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一太郎と花子が逆転勝訴 - 知財高裁、松下の特許を無効と判断
ジャストシステムのワープロソフト「一太郎」およびグラフィックソフト「花子」のヘルプ機能を巡って、松下電器産業が自社の特許を侵害されたとして、「一太郎」「花子」の製造、販売差し止め、廃棄を求めて同社を提訴していた訴訟の控訴審で、知的財産高等裁判所(知財高裁)は、「本件特許は、本件発明の新規性または進歩性の欠如による無効理由がある」として、一審の東京地方裁判所の判決を取り消し、松下の訴えを退ける判断を下した。今年4月に新設された知財高裁で、重要な事件の場合に5人の裁判官が審理する、大合議制の指定を受けた初めての事件となる。
松下の特許は、ヘルプ機能を担うアイコンをクリックし、続いて他のアイコンをクリックすると、そのアイコンの機能説明を表示する、との技術だ。1989年に出願、1998年に登録されている。
一太郎などが備える「ヘルプモード」では、「ヘルプモード」ボタンをクリックすると、カーソルが「?」マークを伴った矢印に変化し、「?」マークの付いたカーソルが移動する。この「?」マークの付いたカーソルで「印刷」などのボタンをクリックすると、そのボタンについての説明が表示される。松下側は、この「ヘルプモード」ボタン、「印刷」ボタンなどが「アイコン」に該当しており、同社の特許に相当しているので、これを侵害されたと主張していた。
今回の判決では、松下の特許の内容は、同社が出願する以前に同様の技術が考案されており、複数の書籍などで紹介されているもので、それらを参照すれば容易く想起しうるとし「周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明に係る本件特許は、特許法29条2項に違反しており、特許無効審判により無効にされるべきものと認められる」と指摘、松下側は、同法104条の3第1項に従い、ジャスト側に対し、本件特許権を行使することができないとしている。
これらの書籍などはジャスト側が、松下の特許に新規性がないことを論じるため、この控訴審で新たに証拠として提出していた。松下側は、時機に後れた提出であり訴訟の完結を遅延させるもの、と反論していたが、知財高裁はジャスト側の主張を是認した。
ジャストシステムではこの判決について「当社の主張を認めた妥当なものであると同時に、ソフトウェアに関連する特許権の行使に対し、一定の歯止めをかけた点で評価できるものと考える。消費者は、今後も問題なく『一太郎』『花子』を利用、購入することができる」との論評を発表した。
一方、松下は「控訴理由に対する当社の反論が認められず、高裁で新たに提出された資料により、特許無効の判断が示されたことは、大変残念に思う。今後の対応については、判決の内容を詳細に検討した上で決定する」としている。
今回の係争の経過は以下の通り。松下がこの件について2004年8月5日に東京地裁に提訴、2005年2月1日、同地裁は、ジャストシステムに、「一太郎」、「花子」の製造、販売差し止め、廃棄を命じる判決を言い渡した。2月8日、ジャストは、東京高等裁判所へ控訴。5月9日、初の大合議案件とされ、7月15日に結審していた。
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2005/09/30/031.html
ソース元:MYCOM PCWEB http://pcweb.mycom.co.jp/