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独首相“奇襲”巻き返し 今秋にも総選挙前倒し…最大州議選の敗北受け
【ベルリン=黒沢潤】ドイツのシュレーダー首相は二十二日、来年九月に予定していた総選挙を今秋にも前倒しする意向を表明した。与党の社会民主党(SPD)の“本拠地”である西部ノルトライン・ウェストファーレン州で同日実施された州議会選挙で、SPDが敗北したのを受けて決断した。総選挙の前倒しは、支持率で優位に立つ野党側の準備不足を突くとともに、首相が進める構造改革に反発する党内左派勢力の動きを封じる狙いがある。
ドイツ最大の人口を擁する同州の暫定集計結果によると、与党SPDと90年連合・緑の党の合計得票は43・3%で、キリスト教民主同盟(CDU)と自由民主党(FDP)の野党側の合計得票51%に及ばなかった。五百万人近い戦後最悪の失業者数を記録する中、失業給付金を削減するなどの雇用改革が有権者の反発を買った形だ。
SPDは一九九九年時点で、全十六州(州と同格の特別市を含む)のうち十一州で政権を握っていたが、厳しい雇用情勢を背景に昨年以降、州議会選で敗北が続き、政権を担当する州は現在、五州だけとなった。
首相は同日夜、「われわれの政治基盤が危うくなっている。早く選挙を実施することが私の義務だ」と語った。
ドイツ基本法(憲法)によれば、議会を解散するには、まず首相が連邦議会で信任をはかり、過半数で否決された場合に限り、首相は大統領に議会解散を要請できる。与党は棄権などの手段で故意に信任案を否決するとみられ、信任案の上程は七月一日までに行われる見込みだ。
与党SPDと90年連合・緑の党は現在、国政レベルの支持率で野党に14ポイントもの差をつけられており、総選挙の前倒しは一見、野党に有利とも見える。しかし、首相が“奇襲作戦”に打って出たのには狙いがある。
来年の選挙を予想し、準備不足が否めない野党側は今後、野党の統一首相候補を絞り込まざるを得ない。CDUの女性党首メルケル氏が最有力候補だが、同党首は医療保険改革案をめぐる野党内の内紛などで指導力不足を露呈した。世論の人気度で勝る首相は、個人的な人気を利用しつつ劣勢を盛り返したい意向だ。
一方、早期の選挙実施の背景には複雑な党内事情もある。党内左派勢力は今回の州議会選での歴史的な敗北を受けて、国民に“痛み”を強いる構造改革を推し進める首相に「集中砲火」を浴びせかねなかった。しかし、首相は早期の選挙実施に踏み切ることで与党内の求心力を高め、難局を乗り切る構えだ。
- 5月24日2時51分更新
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