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2005.6.19
2005年森田実政治日誌[166]
http://www.pluto.dti.ne.jp/%7Emor97512/
「民主党執行部の竹中郵政民営化担当相に対する追及の甘さ」と「内閣法制局長官の見苦しい詭弁」
「人間が支配せずに法が支配するところに自由がある」(カント)
国会は6月17日夜の衆議院本会議において55日間の延長を決めた。これにより国会は8月13日まで行われることになる。
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民主党の竹中追及の“甘さ”
小泉内閣が強引に通そうとしている郵政民営化法案には、多くの問題点がある。
なかでも大きいのは中央省庁等改革基本法との整合性の問題である。この問題に関する国会審議のなかで竹中郵政民営化担当相の詭弁が通じず、6月6日には審議がストップし、竹中担当相は発言の全面撤回に追い込まれた。
このとき民主党は特別委員会において竹中担当相への問責決議案を提出すべきであったが、しなかった。このことは、単に民主党の“甘さ”で済まされることではないと思う。
この4年間の国会を振り返って、竹中国務大臣に対して民主党はきわめて甘い態度をとりつづけてきたことが、ずっと気になっていた。今回も甘かった。というより甘すぎた。民主党と竹中氏との関係がかつて密接だったことはよく知られている。ある時まで、民主党は隠然と竹中氏を応援していた。民主党執行部の有力幹部と竹中氏との“友情”について噂になったこともあった。その時は、有力幹部は噂を否定した。
だが、民主党の“甘さ”は今回も貫かれた。民主党は、竹中担当相への問責決議案を提出しようとしなかった。問責決議案なら自民党内からかなり多くの同調者が出る可能性はあった。それなのに問責決議案を提出する意思はなかった。そこでもう一歩きびしい「竹中不信任案」の提出を検討したが見送った。民主党のなかに、「竹中担当相へのきびしい追及」をためらう“何か”があるのだろうか。竹中氏は小泉内閣の経済政策の責任者である。それも「小泉・竹中内閣」と言われるほどの実力者である。小泉首相は経済政策を竹中氏に丸投げし、竹中氏の用心棒的存在になっている。民主党がこの竹中氏に甘い態度をとりつづけることは、小泉内閣に甘い態度をとるのと同じである。国民は民主党の態度を納得しないだろう。政治家は、「やる」と言ったらやらなければならないのだ。
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法は守らなければならない
中央省庁等改革基本法の「(郵政)民営化等の見直しは行わない」との規定が存在する以上、小泉内閣が郵政民営化法案を国会に提出するのは、「法律を誠実に執行」することを定めた憲法第73条に抵触する。憲法違反の疑いがあるのだ。小泉内閣は郵政民営化法案を国会に提出するにあたって、この中央省庁等改革基本法を改正し「民営化の見直しは行わない」との条項を削除する必要があった。これは絶対にしなければならないことなのだ。だが小泉内閣はこれをしないで、強引に郵政民営化法案を提出した。同法案の成立を図ることは、法を破ることを意味する。少なくとも政府の遵法の義務に違反する行為である。許されないことだ。
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政府の見苦しい詭弁
6月7日、政府は衆院郵政民営化に関する特別委員会理事会で、中央省庁等改革基本法の「(郵政)民営化等の見直しは行わない」との条項について「(郵政)公社までのことを規定しているもので、公社後のあり方を何ら拘束するものではない」とする統一見解を提示した。
この政府の態度は大変におかしい。この問題は政府が中央省庁等改革基本法33条を改正すれば済むことなのだ。小泉内閣が改正案を出せば自民、公明両党議員の賛成で成立するはずである。なぜ、この程度のことをいやがるのか。異常である。それから堂々と郵政民営化法案を国会に提出すればよい。政府は労を惜しまず、公正な道を進むべきである。
政府は公明正大に行動しなければならない。それなのに、この問題の「見直しは行わない」条項を残したまま、詭弁を弄し、強引に中央突破を図ろうとしている。あまりにも不明朗かつ不公正な態度である。少しの労を惜しむために詭弁を弄しつづけている。見苦しい。
野党が、この条項が郵政民営化法案の内容と矛盾すると指摘したことに対する対応が、上記の政府統一見解であった。野党が、子供だましのごとき政府の詭弁を拒否したのは当然のことだ。このため政府は、6月8日の特別委員会で、さらに説明することになり、坂田雅裕内閣法制局長官が「政府特別補佐人」として答弁席に立った。坂田長官は山口泰明委員(自民党)の質問に答える形で次のように答弁した。
「問題の中央省庁等改革基本法三十三条一項六号の規定は公社化までのことを規定したものであって、公社化後の公社のあり方を拘束するものではない」
政府の統一見解をそのまま繰り返しただけである。これではなんの答弁にもなっていない。政府がこの法律が無効であると解釈するなら、この条項を削除すれば済むことだ。削除するための法改正を国会に提案すればよいのである。この「労を惜しんでいる」ことを合理化するために、わけのわからぬ詭弁を繰り返しているに過ぎない。法は存在する以上、政府は守る義務があるのだ。
ついで坂田法制局長官は「その理由、その趣旨」を長々と説明した。「郵政公社を設立するために必要な措置を講ずる際の方針であると理解するのが自然であります」と言うのである。
驚くべき詭弁である。「(郵政)民営化等の見直しは行わない」は、法律の条項である。単なる方針ではない。これは、現に生きている法律の条文なのだ。この条文の有効性が郵政公社発足までであることを示す法律上の条項があるわけではない。法律の条文を内閣法制局長官が、平然と、「方針」と言い換えている。見苦しい詭弁である。
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政府には「誠実の義務」がある
繰り返す。政府には「法を誠実に執行」する義務がある。「誠実」の義務といってもよい。この「誠実の義務」を実行しなければならない。法の執行にあたって小泉内閣は公明正大に行動すべきである。疑惑ある行動をとってはならないのだ。「詭弁」の出発点は、小泉首相の初めのヘンな答弁にある。内閣法制局長官はこれに従った。少しの労を惜しむための詭弁を弄した。そしてこの詭弁を繰り返している。
小泉首相がとるべき態度は「過ちて改むるに憚ること勿れ」(論語)でなければならない。それなのに、小泉首相だけでなく、内閣官房長官も、さらに内閣法制局長官も、自らの詭弁に固執し、詭弁を弄しつづけている。
すべての国会議員に要求したい。小泉内閣と内閣法制局の見苦しい詭弁を許してはならない。国会は小泉首相の誤ったわがままで身勝手な法解釈を容認するような愚かなことをしてはならない。民主党は引き下がらないでもらいたい。頑張ってほしい。
内閣法制局長官は法の番人でなければならない。小泉首相の過ちを守るために詭弁を弄しつづける姿は、あまりにも見苦しく悲惨である。長官は小泉首相の過ちを直すくらいの見識と勇気を発揮すべきである。それができないのであれば辞職すべきである。
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