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10月15日、米軍厚木基地監視の3名が不当逮捕
11月ブッシュ来日前の反戦運動弾圧を許すな
エコアクションかながわ
10月15日、午前9時40分ごろ、神奈川県警公安3課は、米海軍厚木基地に隣接するマンションの8階の非常階段で基地監視行動を行っていたエコアクションかながわの野本陽吾さん、厚木基地を考える会の矢野亮さん、平和をつくる大和市民の会の久保博夫さんの3名を「正当な理由が無いのに他人の建物に入った」として、住居侵入容疑で現行犯逮捕した。よく16日には、野本さんら3名の自宅に家宅捜索を強行した。
神奈川県警公安3課は、逮捕時に野本さんら3人は双眼鏡を持ち、逮捕警官に「(米軍厚木)基地を見ていた」と話したと発表している。逮捕された野本さんら3名は基地への監視行動を行っていた。マンションの非常階段というオープンスペースで基地監視を行っていたことは、住居侵入容疑には該当しない。何故なら住民等は誰一人、口頭で建物外に出ることなど要求してなく、ただ弾圧をするために神奈川県警公安3課が3名を逮捕したにすぎないのだからだ。
そもそも法律上、基地監視を目的にマンションの非常階段に立ち入っただけで住居侵入罪に問われるなどといったことはありえない。昨年2月立川市内の防衛庁官舎で、イラク派兵に反対する内容のビラを投函した市民グループ「立川自衛隊監視テント村」のメンバー3人が、同じく住居侵入罪の容疑で逮捕・起訴される事件があったが、昨年12月16日、東京地方裁判所八王子支部は無罪判決を下している。
同判決は、防衛庁官舎敷地内への立ち入りを住居侵入罪の構成要件を満たすとしたものの、@管理人ないし住人から「入るな」という明確な意思表示があったわけではない、Aビラの内容自体が「威力」(人の意思を制圧するに足る有形・無形の勢力)をちらつかせるものではない、B法によって保護されるべき住人の何らかの利益が侵害されたわけではない(プライバシー侵害は非常に軽微)などの事実を詳細に認定した上で、「ビラ入れが憲法21条1項で保障された政治的表現活動の一つとして民主主義社会の根幹をなす事を考えれば、刑事罰に値するほどの違法性はない」「被告らの行為は政治的表現活動であり、商業宣伝ビラより優越的地位が認められる」と無罪判決を言い渡した。
今回の場合はビラさえ持っていない。法によって保護されるべき住民の何らかの利益が侵害されたわけではまったくないのだ。立川反戦ビラ入れ裁判判決から考えても、野本さんら3名の基地監視行動が「刑罰を加えるほどの違法性がない」ことは明らかだ。
そもそも厚木基地をはじめ在日米軍基地は、私たち日本国民の血税によって維持されている。私たち日本の国民には、米軍基地がどのように使われているのかを知る、当然の権利がある。米軍基地監視は、日本国憲法が保障する基本的人権・国民主権の正当な行使なのである。それを住居侵入容疑に仕立て上げるなど文字通り弾圧のための弾圧だ。
おりしも来月(11月)中旬にはブッシュ大統領の来日が予定されている。町村信孝外相は10月14日付の英紙「フィナンシャル・タイムズ」のインタビューで、在日米軍再編協議について「現在、最終段階に入っている。両国は月内の合意を目指して努力している」と語り、ブッシュ来日までに、キャンプ座間や沖縄などでの在日米軍基地の移転問題を「日米間で解決する」=再編強化を受け入れる意向を明らかにしている。
野本さんら3名の基地監視行動に対する狙い打ち弾圧は、ブッシュ来日――米軍再編(トランスフォーメーション)に向けた反戦運動弾圧以外のなにものでもないのだ。対米追随一辺倒の小泉政権と、その意を受けた公安警察は、野本さんらの逮捕によって全国各地の基地監視行動・反基地運動を妨害し、米軍基地の現状を国民の目から覆い隠し、米軍基地のさらなる再編・強化に手を貸そうとしているのだ。
