★阿修羅♪ > 自然災害13 > 127.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
http://www.sankei.co.jp/news/morning/08int001.htm
米ハリケーン被害 責任論、党派争いに 上院委員会、「不手際」追及へ
民主…「大統領は鈍い」/共和…政府の危機管理支持
【ワシントン=古森義久】米国南部を襲った大型ハリケーン「カトリーナ」による大被害の広がりでは、「ブッシュ大統領の責任」が激しく非難された。非難の先頭に立つ野党・民主党の政治家や大手マスコミは、連邦政府の長である同大統領の非や不手際を米国史上でも最悪の自然災害の拡大原因にあげるが、災害への対応の一次権限は連邦よりも州や市の当局にあることを指摘する向きも多く、この論議は政治党派による論争の色をみせてきた。
ニューオーリンズなどの惨状をブッシュ大統領の責任として糾弾する傾向は、まず民主党寄りのマスコミが最も顕著だった。ニューヨーク・タイムズ紙(五日付)で、ボブ・ハーバート記者の「ニューオーリンズは(大統領の)無能力の洪水におぼれた」と題するコラムが「ブッシュの米国民救済での巨大な失敗が全世界にさらされた」とか「ブッシュは被災者が白人でなければ同情しない」と断じたように、年来のブッシュたたきで知られるポール・クルーグマン、モーリン・ダウドといったコラムニストが連日のように大統領糾弾を展開した。
議会でも民主党院内総務のナンシー・ペロシ下院議員やハリー・リード上院議員が「大統領の対応が鈍い」という種類の批判を述べ、責任追及の構えをみせた。
大統領を非難する側の主張は、(1)大統領は休暇先のテキサスで、八月二十九日に堤防の決壊など大被害を知らされながら、三十一日までワシントンにもどらなかった(2)三十一日のホワイトハウス庭園からの被災に関する演説が緊張感に欠け、平板だった(3)州兵の被災地への出動や住民の避難が遅れた(4)ミシシッピ川の堤防の再強化工事予算を四年前に増やさなかった(5)天災に対応する連邦緊急事態管理庁(FEMA)をテロ対策主体の国土安全保障省に編入した−などという点が中心だ。被災地の治安やハリケーンの予測などまで大統領のミスだとする声がある。
しかし、共和党側では自分の家も被害にあったミシシッピ州選出のトレント・ロット上院議員が、六日までに現地を二度、視察したブッシュ大統領の対応を「連邦政府の長として最大限の努力をし、個人的にも被災者への心からの同情を示すのをみて感激した」と称賛した。
同じ共和党でミシシッピ州のハーレー・バーバー知事も同様にブッシュ大統領の危機管理を全面的に支持する。
大統領の責任をめぐる真実はこの両方の主張の中間のどこかに隠されているのだろうが、州など地方自治体の権限が強い米国では天災での住民への避難命令を出す権利はニューオーリンズの場合、市長が、州兵を出動させる権限はルイジアナ州知事が、それぞれ保有している。
ニューオーリンズのレイ・ネーギン市長もルイジアナ州のキャサリーン・ブランコ知事も民主党だが、現地からの報道では同市長は当初、市民の強制避難命令を出すことを渋り、同知事も州兵の出動命令を被害の初期にはためらったという。だがブッシュ大統領を激しく非難する側はこうした現地の自治体首長の責任をほとんど問題にしていない。
ただし、連邦議会では上院政府問題委員会のスーザン・コリンズ委員長(共和党)が六日、「(連邦、地方)各政府レベルでの犯罪的な怠慢が被害を広げた」と述べ、行政府全体としての責任を同委員会で追及する方針を発表した。
ブッシュ大統領自身は当初、「各政府の対応は受け入れ難い」と述べたものの、「間違った点があれば、是正するが、当面、最重要なのは米国として団結してこの災害に立ち向かうことだ」と言明して、大統領の責任への非難には直接、答えていない。