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http://www.zakzak.co.jp/top/2005_10/t2005101155.html
自ら菌を飲んで証明した
胃の内部に生息するピロリ菌と胃潰瘍(かいよう)などの発生の因果関係を解明した功績で、今年のノーベル医学・生理学賞の受賞が決まった西オーストラリア大のバリー・マーシャル教授(54)。病気との関係を証明するため、自ら菌を飲んだという「武勇伝」もあるが、東京の電気街・秋葉原が大好きな親日家で知られ、写真家の加納典明氏(63)に撮影されたことも。“アキバ系”学者の意外な素顔とは−。
教授は、同じく受賞が決まった元豪州王立パース病院の病理学者、ロビン・ウォレン氏(68)が発見したピロリ菌に興味を持ち、1982年に同氏と協力して、菌の分離・培養に成功した。
翌年、菌と胃潰瘍に因果関係があるとの仮説を提唱したが、相手にされなかったため、教授はその1年後、自ら菌を大量に含んだ溶液を飲む感染実験を敢行。数日後に発熱、嘔吐、下痢を発症し、病との因果関係を見事証明してみせた。
この命がけの実験について、教授は後年、国内外のメディアの取材に「テキーラをガッとやるように一気に飲み干した」と笑って振り返っている。ただ、妻には「小さい子供が4人もいるのよ!」と、ひどく怒られたのだとか。
そんな教授は日本と浅からぬ縁を持つ。これまで講演や学会出席のためにしばしば来日し、平成14年には慶応医学賞を受賞。現在はNPO法人「免疫抗体食品研究協会」の名誉顧問や、栄養補助食品会社「オルト」(東京)の顧問などを務める。
「とにかく陽気で、気さくな方。目が少年のように爛々と輝いて、好奇心が旺盛なんです」
オルト広報宣伝部の東野理実子部長は教授をこう評する。あるパーティーで、「エリコ」という名前の女性社員が自己紹介した際、教授はすかさず、ピロリ菌の正式名称(ヘリコバクター・ピロリ)をもじり、「エリコバクター・ピロリだね」とジョークをかまし、これには、細菌と一緒にされてしまった社員も爆笑したという。
好きな映画は「ダイ・ハード」。前出の実験のエピソードは、主人公が体を張って戦う映画のストーリーと重なる。
日本の街で一番のお気に入りは秋葉原だ。世界で電化製品が一番安い点に魅かれるらしく、来日すると必ず立ち寄り、コンピューター関連の商品を大量買いするという。昨年6月18日発行の「週刊ポスト」のグラビアで、アキバの街頭で白衣をまとい、ピロリ菌をかたどった風船を持って立つ「勇姿」を披露した。
同じ月に発行された免疫抗体食品研究協会の季刊誌「たんけん【探健】」には、ピロリ菌の図柄をあしらったネクタイを着けて登場。このときの写真を撮影した加納典明氏は教授の印象をこう語る。
「学者と聞いて、会う前は『理屈ばかりの、小難しいやつかな』と思っていたが、とてもフランクな男だった。事大主義的に研究実績を自慢するんじゃなくて、仕事をエンジョイしているって感じがしたな」
菌を飲んだときの感想を典明氏が聞くと、教授は「古いチキンの味がした」と答え、カメラについて逆に積極的に質問してきたという。
典明氏は「ノーベル賞なんて、おれはあまり興味がある方じゃないけど、受賞は祝福したい。機会があれば、また撮りたいね」と話している。
ZAKZAK 2005/10/11