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風雪で送電線がショートする例
2005年12月22日22時37分
新潟県で起きた大停電。豪雪も強風も熟知している地域で、なぜ、復旧が遅れたのか――。
■ギャロップ」
東北電力によると、今回の停電は(1)送電線同士が縄跳びのように揺れて接触する「ギャロッピング」と呼ばれる現象(2)海水を含んだ氷や雪が送電線と鉄塔との間に付いたことによる漏電(塩害)――が、同時多発的に発生したことが原因と考えられるという。
県内は22日、激しい雪と最大瞬間風速30メートルを超える強風が吹いた。雪が横から送電線に吹き付けられると風上側に向かって氷が付く。送電線に翼が生えたような形になり、弱い風でも激しく振動するギャロッピングが生じる。送電線は家庭用の電線とは違って覆いがなく、むき出しになっているため、ぶつかるとショートしてしまう。
電力中央研究所の清水幹夫・主任研究員によると、ギャロッピング自体は全国で年間20件ほど起きており、珍しい現象ではない。もっとも、雪の降る地域では送電線の間に「相間スペーサー」と呼ばれる、つっかえ棒のような器具をかませて接触を防ぐ対策をとっているが、すべての送電線で対策が済んでいるわけではないという。
一方、「塩害」による漏電は、鉄塔と送電線の間にある絶縁体に塩が付いて電気を通してしまい、鉄塔を通じて地面に流れてしまう現象だ。
■遅れる復旧
送電のルートは事故に備えて、いくつかの迂回路(うかいろ)が設けてあるのが通例だ。しかし、今回は役割を果たさなかった。
東北電力によると、停電の被害が広がった下越地区には、新潟市と隣の聖籠町にある二つの火力発電所から計5ルートの送電線を通じて電力が送られている。ところが、今回は5ルートのうち4ルートがほぼ同時にストップするという前例のない事態がおきた。
送電線同士が接触してショートなどが起こると送電は自動的に止まる。この日は悪天候が収まらず、再開しても再びショートし、不安定な送電が続いた。また、「塩害」がある場合には真水で洗ったり布でふいたりして復旧するが、暴風雪で作業員が鉄塔に登れない上にヘリコプターも飛べず、漏電した場所の確認もできなかった。
下越地区の複数の場所でギャロッピングや漏電が起きたため、東北電力は安全上、残る1ルートも含め火力発電所からの供給を停止。山形、福島両県からの非常用ルートで送電を再開した。
■「想定外」
もともと「塩害」は台風時に起きやすく、冬にはあまり発生しない、とされる。新潟支店の大山隆一・副支店長は「普段の12月なら風が強くても、雪がさらさらで付着することはない。これほどの強風が広範囲に長時間、しかも、みぞれ交じりで吹き荒れる事態は考えていなかった」。
新潟県内には、首都圏に電力を供給する東京電力の柏崎刈羽原子力発電所がある。送電線は山間部を通っているため、「雪害や塩害による送電トラブルは無縁ではない」(広報担当者)。基幹となる送電線は2系統にして片方で深刻な障害が起きても供給が途絶えないように備えている。
http://www.asahi.com/national/update/1222/TKY200512220802.html