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2006/01/09
http://www.nnn.co.jp/column/syasetu/060109.html
【屋根の雪下ろしに追われる住民】
雪下ろしの作業中、屋根から転落したり、雪の重みでつぶれた家の下敷きになって亡くなる痛ましい事故が、全国で相次いでいる。鳥取県内でも一九六三(昭和三十八)年の「三八豪雪」を上回るほどの積雪という。
豪雪地帯の東北や北陸の出来事と思っていたが、県内でも「このままだと家が倒壊する」といった悲鳴が上がっている。幸い、犠牲者が出ていないが、過疎や高齢化が著しい山間部では、事態は予想以上に深刻だ。雪害に対する警戒とともに、一人暮らしや高齢者世帯への除雪や雪下ろしの応援など、早急な手立てが急がれる。
この冬の記録的な大雪による犠牲者は北海道から東北、北陸、中国地方にかけての十六道県で、六十三人にも上っている。重軽傷者は千人を上回った。
◆「三八豪雪」上回る
県内でも昨年十二月からの雪が根雪となり、日野郡や八頭郡などの山間部では軒並み一メートルを超えている。九町で対策・警戒本部を設けた。あちこちで、けが人や住宅の被害も広がっている。このままだと人命被害や家屋の倒壊なども心配される。早めの対策にこしたことはない。高齢者世帯の見回りや声掛けなど、地域ぐるみでの体制を急ぐべきである。
近年、暖冬傾向が続いたため、三八豪雪や「五六豪雪」(一九八一年、昭和五十六年)の記憶は薄れている。雪崩にのみ込まれたり、白魔の怖さを経験した世代も減り、雪に対する警戒や備えを忘れている。
三八豪雪では県内でも死者が五人に上り、過疎化に拍車をかけた。五六豪雪は農林業などに大きな打撃を与え、特産の二十世紀梨の廃園が進んだ。
何よりも心配なのは、当時と比べものにならないほど、山間地域では過疎や高齢化が顕著である。地域全体の足腰が弱っており、日ごろの除雪さえままならない。
除雪や雪下ろしは、重労働である。ましてや、お年寄りの手には到底、負えない。今回の大雪による他県での死者をみても、ほとんどがお年寄りだ。石川県では雪の重みでつぶれた家の下敷きになって高齢の母娘が死亡した。多くが雪下ろし中に転落したり、屋根から落ちてきた雪の下敷きになる。作業中に病死するケースも目立つ。
◆除雪ボランティアを
雪の深い県内の山間部では、高齢化率が30%を超す。痛ましい事故につながる恐れが十分ある。そうならない前に、援助の手を差し延べたい。
それだけでない。近年、八頭郡や日野郡では、一人暮らしや高齢者だけの世帯が急増。このままだと冬場の生活がままならず、見切りをつける家庭も出てくるだろう。そうなると、さらに過疎に追い打ちをかけることになる。
雪に閉ざされた中で、最も心細いのは「家がつぶれたら…」という不安と孤独の中で一夜を過ごすことだろう。その不安を取り除いてあげることが一番である。ひと昔前なら隣近所で助け合うことができた。しかし、人手がなく、自分のことで精一杯。集落で支え合うコミュニティーが崩れている。自治体はもとより、各企業や大学などに呼び掛け、ボランティアによる応援体制をとるべきである。
智頭町や日南町では、地元の建設会社に一人暮らしや高齢者世帯の雪下ろしのあっせんに乗り出している。「何よりも心強い」とお年寄りたちに喜ばれている。それでも手が回らないのが現状である。あらゆる方策や手段を講じ、まず、雪の危険からお年寄りたちの身の安全を守ることに全力を挙げてほしい。
県内でも一昨年から昨年秋にかけての合併で、新たな自治体の枠組みができた。合併による財政的なメリットだけが強調された感があるが、自治体の一番大きな仕事は、「住民の安全を守ること」である。その体制は大丈夫なのか。
この冬の豪雪は過疎と高齢化が進み、崩壊する地域社会の中で、合併の成否そのものを問いかけている。
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