なお、野本さんら3名は10月17日夜7時すぎ、処分保留のまま釈放された。
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厚木基地監視中の逮捕・勾留について
エコアクションかながわ 野本陽吾
私はこの10月15日、地元市民グループ「厚木基地を考える会」の基地監視行動に参加中、マンションへの住居侵入容疑で逮捕された。しかし多くの皆さんの支援のおかげで、とりあえず2泊だけで釈放となった。
厚木基地に対する監視行動は、5年以上にわたって毎月欠かさず行われてきた。当日一緒に捕まった矢野亮さん(54)と久保博夫さん(54)は、いずれも厚木基地騒音訴訟の原告でもある。軍用機騒音は、地元では乳幼児の情緒不安まで引き起こしており、違法騒音だとの司法判断を5度も受けている。それが30年間にわたって解消されていない。ベトナムやイラクではこの音が本物の爆弾と共に降り注いで、大量殺戮を繰り返してきた。地元にとっても世界にとっても大公害基地としか言いようのないものが、千億円単位の日本の国費を毎年投じて維持・整備され続けているのだ。
地域住民が基地を日常的に監視しようとするのは当然のことだ。それで私も可能な限り監視行動に参加してきた。
逮捕された当日は、私は朝から風邪気味で一瞬外出をためらったのだが、2日後から3日間の夜間離発着訓練が行われるとの情報があった。行かないわけにいかないと重くなりかけた腰をあげて現場に向かった。2週間前に地域の反戦団体が共同開催した「ピースフェスティバル」でも、その日の基地監視の日程は広報されている。
定時の9時半を5分ほど過ぎたところで3人で出発した。すぐに問題のマンションに到着。片側が開放されたガラスドアから入って、エレベータで8階へ。非常階段の踊り場へ出て、そこで「厚木基地を考える会」伝来の長さ30センチ大の双眼鏡を2人がかりで取り出し、まず久保さんがちょっと目に当てた後、すぐに私に渡される。双眼鏡のヒモを首にかけた瞬間、その場に警察官一人が登場した。
「ここで何してるんですか」
問われた矢野さんが「基地を見てるんですよ」と答えた。
「あなたたち許可もらって入ってるんですか」
「許可・・・?」
「基地のほう見てカメラ構えてるなんて、不審です。何の目的で見てるんですか」
警官と3人との押し問答になった。
「税金使って色々やってる基地を見ようとするのは当たり前でしょう」
「何で当たり前なんですか。あなたがたは不審です。身分証明を見せなさい」
「なぜですか」
「見せられないんですか、不審ですね」
「不審不審って、あなたこそ警察手帳も出さないじゃないですか」
警官は手帳を出して一瞬ひろげてみせ「では全員、身分証明を見せなさい」。矢野さんが「じゃあ、私のだけでいいですか」と自分の免許証を取り出しかけると、警官が「いえ、全員です」と言う。私が「見せる必要ないですよ」と言うと、警官は「見せない、やっぱり不審ですね、では」と声を一段と高め、「ただいま9時43分、あなたがた3人を、ここで、現行犯逮捕します」と宣言した。
さすがに私も少し慌て「まあ、じゃあ身分証明は見せますよ」と言い、3人とも免許証を出した。が、警官は携帯電話で「3人逮捕です、応援方お願いします」と連絡している。
「身元も明かしたじゃないですか」
「いや、ともかくここに居ること自体が違法です」
そのすぐあと複数の警官がどっと踊り場に入ってきた。3人とも免許証の名前を控えられ、全員に手錠がかけられた。1人に対して2人ずつ警官が付いてエレベータで1階まで下ろされる。
入り口の外には少なくとも4台、チラッと見えたもう1台を加えれば5台のパトカーが待っていた。この間、長く見積もっても5分程度だ。こんな短時間でこれだけの体制が整うのか?
