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混合燃料、08年にも販売 植物エタノール+ガソリン
経済産業省は、温室効果ガス排出を減らすため、植物からつくられるアルコール(バイオエタノール)を混ぜたガソリンを、08年にも国内で自動車燃料として流通させる方針を固めた。政府は京都議定書の達成計画に利用目標を盛り込んでいるが、技術的問題から普及のめどが立っていなかった。経産省はこのほど石油業界との間でエタノールを混ぜる方式で合意し、06年度から安全性の確認や製造実験に乗り出す。(上栗崇)
ガソリンに混ぜるのは、サトウキビやトウモロコシ、木材など植物原料を搾った汁をアルコール発酵させて蒸留したエタノール。燃やすと二酸化炭素を出すが、もともと植物が生育中に空気中から取り込んだものなので、地球上の温室効果ガス量は増えない。政府は10年度に自動車燃料としてバイオ燃料50万キロリットルを使う計画だが、現状はゼロに近い。
海外では、ブラジルや米国がガソリンにエタノールを直接混ぜて販売しているほか、フランスやドイツのようにETBEという化学物質に加工して混ぜている国もある。
日本では環境省を中心に直接混入方式を目指してきたが、石油業界は品質の安定性に問題があるとして反対してきた。
一方、品質が安定しているETBEは、エタノールから加工する設備が必要だが、国内で製造が停止されたガソリン添加剤「MTBE」の製造設備を転用できる。経産省によると、設備改造でETBEを年約30万キロリットル生産できる見通し。
経産省は、効率的な設備改造方法や、自動車に使った場合の安全性、環境への影響などを調べるため、06年度予算に費用を計上する方針。その後、設備転用を促すため補助金を出す考えだ。
経産省と石油連盟などは今年4月に作業部会を立ち上げ、具体的な導入方法を検討している。一般販売は08年にも一部スタンドで始める予定。ETBEを7%混ぜる案が有力で、通常のガソリンと同じように給油し、走行できる。順調に進めば、10年度には、国内で流通するガソリンの1割近くがエタノール入りになる見込みという。
ただ、エタノールの調達価格がガソリンの2倍以上と高いのが課題だ。経産省は「小売価格が割高にならないよう、差額を埋める補助金の導入を検討する」としている。
エタノールは当面、サトウキビを原料に世界最大の生産量を誇るブラジルから輸入する。ただ、国内では家屋の廃材などからエタノールをつくる技術の研究が進んでおり、将来は国内産に切り替える計画だ。
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◆キーワード
〈バイオエタノール〉 生物原料からつくられるエタノール。燃やすと発生する二酸化炭素は、京都議定書の規制対象外で、石油など化石燃料から切り替えた分だけ温室効果ガス削減になる。ただ、エタノールは濃度が高いと部品を腐食させる働きがあるうえ、水に溶けやすく品質が変化しやすい。一方、ETBE(エチル・ターシャリー・ブチル・エーテル)はエタノールとイソブテンを合成してつくられ、水に溶けにくく、自動車への悪影響も少ないとされる。
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