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インターネット管理:米国の一極支配にEU反発
米国が事実上独占しているインターネットの管理体制のあり方をめぐって、欧州連合(EU)と米国が激しく衝突している。自国の安全保障を理由にネット一極支配を続ける米国に欧州が異議を唱える構図は、欧米が対立する他の外交問題と共通している。国連は16日からチュニジアで開く世界情報社会サミットで新管理体制の枠組みでの合意達成を目指しているが、妥結のめどは立っていない。【ジュネーブ澤田克己】
問題の発端は、経済成長に伴いネット利用が急増している中国やブラジルなどの途上国の不満噴出だ。現行の規格ではネット上の住所にあたる「IPアドレス」や「ドメイン名」の数には限りがあり、早くから利用を始めた先進国に有利な割り当てとなっているからだ。
関係者によると、かつてはネット普及で中心的な役割を果たした米スタンフォード大へのIPアドレスの割当数の方が、中国全体よりも多かったほどだという。近年、途上国向けに追加割り当てが行われているが、それでも途上国側に残る不満は根強い。
途上国がやり玉に挙げたのが米国による「ネット支配」だ。インターネットはもともと米軍が有事用通信網として開発したもので、民間への公開後も、米国の大学などが普及面で中心的な役割を果たしてきた。そのため、現在も米国の非営利団体「ICANN」が「.com」のようなドメイン名の管理を行う体制となっている。
ICANNは98年設立時の覚書に基づいて、米商務省の監督下に置かれている。途上国側はこうした状況を「インターネットはいまや公共財であり、一国が管理するのはおかしい」と批判。国連も、米政府とICANNの覚書が来年9月で期限切れになることを見据え、新たな管理体制に関する議論を始めた。
だが、米国は今年7月に突然、「安全保障上の脅威」を理由に来年9月以降も覚書を延長するとの声明を発表。今後も、ネット管理に他国の関与を許さない姿勢を鮮明にした。
EUは先進国の一員としてこれまで米国に近い立場を取ってきたが、米政府の延長声明を機に姿勢を転換。今年9月下旬に開かれた世界情報社会サミットの準備会合で、「各国政府や民間、国際機関などが参加する新たな管理体制を作るべきだ」と提案した。
しかし、米国はEU提案を全面的に拒否。日本やシンガポールなど他の先進国は「米国一極支配には問題があるものの、現行の体制でも問題は起きていない」と実質的な米国支持に回るなど、先進国の間でも対応が割れている。
こうした状況を受けて、サミット交渉筋は「インターネットはもともと米国による独占なのだから、米国が譲らなければ(新たな管理体制づくりに向けての)前進は不可能だ。サミットでは、各国が自由に発言できる『ガス抜き』の場を作る合意程度しかできないのではないか」と話している。
毎日新聞 2005年11月7日 17時17分
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20051108k0000m030006000c.html