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タンカー同士衝突、環境負荷低い「内航船」見直しに冷水も
FujiSankei Business i. 2005/7/16 TrackBack( 0 )
15日午前4時5分ごろ、三重県尾鷲市の南南東約28キロの熊野灘で、南洋海運(東京都世田谷区)のタンカー「旭洋丸」=697トン、7人乗り組み=と光洋汽船(大阪市北区)のケミカルタンカー「日光丸」=499トン、5人乗り組み=が衝突した。旭洋丸が炎上し、1人が死亡、1人がやけどを負って重傷、残る5人は行方不明になっている。
旭洋丸は粗ベンゼンを積み、三重・四日市港から松山港に向かう途中で、衝突事故で粗ベンゼンが流出した。日光丸は木材を加熱分解して得られる油状の液体、クレオソート約1000トンを積み、岡山・水島港から千葉港に向かっていた。
◇ ◇ ◇
タンカー衝突事故の発生で、地球温暖化対策の一環として内航海運の需要を喚起する動きに水を差すことになりかねないとの懸念が関係者の間に浮上しそうだ。
国内の港から港へと貨物を運ぶ「内航船」は現在、6364隻、合計372万3952総トン(2004年3月末時点)ある。5年前に比べると隻数で19・6%、総トン数で0・5%のそれぞれ減少。輸送量も1990年度の約5億7520万輸送トンから03年度には4億4554万輸送トンへと減少している。
この背景には「景気低迷による荷動きの減少と、企業の物流コスト削減、国内工場の海外移転がある」(大手海運会社)。
内航船の利用が多い石油会社でも、企業の枠を超えた共同輸送などを推進。例えば、新日本石油はコスモ石油や出光興産と物流面で提携している。「出光興産は千葉県に、新日本石油は横浜市に製油所があり、かつては内航船を使って対岸に製品を運んでいたが、現在は互いに製品を融通する体制となり、内航船の利用はなくなった」(出光興産広報部)。こうした石油製品の相互融通で、内航タンカーの利用は03年までの9年間で30%近くも減少している。
そこで、内航海運関係者が期待するのが地球温暖化防止意識の高まりによる陸上輸送から内航海運へのシフトだ。
船舶を使う輸送は、低コストで大量の荷物を運ぶことができるのが特徴。日本内航海運組合総連合会によると、内航海運が1トンの貨物を1キロメートル運ぶのに必要なエネルギーは自家用トラックの約18分の1、営業用トラックの約5分の1で済むという。そのぶん、トラック輸送に比べて地球温暖化物質である二酸化炭素(CO2)の排出が少なくて済む。
CO2排出削減を狙いに、陸上輸送から内航海運や鉄道輸送に移行することを「モーダルシフト」と呼び、地球温暖化対策の一環として国を挙げて推進。2010年までにモーダルシフト化率(全輸送機関に占める鉄道・内航海運の利用率)を現状の約43%から50%に高める目標を掲げている。
加えて、トラックのスピード規制や燃料費の高騰などで、内航海運を見直す企業も増えている。「減少してきた内航船市場も、04年度には底を打った可能性がある。環境問題の高まりや、トラック輸送のコスト上昇は内航船には追い風」と業界関係者は内航船の利用拡大に期待を高めているのだが…。
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200507150020a.nwc