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災害で孤立の恐れの2万集落 「食料・水備蓄」5%
朝日新聞 2005年09月10日12時02分
http://www.asahi.com/national/update/0910/TKY200509100128.html
土砂崩れなどで道路が寸断され、集落が孤立した=7日、宮崎県椎葉村で、本社ヘリから
台風14号で土砂崩れが発生し、宮崎県椎葉村が孤立した。昨年の新潟県中越地震では山古志村(当時)が孤立した。傾斜地の多い国内では、台風や地震で道路が寸断される恐れのある集落は全都道府県の約2万カ所にのぼる。それが現実になった。約360万人が暮らすこれらの集落では食料や水などの備蓄は5%程度しか整っていないとされる。高齢化も進み自主防災組織づくりも進まない。「対策を急がないと被害が拡大する」と専門家は警告する。
九州中央山地にある宮崎県椎葉村は、台風14号で700ミリを超す雨が降り、土砂崩れによって1人が死亡、今も2人が不明となっている。村に通じる道路は寸断され、電気は止まり、電話も通じなくなった。自衛隊が食料や水などの救援物資をヘリコプターで運んでいる。
国土交通省のまとめでは、台風14号で全国の78カ所でがけ崩れがあり、35カ所で土石流が発生、9カ所で地滑りがあった。山口県美川町や錦町でも一時、住民が孤立する地区が出た。
自然災害によって、孤立する恐れのある集落は、7月に国がまとめた結果、長野県の1320を筆頭に47都道府県で1万9238にのぼる。ほとんどが、地震や風水害による土砂崩れを想定している。
このうち、耐震性が確かめられた避難施設がある集落は15%で、避難施設に非常用電源を確保している集落は2%にすぎない。医薬品、毛布などの生活品の備蓄がある集落も「不十分だが備蓄あり」を含めて10%強だ。
自主防災組織があるのは46%で、全国平均の63%を下回る。高齢、過疎化が進み、組織化が難しくなっているという。
昨年10月の新潟県中越地震で、内閣府が山古志村の住民に行ったアンケートでは、9割の人が「地震の規模や発生場所」「家族、知人の安否」など知りたい情報がわからず、不安になったという。
内閣府の検討会は8月26日、衛星携帯電話や簡易無線機など多様な通信手段の確保、ヘリコプターの離着陸の適地の選定などを急ぐよう提言をまとめた。議論の中で、広井脩・東大教授は「復旧が長引き、孤立が長期化する場合への備えも必要だ」と訴えた。マグニチュード(M)8クラスの東海地震や東南海・南海地震が発生した場合には、被災地域が広く、さらに孤立化が長期化するとみるからだ。
室崎益輝・消防研究所理事長は「援助物資がこなくても数週間にわたって生き残れる、山間地に合った自立型の対策を考えておくべきだ」という。