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クジラ迷走にソナー説、高速船事故原因か…米報告書
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20060415it04.htm?from=top
米海軍の艦船の水中音波探知機(ソナー)が原因と見られるクジラの大量死や大量迷走が、過去10年間で少なくとも6回の軍事演習で起きていたことが、米議会調査局の報告書でわかった。
ソナーがクジラに害を及ぼすことは以前から懸念されていた事態で、日本近海で最近相次ぐ高速船の衝突事故との因果関係を指摘する専門家もいる。
報告書によると、最も被害頭数の大きかった例は、2年前に日米などが行ったリムパック(環太平洋合同演習)の時に米ハワイ州で観測された。演習開始直後の04年7月3日、カウアイ島ハナレイ湾で150〜200頭のゴンドウクジラが方向を見失ったように迷走していた。
ほかの5回は、演習とほぼ同じ時期に、演習海域でアカボウクジラやネズミイルカ、シャチなど小型の鯨類が数〜十数頭まとまって座礁、死んだケース。聴覚器官が損傷していた死体もあった。
潜水艦探知用の低周波ソナーは双発ジェット戦闘機並み、中周波ソナーはロケット並みのごう音を発生させるとされ、聴覚を頼りに回遊する海洋動物を直撃した場合、致命傷となる恐れがある。
米海軍は3年前、環境保護団体との間で、「日本周辺」を除く海域では、潜水艦探知用のソナーの使用を制限するとの合意書を交わした。ただ、日本周辺海域では、活発化する中国軍潜水艦の動きに合わせ、監視を強化していると言われる。
国立科学博物館の山田格(ただす)動物第一研究室長は「高速船との衝突事故も、ソナーによって、クジラの耳が聞こえなくなったことが原因というのはあり得ることだ」と話す。
一方、竹村暘(あきら)・長崎大教授は「クジラが聴覚にダメージを受けたとしても、皮膚への圧力など感覚を総動員して、船が近づいてくることを察知するはず」と、ソナー原因説には否定的だ。
◆個体増加説も◆
ほかの説もある。日本鯨類研究所の大隅清治顧問は「クジラが衝突したのだとすれば、商業捕鯨の禁止でクジラが増加したことや、高速船の便が増えたことが理由としては大きいのではないか」と話している。
(2006年4月15日14時31分 読売新聞)