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[2006年02月24日付]
昨年12月からの大雪は「平成18年豪雪」と命名される方向だが、21日現在で死者が134人にも上り、133人だった1980〜81(昭和55〜56)年の「五六豪雪」を上回った。63(昭和38)年の「三八豪雪」は戦後最悪で死者228人、今回はそれに次ぐものになってしまった。
三八豪雪の後は、集落を挙げて、住み慣れたふるさとを離れる離村が、各地で一気に進んだ。当時と比べ、中山間地域の豪雪地帯は今、超過疎・高齢化の中にある。実際、高齢者が屋根の雪下ろし中に転落したり、除雪中に脳や心臓疾患で倒れたりする例が相次いでいる。
もうすぐ3月とはいえ、現地はまだ深い雪に埋もれたままだ。しかし、中山間地域の抱えるさまざまな問題が、この大雪によって噴き出している。農業関係の被害もこれから雪が解けてくれば、さらに深刻な事態が明らかになる危険性がある。今回の豪雪を契機に、あらためて雪に備えた地域づくりの施策を、早急に打ち出すよう国に強く求めたい。
長野県栄村は新潟県、群馬県との県境に近い豪雪地帯で、2月6日には3メートル92センチの積雪を記録。現在も3メートルほどの雪に覆われている。国道405号が通行止めとなり、秋山地区が一時孤立し、自衛隊や多くのボランティアが除雪にあたってきた。栄村の高橋彦芳村長は「雪で孤立した集落に住む人たちは高齢者が多い。積雪の少ないところへ移住を、と言われても、地域の田畑を捨ててしまったら、移転先では仕事を見つけるのも難しく、生活が困難になる」と、地域の実情を語る。
高齢者にとって住宅の雪下ろしや除雪は大きな負担だ。栄村全体の約18%、174戸が自分たちだけでは除雪作業が手に余り、支援を必要としている。「30年ほど前から雪害救助員制度を設け、村の非常勤職員としてきたが、対応しきれない。夏は地元で田畑を耕し、冬は村の中心にある村営住宅に来てもらう “夏山冬里”を進めている」と高橋村長は、村の取り組みと、その限界を指摘する。
こうした事態を受け、国土交通省は「豪雪地帯における安全安心な地域づくりに関する懇談会」を設け、高齢化、過疎化が進む豪雪地帯で、高齢者の負担を減らす方策を検討している。予定では4月末までに議論をまとめる方向だ。国の施策に地域の実情を反映させるよう、懇談会には研究者とともに、自治体の代表も参加している。
中山間地域の抱える問題の中でも、豪雪地帯の離村など深刻な問題では、これという明快な解決策が見当たらない。雪の少ない地域に住む人には、想像もつかないことが多い。だから除雪ボランティアに多くの人が参加し、雪の重みを感じてもらうことは重要だ。豪雪の重さに苦しむ地域の声を、国の施策にぜひ反映させてほしい。
http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/column/0602/24.html