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米ハリケーン:ニューオーリンズと縁切り 黒人男性の決意
毎日新聞 2005年9月13日 22時11分
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20050914k0000m030118000c.html
(写真 ニューオーリンズを見切ったジョセフ・ハードさん=米ルイジアナ州バトンルージュで12日、國枝すみれ写す)
【バトンルージュ(米ルイジアナ州)國枝すみれ】大型ハリケーン「カトリーナ」の黒人被災者への救援が遅れたことをきっかけに、ニューオーリンズに見切りをつけた黒人男性がいた。ハリケーンで、米国に色濃く残る人種間格差が露呈した。
州都バトンルージュの避難所にいたジョセフ・ハードさん(32)は12日、「18年間、まじめに努力したが無駄だった。ハリケーンが最後の一押しをした。もうニューオーリンズと縁を切る。明日、ニューヨークに向けて出発する」と話した。
ニューオーリンズ市内の避難所では、数千人の黒人被災者が水や食料を求めて叫んでいた。テレビ映像が全米に流れると「米国でなぜこのような悲惨な状況が起きるのか」と議論が起きた。ハードさんは「人種差別としか説明できない。あれほど大勢の被災者を放置するなんてどんな言い訳も通用しない」と言う。
黒人の友人(40)は大型トラックを盗み、近隣住民を乗せて避難所に逃げた。途中、スーパーで略奪が発生していることに気付き、水とミルク、おむつを盗んだ。車内に生後1カ月の赤ん坊がいたからだ。ハードさんは友人の行為は仕方なかったと思っている。
シカゴ出身のハードさんは、ニューオーリンズ大学を卒業後、市内のテレビ局に勤めた。無給のインターンから始め、カメラマンに採用され、取材に出るまでとなった。ところがある日、業界未経験の白人男性が入社。カメラの使い方を教えるよう命じられた。ハードさんに任されていた仕事はその男性に与えられた。見渡せば、職場に黒人管理職は一人もいない。「ガラスの天井」を実感し、6年働いた会社を辞めた。今は小学校で美術を教え生活を支えている。「少なくなったとはいえ差別はある。特に金の話になるとひどい」
ニューオーリンズ市民の3分の2が黒人だが、黒人と白人の経済格差は歴然だ。黒人の1人当たり平均所得は白人の3分の1に過ぎない。
一方、白人住民も不満をためていた。12日、ニューオーリンズ郊外に住む白人住民数千人が州議事堂で開かれた集会に詰め掛けた。電気技師デビッド・バシュミンさん(33)は「報道はニューオーリンズ市内の黒人被災者ばかりに集中した。我々の町も壊滅したが報道されず、まるで存在しないかのようだった。救援隊到着までに5日もかかった」と話した。
毎日新聞 2005年9月13日 22時11分