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仏もテロ警戒で緊張 移民2世、過激化も
【パリ=沢村亙】ロンドンの同時爆破テロで、欧州最大の約500万人のイスラム人口を抱えるフランスでも緊張が高まっている。「欧州社会に同化した移民家庭の子弟」がイスラム過激派になびく現象はフランスも英国と同じ。容疑者像が明らかになるにつれ「イラクに派兵していないから大丈夫」という安心感は消えつつある。
●内相「宗教指導者追放も」
パリ19区の移民街にあるアダワ・モスクで礼拝を終えた主婦のミムナさん(30)は「私も地下鉄によく乗るのでロンドンの事件はショック。イスラム教徒のテロと聞いて二重の衝撃です。宗教は平和のため。本当に(容疑者は)イスラム教徒なの?」。大学生のモハメドさん(20)は「フランスはイラクに派兵していないから、あんなテロは起きないよ」と話した。
このモスクには金曜礼拝だと3千人が集まり、パリでは大きな礼拝所だ。信者の多くは「ここは過激派と関係ない」と口をそろえる。だが、仏当局は今年1月、イスラム過激派11人を「同モスクに通っていた信者を米軍と戦わせるため、義勇兵としてイラクに送り込んでいた」との容疑で逮捕した。
過激派はモスクの片隅で10〜20代の若者を勧誘。義勇兵として参加した若者の大半が移民2世で、イラクでの自爆攻撃で死んだ者もいた。イラクに向かう前日に逮捕された若者は事情聴取に「アブグレイブ刑務所での虐待に義憤を感じた」と語ったという。
シラク仏大統領は革命記念日の14日、テレビ会見で「テロリストの攻撃を免れる国はない」と述べ、警戒を呼びかけた。前日の13日には欧州連合(EU)加盟国との国境審査を再開。駅や繁華街に大勢の警官と兵士が配備された。
前政権下のスペイン、英国と違って、イラク戦争に反対して派兵もしてないフランスには「テロには遭わない」という安心感があった。しかし、ロンドンのテロに関して流れた犯行声明に「アフガニスタンでの虐殺への報復」が盛り込まれていたことで空気が変わった。フランスはアフガンに派兵し、米軍に協力している。ルモンド紙は仏当局の情報として、90年代に対仏テロを繰り広げた旧植民地アルジェリアのイスラム過激派の残党が、アルカイダと連携して再編を図っていると報じた。
また、ロンドンのテロ容疑者が英国で生まれ育ち、欧州社会になじんでいるように見えた若者だったこともフランスに衝撃を与えている。政府は移民に仏社会への同化を求め、公的空間での政教分離を徹底してきた。民族、宗教ごとの共同体形成を許容する英国方式には「過激主義の温床になる」と批判的だった。
そのフランスでも根強い差別で同化は進まず、中東移民が多い大都市郊外には貧困と犯罪が目立つ。イスラムの規範と欧州の価値観の間で揺れ、イスラム教徒が置かれた状況に不満を抱く移民2世の一部が、原理主義的な宗教指導者に感化される構図は英国と変わらない。
サルコジ内相は「過激な宗教指導者は国外に追放する」と宣言し、過激思想を絶つ姿勢を打ち出した。しかし、若者がそうした思想になびく環境にメスを入れない限り、真の解決につながらないとの見方も強い。
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