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http://www.asahi.com/national/update/0930/TKY200509300242.html
2005年09月30日20時30分
農水省が長崎県で進めている諫早湾干拓事業をめぐり、有明海沿岸の漁民らが「ノリの不作など漁業に影響が出ている」として工事差し止めの仮処分を求めた問題で、最高裁第三小法廷(浜田邦夫裁判長)は30日、漁民らの抗告を棄却する決定をした。漁民側が、ただちに工事を止める法的な手段はなくなった。この問題は今後、佐賀地裁で進行中の本訴訟で争われる。
主な争点は干拓工事と漁業被害との因果関係。福岡高裁は今年5月、「因果関係が証明されているとはいえない」として、佐賀地裁の工事差し止め命令(04年8月)を取り消していた。
第三小法廷は、この福岡高裁の判断を「違法があるとは言えない」として支持。さらに、干拓工事が9割以上進み、潮受け堤防が諫早湾を閉め切っている状況である点に触れて、「残っている陸上の工事を続けさせても、漁民らに著しい損害や差し迫った危険は生じない。工事差し止めの必要性があるとは言えない」と述べた。
仮処分を求めた漁民側は、97年に潮受け堤防を閉めきった工事などにより、「有明海の水質浄化機能が低下し、ノリの養殖などに深刻な被害が生じた。干拓事業の工事を止めないと被害の回復が困難になる」と主張している。
漁民側の弁護団は「被害と世論を無視し、国に肩入れする極めて遺憾な決定だ」との声明を発表した。
諫早湾干拓事業は、農水省が89年に防災と農地造成を主目的に着工。97年に湾奥部が閉め切られて干潟が消滅した後、「無駄な公共事業」として全国的に批判された。
00年度に有明海で深刻なノリ不作が起きて再び干拓批判が高まったため、01年に事業規模を縮小した。総事業費は約2460億円。