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[2006年03月02日付]
地域ブランドを保護する制度が4月からスタートする。地名と商品名を組み合わせた商標登録をJAや事業協同組合などの地域団体に認め、商標法でしっかり守っていこうというのだ。商品には自信があるが、もうひとつ知名度アップのできなかった産地には朗報だ。地名を商品の冠に付けられれば、商品に地域の民話などの物語性を付加することが可能になる。意欲的な商品開発と出願を期待したい。
商標法の改正で4月からスタートするのは地域団体商標制度。これまで法的に保護することが極めて難しかった地名を付したブランドについて、地域団体が出願登録する場合に限って認めようというのだ。現行制度では1.全国的に知名度を獲得し、特定事業者の商品であることが識別できる場合 2.地名と図形などを組み合わせた場合――に限って、地名入り商標の登録を認めていた。
しかし、1.のように文字だけの商標の場合は全国的に知名度を得るまでに長い年月がかかり、出願登録するのが現実的に難しかった。このため、例えば「夕張メロン」や「西陣織」「信州味噌」など限られた商標しか登録されていないのが現状だ。今回の制度改正は、JAなどの地域団体が地名(商品・主原料の産地、漁獲場所など)と商品名を団体登録。これを構成員に自由に使わせる代わりに、知名度要件を全国段階から都度府県段階に緩めたのが大きな特徴だ。
商品をシンボルにした地域興し運動は全国でかなりの数に上っている。商標制度でこれを後押しすることができれば、商品の信用力を一層高めることが可能になるばかりか、地域経済の活性化にもつながる。産地の積極的な活用を期待したい。
欧州連合(EU)には「地理的表示」と呼ばれる知的財産権を守る制度がある。優れた商品の品質や名声が原産地の風土に由来する場合に限って、その土地の原産であることを表示できる保護制度だ。イタリア・パルマ地方の独特の自然条件が生み出す「パルマハム」や、フランス・シャンパーニュ地方の「シャンパン」などがそれに当たる。世界貿易機関(WTO)の付属文書や協定でも、知的財産権の一つとして保護の対象になっている。
今回の地域団体商標は、地域ブランドという意味合いでは「地理的表示」と似ているが、あくまで自己の商品と、他人の商品とを識別する商標にすぎない。このため「地理的表示」のように商品の品質・内容まで踏み込んで保証するものではない。
しかし、地名入り商標が消費者の信頼を勝ち得るには、商品の品質の確かさが欠かせない。今回の制度を契機に産地が商品の品質の向上に一層努めるとともに、歴史が刻まれた地名をその商品に付加できれば、これまでにない地域と商品アピールにつながる。
http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/column/0603/02.html