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□<筑波大助教授殺害>「悪魔の詩」翻訳者刺殺、時効まで1年 [毎日新聞]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050709-00000066-mai-soci
<筑波大助教授殺害>「悪魔の詩」翻訳者刺殺、時効まで1年
小説「悪魔の詩」の翻訳者で筑波大助教授の五十嵐一(ひとし)さん(当時44歳)が91年7月12日、茨城県つくば市天王台の同大で他殺体で発見された事件は、間もなく時効(15年)まで1年となる。妻で帝京平成大(千葉県市原市)助教授の雅子さん(57)らが20日、夫の回想会を開く。雅子さんは14年間を振り返り「事件を風化させたくない」と訴えている。
回想会は毎年7月に開いており、今年は東京都千代田区の日本プレスセンターで午後6時半から。
「悲しむ、なんて生やさしいものではなかった。ショックから台所で食事を作っている最中に、気を失ったことが度々ありました」。雅子さんは事件発生時を振り返る。当時は専業主婦だったが、五十嵐さんの知人のつてで大学の非常勤講師を始め、中学生の長女と小学生の長男を育てた。
「つらい日々が続いたが、子供を育てなければなりませんでした。同時に、人とのかかわりを大切にしながら社会に貢献する主人の志を、どう受け継いでいったらいいのか、と考えました。毎日悲しんだり思い出に浸っていてはいけない、と自分を励ます日々でした」。仮に犯人が国外に逃亡していれば、その期間は時効が延びる。雅子さんは「解決のためにも、1年に一度くらい事件や主人のことを思い出してほしい」と話している。
県警の調べでは、犯行は発見前日の11日夜とされ、現場から五十嵐さんとは異なるO型の血痕や、犯人が残したとみられるカンフーシューズタイプの足跡が見つかった。学内関係者ら延べ2800人から事情聴取を行ったが有力な目撃情報はなく、犯人像、犯行目的を絞れないまま捜査は難航。「アラブ系の男が海外に逃げた」との情報もあったが、現在は「専従体制は取っておらず、市民からの情報もない」(捜査幹部)という状態だ。【土屋渓】
【筑波大助教授殺人事件】91年7月12日朝、筑波大構内で同大比較文化学類の五十嵐一助教授が他殺体で見つかった。研究室のある校舎7階エレベーターホールで鋭利な刃物で首などを切られていた。五十嵐助教授が翻訳した英国人作家、サルマン・ラシュディ氏の小説「悪魔の詩」は当時、イランの故ホメイニ師が「マホメットの私生活をスキャンダラスに描くなど、マホメットとイスラム教を冒とくする内容だ」として著者を死刑宣告していた。
(毎日新聞) - 7月9日15時3分更新