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http://www.nishinippon.co.jp/media/news/news-today/morning_news001.html
国土交通省が熊本県相良村に計画する川辺川ダム建設事業で、同省は十五日、同県収用委員会(塚本侃(つよし)会長)に出していた土地や漁業権などの強制収用の申請を取り下げた。計画発表から四十年目。公共事業のあり方が問われてきた巨大ダム計画は白紙に戻った。国交省は計画を修正してダム建設を進める方針だが、二〇一四年度完成を想定していた工期の遅れや、三千三百億円と試算された総事業費の見直しは避けられず、建設の是非があらためて論議を呼びそうだ。
ダムは治水は国交省が担当し、利水計画は農水省などが策定を進めている。申請の取り下げは、新利水計画がまとまらないことが大きいが、記者会見した国交省九州地方整備局の宮田年耕(としたか)局長は、治水、利水両面での事業の必要性を強調した上で、取り下げの理由について「(収用委の却下などによる)事態の長期化が避けられ、結果として治水をより早く進めることができる」と説明した。
国交省は今後、地元農地にダムから水を引くか、ダム以外にするかを検討している農水省の新利水計画の策定を見極めた上で、ダムの基本計画を変更し、国交相の事業認定を得た上で、県収用委にあらためて強制収用を申請する方針。
ただ、新利水計画については、九州農政局が八月に農家を対象に実施したアンケートでも「ダム案」「非ダム案」の回答に分かれ、策定に必要な対象農家の三分の二以上の同意取得は困難な情勢。このため国交省がダムの目的から「利水」を外す可能性もある。
国交省は〇一年十二月、漁業権などの強制収用を熊本県収用委に申請。しかし、〇三年五月の川辺川利水訴訟の控訴審判決で国側が敗訴。利水計画の見直しが必要になったが、農水省と地元農家の協議が難航、利水計画変更に伴うダム計画の変更案も定まらなかったことから、同収用委は今年八月末、国交省に申請の取り下げを勧告。応じなければ却下する方針を打ち出していた。
■国の判断見極める 潮谷義子・熊本県知事の話
県としては国の判断を見極めながら、治水、利水両面における今後の対応について、国土交通省、農水省、地元市町村などの関係機関と協議しながら取り組みたい。
▽川辺川ダム建設計画
国が熊本県の球磨川流域の洪水被害対策として1966年に計画発表。九州最大級のアーチ式ダムで、上流の川辺川をせき止めて、高さ107メートル、幅300メートルのえん堤を造る計画。治水のほか利水、発電などの多目的ダムで、総貯水容量は1億3300万立方メートル。総事業費は3300億円。流域漁業権を持つ地元漁協の補償交渉拒否などで本体着工が遅れた。国は熊本県収用委員会に漁業権などの強制収用の裁決を申請。収用委の審理は2002年2月に始まったが、03年5月、利水事業の計画策定の手続きをめぐり国が福岡高裁で敗訴したことをきっかけに、利水計画の見直しが必要になっていた。