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[2006年03月31日付]
西日本や太平洋側の各地では桜の季節を迎えたが、東北や北陸では今なお雪深いところもある。昨年12月以来の「平成18年豪雪」では、農村でも雪下ろし中の事故などで多くの人が亡くなった。被害が高齢者に集中したのは痛ましいことだ。今回の豪雪は、農村で過疎、高齢化が進んでいること、組織や人のつながりが弱くなっていることなど、さまざまな面で地域の問題を浮き彫りにしたといえる。逆に言えばこうした問題が、地域の災害に対する弱さの根底にある。一方、地域の結びつきを強めることで雪に負けない町づくりを進めるなど、新しい取り組みも出てきた。この動きを全国に広げ、高齢者が安心できる災害に強い地域を増やしたい。
消防庁のまとめによると、28日までの雪による死者は149人に上る。1963(昭和38)年の三八(さんぱち)豪雪に次ぐ、戦後2番目に多い犠牲者数となった。その3分の2が65歳以上。高齢者の犠牲が多かったのは、自らが危険な雪下ろしなどの作業をしなければならないからだ。雪対策をどう進めるかが今、大きな焦点となっている。
自治体も雪対策には頭を悩ませる。財政的な面が背景にあり、十分な対策を打てなかったところが多い。さらに、住民の求めるサービスが多様化し、行政の画一的な対応では限界との声もある。
そんな中でも自治体が独自の対策を試みるほか、地域が自ら、あるいは外部の力を借りながら雪を克服していこうという取り組みが出てきた。
国内有数の豪雪地帯である新潟県津南町では、冬場独り暮らしの高齢者が集まって生活する「福祉アパート」を提供する。冬場だけ山から里に下りて生活してもらう、グループホーム的な場だ。高齢者にとっては、それほど自宅から離れずに済むし、安心できるとされる。町の負担もそれほど大きくない。同じ取り組みが各地に広がっているという。有効な地域対策の一つと考えられる。
雪処理の担い手では、山形県河北町の高関地区の事例がある。同地区では、地域の自主防災組織を昨年、復活させた。今回の大雪では独り暮らしの高齢者の家の除排雪作業で活躍した。顔見知りに支援してもらうことで、支援される高齢者は精神的な負担をあまり感じないと喜ぶ。このほか、地域が特定非営利活動法人(NPO法人)やボランティアを受け入れ、除排雪を頼んでいるケースもある。
国など行政が、施設や除雪用機械の導入でハード面から雪に強い町づくりをしていくことはもちろん重要で、今後も継続していくべきだ。だが、さらに大事なのは、崩壊しつつある地域コミュニティーを再生させ、自分たちの地域は自分たちで守るという意識にあるのではないか。この取り組みが主体的な地域づくり、地域の活性化につながっていくと確信する。
http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/column/0603/31.html