が記者の召喚に関して決めた一九七三年のガイドラインを拡大。(1)記者に対して情報源を明かすよう求めるのは、すべての手段を尽くし、他に方法がない場合に限る(2)情報源が刑事訴訟における訴追、被告の防衛にとって極めて重要である場合、民事訴訟において中心的な要素である場合に限る−などという内容。上院は共和党のルーガー外交委員長らが、下院ではジャーナリスト出身の共和党、マイク・ペンス議員らが共同提案者になっている。
     ◇
 ■今回の事件の経緯
 一昨年夏に一部メディアが、ジョー・ウィルソン元駐ガボン米大使の妻を名指しで中央情報局(CIA)工作員であると報じたのが発端。
 ウィルソン大使は、ブッシュ政権の対イラク戦争に批判的であったことから、ホワイトハウス高官が“報復”としてリークしたのではないかとの疑いが持たれた。CIA工作員の氏名は国家機密であるため独立検察官が任命されて捜査にあたり、ブッシュ大統領、チェイニー副大統領らも事情聴取された。
 この間、この問題を取材したミラー、クーパー両記者は、連邦大陪審に召喚され、捜査の参考として、取材過程で接触した政府職員の名を明かすよう求められたが、これを拒否。昨年夏にワシントンの連邦地裁で法廷侮辱罪の有罪判決、巡回高裁でも同様の判決を受けて上告していた。
 両記者は、「ニュース・ソースの秘匿は言論の自由を保障した憲法で認められている」と主張。全米34州の司法長官らも、被告側の主張を支持する意見書を裁判所に送るなど、司法界からも、支援する動きが出ていた。
     ◇
 ◆秩序維持を重視
 中大法科大学院教授(情報法)の堀部政男さんの話 「米ではシールド・ロー(取材情報源秘匿法)が、多くの州で制定されるなど、ジャーナリストの取材源秘匿を保護する傾向にあった。しかし、米中枢同時テロ以降、米政府や最高裁の姿勢は、表現の自由より、国家秘密や秩序維持を重視する傾向が強まっている。今回の決定は、取材や表現の自由にとって厳しく、今後の米メディアへの影響は大きい。日本人のジャーナリストにとっても、米国での取材活動が萎縮(いしゅく)し、制限されることになる」
     ◇
 ◆自由な報道妨げ
 ジャーナリストの櫻井よしこさんの話 「言論の自由や民主主義を標榜(ひょうぼう)してきた米国にとって、極めてふさわしくない決定。記者が情報源を守るのは当然のことで、そうした信頼のうえで、取材が成り立っている。社会的に微妙な立場の人が匿名で真の情報を提供し、問題の本質をえぐり出すことで、社会全体がよくなる効果もある。安易に情報源を匿名にするのは望ましくないが、時には明らかにできないこともあり、今回の決定が、自由な報道に対する妨げになることを危惧(きぐ)している」
(産経新聞) - 6月29日2時57分更新

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