警官は「関係者以外は許可なく立入禁止と玄関に貼ってあるはず」と言っていた。この貼り紙には気付かなかった。あとから弁護士が聞いたところ、3ヶ月前に貼られたとのこと。逮捕後に玄関を出るとき、A4くらいの大きさでワープロ打ちされた紙がガラスに貼ってあったようにも思う。
5年以上前から毎月ここを通り過ぎていたせいで、私たちは気づかなかったのだ。
5年間の監視行動中、住人から見咎められたことは一度も無い。私たちも迷惑をかけることがないよう最大限に注意していた。非常階段をもう半階だけ上に上がれば、基地は更に観察しやすいのだが、そうするとマンションの一室のバルコニーを覗き見る位置に立ってしまうので避けてもいた。
仮に、それでも住民から退去を求められるようなことがあれば、もちろん私たちはすぐに立ち退くつもりだった。
警察側の事後説明では、当該マンションには、私たち以外にも基地ウォッチングのために立ち入る人たちが後を絶たなかったらしい。航空マニアの人たちが「傍若無人」ともいえるアクセス方法で、軍用機の「追っかけ」を続けていたのも、地元ではよく知られている。
私たちの捕まった場所でも、マニア諸氏が非常階段で談笑しながら長時間いすわり、タバコの吸殻や食べ残しを放置して帰ることがあったようだ。困り果てたマンション管理組合が警察に相談し、立入禁止の貼り紙の掲示も警察に勧められて始めたという。外部の人間の立ち入りを不快に思う住人たちの感情が、私たちの想定を大きく超えて強まっていたのは事実だろう。その点、私たちも無断でマンションに立ち入った失礼について、住人の皆さんにお詫びしなければならない。
だが、その点を考えても、今回の私たちの逮捕には疑問点が多すぎる。逮捕に至る1〜2分間に警察官が言い続けたのは「こんなところで基地に向けてカメラや双眼鏡を構えるのは不審だ」ということであり、「基地を見ている理由を説明せよ、身分証明を見せよ」の要求だけである。立ち入っていることをそれ自体は問題にしていなかったのだ。
留置場で隣り合った被疑者仲間の人たちに「なんで捕まったんですか」と聞かれ、経過を説明しても、みんな首をかしげるばかりだった。「やっぱり一種の政治的な色もある活動をしてるからだと思うんですよね」と言うと、それで初めて「はあー、なるほどねーえ」と納得した。
私たちが3人とも地方公務員だったせいか、新聞各紙で私たちの逮捕は実名報道された。その記事が話題にされているのを知人が自分の職場で偶然に聞いたという。
「公務員が双眼鏡もってマンションの非常階段で捕まったんだって、覗きの常習犯だったのかしらね」。やっぱりそう思われるのだ。何らかの特殊な事情が背景にあったと考えないと、今回の逮捕は世間には説明がつかないのだ。
だが、私たちの逮捕・勾留は、「反基地運動つぶし」なのだ。私たちを「現行犯逮捕」した若いおまわりさんの問題ではないのである。もっと大きな力が働いたことは間違いない。米軍再編の日米協議は大詰め、ブッシュ来日直前の時期であってみれば、むしろ弾圧を予期しない私たちの甘さのほうが問題だったろう。
もしも仮にこれが警察の正常な治安維持活動の一環なのだとしたら、つまり今回のような逮捕の仕方が今後ごく普通に誰に対しても行われるのだとしたら。私はそんな状況とは闘わなくてはならない。
今回の私たちの逮捕のされ方は、立川テント村の3人の逮捕のされ方と比べれば、カッコ良くなかった。少なくとも形の上で、事件の相手方になっているのは米軍でも自衛隊でもなく、全く普通のマンション住人となってしまった。その点緊張感のやや減退した行動の仕方をした落ち度は、こちらにあると認めないわけにいかない。
しかし、こちらの落ち度がゼロでないからといって、闘う資格と責任がなくなるわけではない。誰に危害を加えられたわけでもなく、具体的に誰かに危害が差し迫っている状況でもない時に、警告らしい警告もなく、逮捕・勾留され、罪に問われることが正義なのか。運動つぶしより、もっと普通の人権の問題なのである。
今回の勾留で私は、警察署での取調べ中には黙秘したが、検察官の調べに対しては事実関係を供述した。弁護士に供述を勧められたからだが、一晩かなり考えた。
釈放は得られたわけだが、逆に起訴がされる可能性のある期間は無期限に延長される。ある意味では、この状態に入ることこそ「公安」の思う壺なのかもしれない。私が「思う壺」にハマるのは、私が自分の反戦の思い以外のものまで、何一つ失うまいと「守り」に入ってしまう場合だ。
沖縄と同じレベルの反基地運動を神奈川でも生み出すことができれば、米国の資源略奪戦争にブレーキをかける大きな力になる。その反戦気運を大きくするために貢献したい。私自身は今後相応のリスクを負ってでも通すべき筋は通したいと考えている。
(39歳、地方公務員)
http://www.bund.org/news/20051105-2.htm