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ハリケーンでガソリン「便乗値上げ」 米で批判高まる
2005年09月08日20時21分
ハリケーン「カトリーナ」の襲来で拍車がかかったガソリン価格の高騰に対し、「便乗値上げ」との批判が米国で高まっている。各州が監視を強めているほか、連邦議会では民主党議員から価格抑制を狙う法案が次々に提出されている。政府や政権を支える共和党は防戦に懸命だ。
「今回の最大の略奪者は米国の石油会社だ」「便乗値上げを防ぐ政府の政策は失敗した。石油会社の利益の水準は、彼らが危機を利用していることを示している」
下院エネルギー委員会で7日開かれたガソリン価格についての公聴会では、高収益を上げている石油会社や、価格高騰を防げない政府に対する厳しい声が、民主党議員から相次いだ。
全米自動車協会によると、全米平均のガソリン価格は1ガロンあたり3ドルをやや上回っている。1リットルあたりに換算すると90円弱で、税金が高い日本よりまだ安い。しかしハリケーン襲来前に比べ、約15%も跳ね上がったままで、車社会・米国の消費者の懐を直撃している。
危機に便乗した過度な値上げに州政府などの自治体は監視を強めている。「隣の給油所より価格が1ガロンで50セント以上高い」などといった不満がドライバーから相次いで寄せられているからだ。
東部ニュージャージー州では、ハリケーンが米南部に被害をもたらした直後から、1ガロンあたり3ドル超の給油所が目立ち始め、州当局は約400カ所を立ち入り調査した。その結果、4分の1にあたる約100カ所で、州の規制に反して24時間に2回以上値上げをする例や、掲示価格より高い価格を請求するなどの違反が見つかった。
メキシコ湾岸からのガソリン供給に頼らない西部カリフォルニア州でもガソリン代が急騰し、州司法長官は2日に徹底調査を宣言した。地元報道によると、同州サンディエゴ市は、過剰な値上げをした業者に最大で禁固6カ月を科せる緊急条例を6日に成立させ、7日から本格調査に入った。
各地の動きを背景に、連邦議会にもガソリン価格抑制を狙った法案が提出されている。上院では7日、ドーガン議員(民主)が石油会社に特別課税を適用し、その税収を消費者に還元する法案を提出した。レビン議員(同)は、ガソリン価格をハリケーン襲来前の水準に凍結できる権限を、一時的に大統領に与える法案を提出した。
下院ではパローン議員(同)がすでに、石油会社の利益に限度を設けたり、米国全体でガソリンの価格引き上げを1日に1回だけに制限したりする法案を提出している。
政府は「ガソリン価格は厳しく監視しているが、需給の結果で決まっている」(米連邦取引委員会)とするが、心穏やかではない。ハリケーンへの対応では、政府の初動の遅れが批判されているうえ、石油業界とブッシュ政権はもともと近いため、ガソリン価格の高騰が政権の基盤を揺るがしかねないためだ。
共和党側では、石油会社が石油精製施設を建設する際、環境影響評価や事前の許認可手続きにかかる期間を短くし、精製施設の建設を促す法案の提出が検討されている。精製施設が不足しているうえ、メキシコ湾岸に集中していることが、今回のガソリン価格の高騰につながったという認識があるからだ。
http://www.asahi.com/international/update/0908/018.html