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□個人情報保護法、捜査に深刻な支障…照会拒否500件 [読売新聞]
個人情報保護法、捜査に深刻な支障…照会拒否500件 (読売新聞)
刑事訴訟法に基づく警察の正式な捜査照会に対し、各地の病院や自治体などが個人情報保護法などを理由に回答を拒否するケースが、今年4月の同法全面施行から6月までの3か月間だけで、約500件に上っていることが警察庁の調査で分かった。
うち約4割は医療機関で、福岡県のように県警と県医師会が「出来るだけ捜査に協力する」と申し合わせたところもある。医療関係者は、厚生労働省や日本医師会の作成した同法関係の指針が誤解や拡大解釈を招き、独り歩きしている影響があると指摘している。
保護法は、本人の同意なく第三者に個人情報を提供することを原則禁じているが、「法令に基づく場合」「生命、身体、財産の保護のため必要な場合」「本人の同意を得ることで事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき」などは例外と明記されている。「法令」には、令状による捜査や、刑訴法197条に基づく捜査照会なども含まれる。
しかし、実際には、捜査に協力を得られないケースが相次いでいるため、警察庁は、刑訴法に基づく「捜査関係事項照会書」を医療機関などに示して協力を求めたのに拒否されたという例を調べた。
同庁によると、判明した約500件のうち、病院関係は約200件。回答拒否の内容としては、事件・事故でけがをした当事者の容体や、事件関係者の病名・病歴、変死者の既往歴などが目立ち、容疑者の入院の有無についても「本人の許可がないと答えられない」としたケースがあった。また、約100件は市町村などの自治体関係で、回答を拒否されたのは、公共料金の支払い状況や生活保護費の受給の有無などだったという。
刑訴法に基づく捜査照会のほか、警察が事件・事故のけが人の容体を口頭で問い合わせた場合に病院が応じないケースも相次いでいることが、読売新聞がこれまでに実施した全国調査で明らかになっているが、公益性のあるこうした問い合わせについては、応じても保護法には違反しない。
警察庁では「保護法の全面施行前はあまり見られなかった現象で、捜査に深刻な支障が出ている」として、調査結果を詳細に分析するとともに、今後、関係機関に理解を求める方針。
医療機関の対応の背景について、医療関係者は、厚労省や日本医師会の指針に「照会に応じても保護法違反ではないが、本人から損害賠償を求められるおそれもある」などと記されている点を挙げる。これに対し、同省では「一般論として例示しただけで、過剰に受け取られるのは本意ではない」としている。
[ 2005年10月17日3時0分 ]